経済回復 慢心を警戒…ダボス会議閉幕 「金融危機前に似ている」

(2018年1月28日 読売新聞朝刊)

 【ダボス(スイス東部)=戸田雄】世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)が26日、4日間の日程を終えて閉幕した。世界中から集まった各国首脳や大企業の経営者らからは、世界経済の回復を歓迎する声があがる一方、過度な慢心を警戒する指摘もあった。保護主義の台頭を抑えるため、格差の解消が必要との認識も示された。

  成長に自信

 「良好な金融環境や財政政策により、120以上の国が成長に向かっている」。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は26日の討論会で、世界経済の成長に自信を示した。

 IMFは会議の開幕前、多くの国の2018年と19年の経済見通しを上方修正した。米ダウ平均株価は史上最高値の更新ラッシュに沸き、日経平均株価も26年ぶりの高値圏にある。日本銀行の黒田東彦はるひこ総裁は討論会で、「日本経済は緩やかな成長を続けるだろう」と述べた。

 参加者の多くが世界の景気回復に自信を示す中、リーマン・ショックを経験した金融機関の幹部からは、現在の状況が金融危機前に似ているとの指摘があった。米シティグループのコルバット最高経営責任者(CEO)は「市場にまひや矛盾があることは、懸念材料だ。次の危機は必ずやってくる」と強調した。

  格差解消

 主要国の首脳が共通して訴えたのは格差解消の必要性だ。マクロン仏大統領は「グローバル化が低・中所得者層にも利益を与えるものであることを、示さなければならない」と訴えた。

 国際労働機関(ILO)によると、世界の若者(15~24歳)の失業率は高止まりしており、25歳以上の約3倍に上る。国際NGO(民間活動団体)の「オックスファム」は会議前、「世界に1年間で生み出された82%の富を1%の富裕層が独占している」と指摘し、世界のリーダーたちに対策を呼びかけた。

 世代間の不平等や貧富の差の拡大は、景気回復の恩恵から取り残された層の不満を招き、保護主義の台頭やテロを招く一因となっている。こうした問題への取り組みについて、メルケル独首相は「ローマ帝国の時代から、孤立主義は安定をもたらしてこなかった。多国間の協力が問題を解決する最善の方法だ」と訴えた。

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2018年1月28日