グボコ教区のウイリアム・アベンヤ司教が、迫害されるキリスト教徒に対するカトリックの支援団体「 Aid to the Church in Need(ACN)」に語ったところによると、司教が管轄し、キリスト教徒が多数を占めるベヌエ州で、今年、すでに492人が殺され、不安が高まっている。
国際社会への訴えで、司教はACNに「介入前に大虐殺が起こるのを待たないでください‥. お願いです。ルワンダで起きた大虐殺と同じ過ちをしないでください。ルワンダでは、それが私たちの鼻先で起きたのに、誰も止めようとしませんでした。今、私たちはそれがどのような結果をもたらしたのか、良く知っています」と語った。
6月27日の現地報告では、ジョスの町の近くにあるキリスト教徒が多く住む10の集落で、暴徒たちが「200人以上を殺害した」という。現地の警察は死者は86人だとしているが。
アベンヤ司教はACNに、フラニ武装勢力はイスラム教徒が多数を占める地域は襲っておらず、「現在起きているのは、キリスト教徒の抹殺だ、と言えます」と強調。この地域の他の教会指導者は、フラニ武装勢力の狙いは「ナイジェリアの中部ベルト地帯のイスラム化」だ、と述べている。
別のNGO「Christian persecution charity Open Doors」の調べでは、2016年5月から2017年9月の間に、中部ベルト地帯の南部カドゥナ地域-キリスト教徒が全人口の98パーセントを占める-で725人が殺されている。
フラニ武装勢力は、彼らの攻撃の対象は「家畜だけ」で、「動機は(攻撃を受けたことに対する)報復にある」とスポークスマンは言明し、キリスト教徒殺害を認めようとしない。
同国のムハンマド・ブハリ大統領は、一連の攻撃は「きわめて不幸な出来事」とするものの、具体的な対応は生半可なものにとどまっている、と見られてきた。これまでの、政府の軍事作戦は治安回復に少しも役立っておらず、「大統領自身がフラニなので、直視するのを避けている」と疑う声も出ている。
アベンヤ司教は西側諸国に、自国の人々の命を救ってくれるよう訴え、「私たちの信者たちは、暴力を振るわれて殺されるか、難民として生きざるを得なくなっています。そして、西側諸国は、フラニ問題を単なる国内問題だという見方を取り続けている」と西側諸国の無関心を強く批判した。司教の発言に先立って、ナイジェリアのカトリック司教協議会は声明を発表し、「我が国が大量の虐殺場と墓場になりつつある」のに何もしない責任を取って辞任を考えるように、とブハリ大統領に要求した。
司教はまた、フラニ武装勢力が使っている武器の供給元についても言及し、「羊飼いたちは、一時、棒切れだけで”武装”していたことがある。だが、今は、彼らはAK47カラシニコフ自動小銃で武装している-彼らがとても自分では買うことのできない高価な武器です。ということは、彼らにそれを与えているのは誰なのでしょう?」と問いかけた。そして、こう付け加えている。「しかも、この地域には、2キロごとに検問所が設けられています。武装した男たちが家畜の群れに後を追われて見えなくなることが出来るのでしょうか」と。
今年初めから、ナイジェリア全土で合わせて1000人以上が殺害されている。この国の”家畜戦争”は、北部のボコハラム武装勢力によるイスラム蜂起よりも、もっと恐ろしいものになりつつあるのだ。
(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)
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