・エクアドルの大司教が既婚男性の司祭叙階を支持-アマゾン地域シノドスを前に(Crux)

(2019.9.16 Crux Rome Bureau Chief Inés San Martín )

Amazon archbishop backs ordination of married priests

Archbishop Rafael Cob of the Diocese of Puyo in Ecuador. (Credit: Crux/Ines San Martin.)

 キト(エクアドル)発=10月6日から27日にかけてローマでアマゾン地域の9か国の司教たちが集まって地域シノドスが開かれるが、エクアドルのラファエル・コブ大司教が14日、Cruxを含めた報道機関との会見で、この会議に関連して、同地域の司祭に既婚男性を叙階する考えを支持し、遠隔地の共同体に奉仕するためのviri probati(相応しい男性)の叙階試行に賛成する立場を明確にした。

 記者団は、このシノドスに協力する地域の教会のネットワークREPAMが企画したアマゾン地域取材旅行の一環として、エクアドルを訪れている。

 大司教は、カトリック教会の将来について、「教皇フランシスコのような預言者が今もおられることを、私たちは神に感謝しなければなりません」と述べ、同教皇によって開催される今回のアマゾン・シノドスが「歴史的なものになる」としたうえで、この会議の主要議題の一つは「アマゾン地域における教会の可能性」-“clerical institution” から “ministerial one”への”移行””も含むーだと指摘した。

 そして、「私たちは、洗礼で与えられたキリスト教徒-一つの体、一つの家族から、一般信徒、修道者、そして司祭-の使命から、出発せねばなりません」と語り、この”移行”は、司教に会えるのは年2回というような遠隔地にある共同体で秘跡を授けることのできるviri probatiの叙階を認めることも含むことになる、としたうえで、「これは決して新しいことではありません。キリスト教会はそれが始まった時から、していたのです」と強調した。

 ローマ・ラテン典礼における司祭の独身は、4世紀の二ケア公会議以前は義務ではなかった。同公会議では、教会は独身制を、司祭たちがその使命をよりよく果たすうえで”都合がいいこと”と判断したが、大司教は、「その決定は、(独身制の)他に選択肢がないことを意味しませんでした」「viri probatiは、アマゾン地域における極めて具体的な問題に応えるものであり、通常の司祭独身制に疑問を呈することは意味しません」と説明した。

 大司教はまた、「アマゾン地域は大きな地政学的な課題を提起しています」と述べ、また司祭職の候補者たちの不足も司祭の独身制の規範維持の問題と関係しており、それは先住民の人々には理解されないことではない、とする一方、遠隔地に赴く意欲のある司祭は大幅に減っている、と述べた。

 また、「既婚者の司祭叙階が教会内に分裂を生まないのか」との問いには、「私が心にかけているのは、アマゾンで教会が活動にどのようにしたら最善の対応ができるか、ということです」と答えた。

 さらに大司教は、教会できる女性が幅広い役割を果たすことへの強い希望を示し、アマゾン地域で、女性たちが「何十年にもわたって『福音宣教の前衛となってきた』ことを強調。「聖体祭儀や言葉の祭儀はこれまで男性の独占場とされてきましたが、今日、『聖体祭儀の卓越した司式者』となっている女性がいます… どうして、女性たちを”普通”の存在にしないのでしょうか?」と、逆に問いかけた。

 大司教によれば、カトリック教会は、教会法によって「制度的な裏付け」をせずに、女性たちに仕事を任せ続けることはできない。別の例として、女性たちが、本来は司祭の仕事とされていた「小教区管理者」として働いていることを挙げた。

 また今回のアマゾン地域シノドスについて、この地域の福音宣教を向けなおすという意味で重要だが、「教皇フランシスコが環境回勅”Laudato si”で指摘された”統合的なエコロジー”の視点が重要である」とし、気候変動への取り組みで、「教皇は、人類は力を合わせることの必要性を理解しておられます」と述べた。

 今回の地域シノドスがローマで開かれることの意義について大司教は「アマゾン地域だけでなく、世界の教会全体のために開かれるもの。アマゾン地域の熱帯雨林、カトリックの存在は『地球を評価する基準』となるものです」「今回の会議は、究極的には”命”と統合的なエコロジーに関する議論の場、「私たちが考え始めようとしているのは、いま求められている軌道修正、司牧と文化的変容」にタイミングよく対応する場、です」と強調。

 「アマゾン地域に入り、そこに住む人々を見る時、その豊かさ、生を理解する哲学、そして一番大事にしていること、私たちが学ぶことはとても多い」と語った。

Follow Inés San Martín on Twitter: @inesanma


(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年9月16日