・仏で司祭が性的虐待で有罪。監督の枢機卿は執行猶予判決に不服で控訴中(VaticanNews)

(2019.7.4 VaticanNews Cyprien Viet)

 1970年代から80年代にかけて数十人の思春期の子供たちに性的虐待を働いたとして、リヨンの司祭がフランスの教会裁判所から4日、有罪判決を受け、司祭の資格をはく奪された。また、この事実を知っていながら同司祭について適切な措置を取るのを怠ったとして、管轄の教区長だった枢機卿はすでに、リヨン地方裁判所で執行猶予付きの有罪判決を受けている。仏司法当局による同司祭の裁判の日程は今後明らかにされる見通し。

 教会裁判所で有罪判決を受けたのは、ベルナール・プレイナ神父。現在73歳の同神父はフランスのリヨン郊外で、彼を信頼しているボーイ・スカウトの複数の隊員に性的虐待をしたとして訴えられていた。この事件に関連して、リヨン大司教のフィリップ・バルバラン枢機卿も、管轄の大司教区で起きた同神父のスカウト隊員に対する虐待の申し立てを受けたにもかかわらず関係部署に報告を怠ったとして、リヨンの裁判所から執行猶予の判決を受けていた。虐待が行われていた当時、バルバラン枢機卿はリヨン大司教区のトップではなかったが、プレイナ神父の小教区での地位を2015年まで、そのままにしていたことが、問題とされた。

  フランスの司教協議会は4日、声明を発表し、刑事訴訟を担当する同国の教会合議制裁判所の判断は、ベルナール・プレイナ神父が「16歳以下の未成年に対して性的な犯罪行為を犯したことを、有罪と認める」だった、と述べた。

 プレイナは、1970年代から20年にわたって、サント・フォワ・レ・リヨンのボーイ・スカウト団の責任者を務めていた。この団は主要なスカウトの活動と直接関係をもたなかったため、監査の対象とされておらず、10数年以上経ってから、同国の人権団体「ラ・パロル・リベレ」が、この性的虐待の被害者は何十人にも上ると発表して、問題が表面化した。原告の被害者側が補償を求めていることから、バルバラン枢機卿は時効の放棄を申し出、司法手続きは2018年8月6日の公判開始をもって始まっていた。

 司教協議会の声明は「(注:性的虐待の)諸事実およびそれが繰り返しなされたこと、きわめて多くの被害者を出したこと、プレイナが自ら創設、指導を続けてきたスカウト団において、指導者および担当司祭としての権力を乱用したこと-に鑑み、法廷は、教会法に基づき、最も重い懲罰-司祭の資格はく奪-を課することを決めた」と判決理由について説明した。

 プレイナには、判決の効力が発生して一か月以内にバチカンの教理省の法廷に控訴することができる。また、教会裁判所は、今後、被害者から求められている金銭補償について検討する予定。

 一方、バルバラン枢機卿は3月に、リヨンの地方裁判所から、プレイナの問題行為について多くの報告を受けていたにもかかわらず、担当の小教区から外すことを怠ったとして、6か月の執行猶予付き有罪判決を受けていた。枢機卿は判決を不服として控訴しており、控訴審は11月28日から始まる予定。また、リヨン大司教区は、ミシェル・デュボス司教が管理者として教区長の職務を代行するが、バルバラン枢機卿はリヨンの名義大司教にとどまる。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2019年7月5日