・”性的虐待”で、カトリックであることに疑問を持つ信者が米国で増加-ギャラップ調査で(Tablet)

(2019.3.14  THE TABLET)

  (Holy Name Cathedral, Chicago. File pic.=Photo: Ruth Gledhill/The Tablet)

Catholics question Church commitment in wake of abuse crisis

 聖職者による未成年者などへの性的虐待問題が長期にわたって深刻化する中で、米国では、自身の教会とのつながりに疑問を抱くカトリック信者が増加している。

米大手世論調査会社ギャラップ(https://news.gallup.com/topic/blog_pm.aspx)による、今年1月現在で全米のカトリック信者581人に聞き取り調査を実施した結果が、明らかになった。

それによると、ミサへの参加など積極的な活動をしていないカトリック信者は、そうでない信者よりも自己の宗教に疑問を感じているが、大多数の信者は依然として、教区司祭と教皇フランシスコへの信頼を持ち続けている。

今回の調査では、全信者の約4分の1、37パーセントが「性的虐待がもたらした危機は、カトリック教会の信徒であり続けることに、疑問を持たせている」と答え、2002年の調査結果である「5分の1強」よりも多くなった。

 しかし、ギャラップは「信者であることに疑問を抱いている人々が、実際に教会を離れると決断するかどうかは明確でない。多くの信者は教会を離れることを考えるかもしれないが、結局はそうしない、と決めるか、さもなければ、教会を離れることは考えないが、カトリック教会のこの問題への対応に対する不満の表明として、このような回答をしている、と思われる」と説明している。

 回答の内容は、教会とのかかわり方によって相違がみられる。「教会に全く、ないしは、ほとんど行っていない」と答えた信者の約半数、46パーセントは、信者であり続けることに疑問を抱いている。これに対して、「教会に毎月に一回は行く」信者の4分の1弱、「教会に毎週行く」信者の5分の1が教会への忠誠に疑問を持つにとどまっている。

 調査結果を受けた評価として、ギャラップは、「先の全世界の司教協議会会長たちを集めた会議で、教皇は、性的虐待に対して強い言葉を述べ、多くの信者は、虐待防止のために、性的虐待を犯したいかなる聖職者も例外なく厳罰に処する(”zero tolerance ”)など、これまでより厳しい手段がとられることを希望している。バチカンは、この会議を受けて、具体的な対処に関するガイドラインを全世界の司教あてに提示する、としており、米国の教会指導者たちはさらに厳格な手段を検討している」としたうえで、「米国の信者たちは依然として、教皇フランシスコに最も高い信頼を置いているが、そのような回答者のうち58パーセントは、カトリック教会の指導者としての教皇の役割が弱いように思われる、としているようだ」と判断。

 さらに、「教会にとどまることに疑問を抱いている37パーセントの信者のうち、何人が、現在の性的虐待スキャンダルで実際に教会を離れようとしているのか、明確ではない」とする一方で、「教会が、伝統的な宗教からの離脱という社会的な傾向が強まっていることへの対応を求められている中で、信者と教会の絆のいかなる形の喪失も、歓迎されないニュースであることは確かだ」

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

 

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2019年3月16日