・シリアでアルメニア人司祭と父親が殺害ー「イスラム国」が犯行声明

(2019.11.12 Vatican News Linda Bordoni)

 シリア北東部で11日、自動車で移動中のアルメニア人のカトリック司祭とその父親が、武装勢力「イスラム国」(直後に犯行声明を出した)の一団に射殺された。教皇フランシスコは12日、ツィートを通して、二人とその遺族、シリアの全てのキリスト教徒のために祈られ、二人の葬儀に集ったアルメニア・カトリック教会共同体の人々に心から寄り添うことを表明された。

犠牲となったのは、ホブセプ・ベドヤン神父とその父、アブラハムさん。一緒に乗っていたアルハセケの町から来たファディ・サノ助祭も重傷を負った。ベドヤン神父は、トルコ国境に近い、クルド人が多数を占めるカミシリの町のアルメニア・カトリック教会共同体の主任司祭。父のアブラハムさんは、襲撃を受けたデイ・アルゾール県の長を務めており、三人で同県のある教会の修復作業の視察に向かう途中だった。

東部シリアのクルド人支配地域は、ユーフラテス河東岸の石油埋蔵地帯であるこの地域から撤退を決めている米軍の監視下にあるが、3人が襲撃された11日には、やはりカミシリの別々の場所で爆破事件があり、少なくとも6人が死亡、22人が負傷したと伝えられている。

 シリアのアルメニア・カトリックの信徒は同国では少数派だが1742年に公認されてから3世紀近い歴史を持ち、信徒数は約60万人。共同体はローマ教皇と完全なつながりを持つ、自主的な部分教会を形成している。シリアには、アレッポ北西部を中心に10万人以上のアルメニア人が住んでいたが、シリア内戦で、多くがアルメニアなどに避難している。

 イスラム国を名乗る武装勢力はキリスト教徒迫害を続けており、以前、イラクとシリアのかなりの地域を支配していた時には、何千ものキリスト教徒を故郷から追い出している。

 シリア内戦が始まって以来、多くの司祭たちが、この地域で殺害されたり、行方不明になっている。殺害された中には、2015年にホムスで射殺されたオランダ人イエズス会士、フラン・バンデルルート神父、2013年に「イスラム国」を名乗る武装集団に斬首されたフランシスコ会士、フランソワ・ミュラ神父がいる。

 誘拐され、いまだに消息がつかめない司祭には、2013年にラッカで行方不明になったイエズス会士、パオロ・ダログリオ神父、同町の北西部で誘拐されたブロス・ヤジギ、ヨハンナ・イブラヒムの二人の東方教会司教、アレッポのアルメニア・カトリック教会のミシェル・カイヤル神父、東方教会のマヘル・マフズ神父がいる。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

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2019年11月13日