New report documents ‘complicit silence’ on child sex abuse(Crux)


ROME – A yearly report published by an Italian watchdog organization against pedophilia and child pornography offers a glimpse of this widespread and complex phenomenon. But according to the priest who founded it, the global reality of pedophilia is still met by “complicit silence.”

“Our report highlighted the very few countermeasures that exist and a diffused indifference,” said Italian Father Fortunato Di Noto, founder of the anti-abuse network Meter Onlus that issued the report, in an interview with Crux.

For the past 30 years, Di Noto and his non-profit organization have been working tirelessly to identify and report pedo-pornographic material hidden in all the corners of the internet. Its 2018 report, released March 21, shows that while the number of monitored links has decreased, there was an increase of content containing sexual violence against children.

In 2018, Meter found and reported to the appropriate authorities over 3 million photos and more than 1 million videos.

While these numbers may be shocking, they only refer to those identified and reported by the non-profit, which is only a small part of the picture. “These numbers don’t reflect the reality,” Di Noto said, which instead is much, much bigger.

At the end of the February abuse summit, which brought together the heads of bishops’ conferences from around the world to discuss the protection of minors within the Catholic Church, Pope Francis said that more than 18 million children are victims of sexual abuse in Europe alone.

According to World Health Organization data from 2014, more than 120 million children are sexually abused worldwide, and official government data showed that in the United States 700,000 children are victims of either physical violence or abuse every year.

Di Noto lives under Italian state protection after he uncovered thousands of prostitution rings involving children both in Italy and abroad and received numerous death threats, demonstrating that being on the side of the world’s most exploited children can also mean putting one’s own life at risk.

Meter’s purpose is also that of “creating a collective conscience” for the protection of minors, Di Noto said, which can only be done through partnerships and collaborations with countries and institutions. Meter provides training for abuse prevention at schools, conferences and dioceses and plans to bring its findings and know-how to the United Nations.

“We are always available to the Church, and also other religious confessions, to bring our experience,” the priest said.

Working together is paramount to fighting the sexual abuse of minors, since many countries and nationalities are involved in the trafficking of child pornography. The Meter report showed that the island of Tonga in Oceania has the highest number of fist level domains containing images and videos of the sexual abuse of minors, followed by Guernsey in the English Channel and the British Indian Ocean Territory.

These islands are simply the geographic location of the servers providing the internet domain, but the actual perpetrators can be found elsewhere – like placing foreign plates on one’s car to avoid being fined or arrested. But Di Noto believes that internet providers should still take an active role in preventing the distribution of child pornography.

“We point our finger to the tech magnates, because they cannot tolerate that this tragedy exists in the spaces of the web,” he said.

Meter traced the links containing child sexual abuse to Europe (6,388), America (5,926), Asia (155), Africa (120) and Oceania (31). The group reported more than 166,000 sites in the past 15 years, picking up a lot of data concerning the traits and techniques of predators on the internet.

Children between the ages of eight and 12 are the ones preferred by online pedophiles, followed by children between the ages of three and seven. Hundreds of media files depicting the sexual abuse of infants from zero to two years of age were also found by Meter.

From file sharing services to the Deep Web, online predators searching and providing child pornography have adapted to new technologies, making them harder to identify and trace. Di Noto also spoke of the existence of lobbies that promote child pornography, from offering tips on how to “groom” children to chat rooms where they share their experiences.

Di Noto feels like he has “an evangelical mission” to eradicate this phenomenon but cannot do it alone. Local authorities and international organizations must join forces if this evil is to truly be eradicated, the priest said.

“There is no preventive and education action, which is a silver bullet for a process of child protection. There is no uniform law,” Di Noto said in a statement.

“Europe and many countries in the world should responsibly and seriously deal with the protection of children, but this does not happen. Silence and indifference kill even more the weak lives of children victims of such pervert and cruel action. An abuse remains an abuse, and it leaves permanent marks.”

2019年3月23日

・”性的虐待サミット”受け、ドイツ司教団が聖職者の権限制限の”シノドス的措置”実施へ(TABLET)

(2019.3.19  THE TABLET  Christa Pongratz-Lippitt)

 ドイツ司教団が、聖職者の権限を制限する「binding synodal procedure(仮訳:拘束力を持つシノドス的措置)」を採用することを決定した。この措置では、「聖職者による性的虐待」と「聖職者の独身制」についても扱い、一般信徒の組織であるドイツ・カトリック一般信徒中央委員会(ZdK)と共同で組織運営が行われ、その主体は三つのフォーラムで構成される。

 14日まで開かれたドイツ司教協議会総会の閉幕に当たって、会長のラインハルト・マルクス枢機卿は、司教団は計画中の集まりに対して「シノドス」という言葉を使うのを意図的に避けた、と説明したが、これは、バチカンに承諾を得ることを前提としたものだ。枢機卿は「私たちは待ちたくありませんでした」と述べ、特に、教会法の観点からは、このような集まりはシノドスではない、計画中の手続きが義務的なものでないことを意味しない、と強調した。

 計画中の拘束力を持つシノドス的措置のための三つのフォーラムは、今回の総会で決定された、とマルクス枢機卿は述べた。このうち「権力、参加、(権力の)抑制と均衡」に関するフォーラムはシュパイアー教区長のカール・ハインツ・ビーゼンマン司教、「性道徳」に関するフォーラムはオスナブリュック教区長のフランツ・ヨーゼフ・ボーデ司教、そして「聖職者のライフスタイル」に関するフォーラムはミュンスター教区長のフェリックス・ゲン司教が、それぞれ責任者を務める。

 拘束力を持つシノドス的措置では「聖職者の権力に求められる制限のために何をすべきか」「公正に法的に制限をする制度を作るために何をすべきか」について明確にされる。司教団は、未成年に対する聖職者による性的虐待への懲罰手続きのための特別法廷の設置、ドイツ司教協議会の中に行政の問題を扱う法廷の制度の創設、を提案した。

 さらにマルクス枢機卿は、教会の性的道徳はまだ「決定的な神学的、人間科学的な洞察」を完全には咀嚼できていない、と言明。これまで「性的関心の個人的な重要性に対して、十分な注意も払われてこなかった」ことも認めた。また、司教と司祭のライフスタイルは、手直しが必要で、司教たちは聖職者の独身制について高く評価しているが、司祭職にとってそれがどこまで必要なのか、将来、はっきりさせることになるだろう、とも語った。

 また、一般のカトリック信徒に対しては、「私たちは皆さんにお会いして、ご意見をお聴きします。皆さんの批判、心配、必要、疑問、そして要求をお聴きします。私たちはそのことを理解している、と正直に申し上げることができます」と約束した。

 拘束力を持つシノドス的措置が導入されることを、ドイツ・カトリック一般信徒中央委員会(ZdK)のトーマス・シュテルンベルグ会長は賛意を示したが、一方で「何を議論し、決定すべきかを、完全に明確にせねばなりません。単なる結論の出ない議論になるなら、強い不満をもたらすことになります。カトリック信徒たちは改革をこの目で見たいのです」とドイツのカトリック・オンラインマガジン Kirche-und-Leben.deと強調。具体的には、措置(の実施決定)についての定足数の規定も含めた法的な拘束力を明確にする必要がある、と指摘した。

 マルクス枢機卿は17日に開かれたミュンヘン教区協議会の会合で、「シノドス的措置の導入は、ドイツ司教団が教会の教説を発展させることが可能、と判断したことを示している」と語った。ドイツの教会は(世界のカトリック教会改革の)先頭に立つ。「ローマ(バチカンの具体的な動きを)待っているべきではありません。求められているのは、確かな圧力をかけ、改革への積極的な意思が見えるようにすること、そうしなければ何も変わからない」と訴え、全世界でみれば、「(少なくない地域の教会が)性的虐待問題をいまだに脇に置いていることに、教会制度的な根拠があるのかどうか」が問われている、と指摘した。このような課題への対応は、”時代精神”への服従ではなく、「福音に沿った、より良いやり方」で確かな改革を見つけ出そうとするものだ、と強調した。

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

 

 

 

 

 

2019年3月22日

・「女性が司祭になるのは全く自然なこと」とベネディクト修道会の女性リーダー言明

(2019.3.19 カトリック・あい)

 ドイツの最有力女子修道会のトップが、カトリック教会が女性を司祭叙階から排除していることに強い疑問を呈した。

 18日付けのフランスの有力インターネット・ニュースLa Croix International newsletter@international.la-croix.comが、独バイエルン州トゥッツィングのベネディクト女子修道院のルート・ショーネンベルガー院長が独カトリック教会の公式ウエブサイト katholisch.deとのインタビューで語った内容を伝えた。

 その中で、シスター・ショーネンベルガーは「女性たちが司祭のなることは全く自然なことです。どうして認められないのか、その理由が理解できません」と語り、「キリストの現存が男性だけに帰してしまっているのはおどろくべきこと… 私たちのいるトゥッツィングには、とても優れた女性の神学者たちがいます。彼女たちに欠けている唯一のものは、司祭叙階。それ以外には何も欠けたところはないのです」と訴えた。

(YouTube photo)

 彼女が2015年から院長を務めているこの女子修道院は、全世界のベネディクト女子修道会の修道院の中で最重要の一つ。1885年にトゥッツィングのベネディクト会のシスターたちが創設し、これが本部となって、現在では世界19か国で1300人のシスターが活動中。ショーネンベルガー院長は、70人のシスターがいるトゥッツィングの修道院のほか、もう二つの修道院のトップを兼ねている。

 院長は、司祭職の適否を判断する基準は一方の性に置かれるべきではない、とし、「私たちが司祭職に持っている考えを根本的に改めることは、緊急の課題。司祭たちが、現在の状態に批判の声を上げないのは、まったく驚くべきことです」と訴えた。

 さらに「世界中のこのような(注:男女聖職者の間の)力の不均衡は本当に憂慮すべき状態。それに対応することを学んでこなかったのは残念なことです。しっかりと対応せねばなりません」として、不均衡是正へ具体的に踏み出すための開かれた話し合いの場を持つよう関係者に呼び掛けた。院長はすでに、シスターたちとそうした議論を頻繁に行っている、という。

 「結局のところ、私たちは毎日、従属の見本を経験しているのです。修道女のグループとして、私たちがともにミサを捧げたいと思えば、現状では、男性に来てもらわなければ、一日たりとも、できない。彼は祭壇に立って、ミサを主宰します。私たちにはそれが認められません」と現在置かれている立場を説明。「私たちは、自分たちに合った、ミサ典礼を求め、新しい形を工夫したいのです」と訴えた。

  ベネディクト会のファール(スイス)女子修道院のイレーネ・ガスマン院長は先月から、「男女の平等を求める祈り」を始めているが、ショーネンベルガー院長と彼女の修道院はこの運動を全面的にサポートしている、と述べた。ガスマン院長は、全世界のベネディクト修道会、そして教会や他の修道会に、この祈りへの参加を求めているが、ショーネンベルガー院長はこれだけでは不十分としたうえで、「なぜ、教会の中で男女平等を祈らねばならないのでしょうか。一番大事なのは、改革についてのすべての議論は神に捧げられるべきものだ、ということです」と語っている。

 

 

 

2019年3月19日

・仏大司教「東方教会では当然、司祭不足への対応にも」-既婚男性の司祭叙階の議論に一石

(2019.3.17 カトリック・あい)

  フランスの大司教が既婚男性の司祭叙階を公に支持、既婚男性が司祭になる手立てについて検討されるべきだ、との考えを明らかにした。

 ポアティエ教区長のパスカル・ウインツェ大司教(59)が8日放送された仏リヨンのラジオ局RCFの番組の中で語った、として、15日付けのフランスの有力カトリック・インターネットニュースLaCroix(https://international.la-croix.com)が伝えた。

 それによると、大司教は「私は独身を選び、それが私という人間に合っています… しかし、東方教会では、既婚者が司祭になることができ、ずっとその職を続けています」と指摘。東方教会の既婚司祭たちは、これからも、家庭を持ちながら、聖職者であり続けられる、とし、「日曜日には彼らはミサを捧げ、祈り、福音を説きます」と述べ、さらに、女性たちも、ミサは捧げることはできないが、もっと頻繁に説教ができるのが望ましい、との考えを示した。

 また大司教は、フランスも含め世界中で深刻な問題になっている司祭による性的虐待問題に関連して、司祭と司教について「神聖な人格」として考えらていることに疑問を呈し、「人々の中には、キリスト教徒のロジックで見ている人がいますが、実際には司祭あるいは司教(だからといってそれだけで)は神聖な人物となりません…。私たちは宣教への特別の奉仕に呼ばれた者たちです。どの人も神聖であり、司祭だけが神聖、ということはないのです」とも述べた。

 大司教はこの後、LaCroixとのインタビューにも応じ、既婚男性の司祭叙階を支持することに関連して、「教会にかかわる既婚男性を叙階できれば、(司祭不足から)ミサができなくなった所でも、ミサが再開されるのが可能になりえます」と述べた。

 ただし「このことは、独身男性が司祭になることをあきらめるのを意味しない」とも語り、「今日、私たちが直面している主要課題は、司祭の養成であり、いかに彼らを人間的にバランスし、霊的に成熟した司祭にするか、ということです」と強調した。

 

 

 

 

 

2019年3月17日

・”性的虐待”で、カトリックであることに疑問を持つ信者が米国で増加-ギャラップ調査で(Tablet)

(2019.3.14  THE TABLET)

  (Holy Name Cathedral, Chicago. File pic.=Photo: Ruth Gledhill/The Tablet)

Catholics question Church commitment in wake of abuse crisis

 聖職者による未成年者などへの性的虐待問題が長期にわたって深刻化する中で、米国では、自身の教会とのつながりに疑問を抱くカトリック信者が増加している。

米大手世論調査会社ギャラップ(https://news.gallup.com/topic/blog_pm.aspx)による、今年1月現在で全米のカトリック信者581人に聞き取り調査を実施した結果が、明らかになった。

それによると、ミサへの参加など積極的な活動をしていないカトリック信者は、そうでない信者よりも自己の宗教に疑問を感じているが、大多数の信者は依然として、教区司祭と教皇フランシスコへの信頼を持ち続けている。

今回の調査では、全信者の約4分の1、37パーセントが「性的虐待がもたらした危機は、カトリック教会の信徒であり続けることに、疑問を持たせている」と答え、2002年の調査結果である「5分の1強」よりも多くなった。

 しかし、ギャラップは「信者であることに疑問を抱いている人々が、実際に教会を離れると決断するかどうかは明確でない。多くの信者は教会を離れることを考えるかもしれないが、結局はそうしない、と決めるか、さもなければ、教会を離れることは考えないが、カトリック教会のこの問題への対応に対する不満の表明として、このような回答をしている、と思われる」と説明している。

 回答の内容は、教会とのかかわり方によって相違がみられる。「教会に全く、ないしは、ほとんど行っていない」と答えた信者の約半数、46パーセントは、信者であり続けることに疑問を抱いている。これに対して、「教会に毎月に一回は行く」信者の4分の1弱、「教会に毎週行く」信者の5分の1が教会への忠誠に疑問を持つにとどまっている。

 調査結果を受けた評価として、ギャラップは、「先の全世界の司教協議会会長たちを集めた会議で、教皇は、性的虐待に対して強い言葉を述べ、多くの信者は、虐待防止のために、性的虐待を犯したいかなる聖職者も例外なく厳罰に処する(”zero tolerance ”)など、これまでより厳しい手段がとられることを希望している。バチカンは、この会議を受けて、具体的な対処に関するガイドラインを全世界の司教あてに提示する、としており、米国の教会指導者たちはさらに厳格な手段を検討している」としたうえで、「米国の信者たちは依然として、教皇フランシスコに最も高い信頼を置いているが、そのような回答者のうち58パーセントは、カトリック教会の指導者としての教皇の役割が弱いように思われる、としているようだ」と判断。

 さらに、「教会にとどまることに疑問を抱いている37パーセントの信者のうち、何人が、現在の性的虐待スキャンダルで実際に教会を離れようとしているのか、明確ではない」とする一方で、「教会が、伝統的な宗教からの離脱という社会的な傾向が強まっていることへの対応を求められている中で、信者と教会の絆のいかなる形の喪失も、歓迎されないニュースであることは確かだ」

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

 

2019年3月16日

・豪州の裁判所、ペル枢機卿に性的虐待で6年の実刑

 豪州のビクトリア州裁判所は13日、先に有罪判決を下した前バチカン財務事務局長官で教皇の枢機卿顧問団の元メンバー、ジョージ・ペル枢機卿に対して、児童性的虐待で6年の実刑を言い渡した。全刑期のうち3年8か月服役した後で、仮釈放を請求できる、という条件付きだ。ペルと弁護団は判決を不服として控訴する方針で、その審問は6月5,6両日に予定されている。

 判決理由は、枢機卿がメルボルン大司教を務めていた1990年代に16歳以下の児童二人に性的暴行を働いたというもの。今回の前の罪の有無を問う陪審員の協議では、12人の陪審員全員が有罪の判断をしていたが、刑の重さについては裁判官の判断にゆだねられていた。

 13日の刑の言い渡しで、裁判長のピーター・キッド判事は、ペルと彼についての審理を巡って「魔女狩りか、リンチをする暴徒の性向」が認められた、とし、「それは、正義とは全く縁のないものだ」と弾劾。さらに、ペルについて「カトリック教会の数々の過ちの犠牲にされたのではない」と強く指摘し、教会組織での権力と権威をもつ彼の地位は、その職務に背任いたことで、さらに罪は重くなった、とした。

 そして、彼の犯罪には「不快な要素」があり、「恐ろしく傲慢」な「暴力行為」、「あなたがした事は、正当に評価される余地がないほど言語道断な行為だ」と批判したが、一方で、判事は、彼が裁かれた以外の申し立ては存在せず、今後、ペルが「しっかりと更生」し、教会共同体に対して危険がなくなることを信じている、とも述べた。ペルの名前は、オーストラリアの性的犯罪者の記録に永久に残されることになる。

 77歳のペルは、判決言い渡し前の協議で仮出所が否認された2月27日以来、収監されている。バチカンの財務事務局長官として、財務のトップの地位にあったペルは、未成年性的虐待で有罪になったカトリック教会で最も地位の高い人物だ。この裁判の公益性の高さを反映して、オーストラリアの公共放送であるAustralian Broadcasting Corporationが13日朝の判決言い渡しの模様を実況中継した。

 今回の裁判の一回目の公判は昨年8月に始まったが、陪審が有罪、無罪の評決に至らないまま終わったが、12月の再度の公判で陪審が全員一致で有罪の評決を出した。ペルを有罪としたこの二度目の公判は、当時少年で現在成人して30代になっている男性一人が、非公開審理で、当時メルボルン大司教だった枢機卿に、日曜のミサ後に聖具室でオーラル・セックスを強要された、と証言したことが有罪の決め手になっていた。

 オーストラリアの性的被害者に関する法律では、訴えた人文の名前は秘匿されることが定められており、今回の判決に批判的な人々は、判決内容の妥当性に疑問を投げかけている。判決を受けて地元紙のthe Australianに掲載された投稿で、ペルと長く神学上の対立関係にあるイエズス会士、フランク・ブレナン神父は、判決を「信じられないこと」としている。「判決理由によると、扉が開いたままで廊下から見通すことにできる聖具室の中で、祭服を着たままの大司教が、ミサ直後に犯行に及んだ、としているのは、私の考えでは、信じられない」と神父は書いた。

 今回の判決を受けて、バチカン報道官は、ペルの財務事務局長官としての任期はすでに切れており、彼に対する措置は教会法に基づいて行われるだろう、とし、「バチカン教理省は所定の手続きにより、教会法の規定に定められた期間内に、この問題を処理する」と説明した。

 また、ペルの後継者であるシドニー教区長のアンソニー・フィッシャー大司教は、判決に先立つ今月3日に、「ペル枢機卿の件は裁判が続いており、判決の内容についてコメントできない。控訴でこの件が見直される機会がある限り、最終的な判断をしないように、信徒たちに強く求めたい」と語っていた。「現在の感情的な過熱状態の中で、落ち着いて、礼節をわきまえた振る舞いをするようにお願いする」と訴える一方、「控訴審では重要な問題が調べられる」との見方を示し、「性急な判断を下せば、血を求めて叫ぶ悪魔や弁解者の仲間入りをすることになる」とも警告していた。

(以下、英語原文)

The Supreme Court of the Australian state of Victoria, where Melbourne is located, has set June 5 and 6 for the bid for an appeal to be heard by three justices. Australian sources have described that schedule as “fast-tracked,” given that appeal hearings are often put on the calendar a year or more in advance, and dates are rarely set before a sentence is assigned.

Pell’s appeal will not be led by the lawyer who represented him during the criminal trial, Robert Richter, who came under fire for mismanaging the defense and also for making insulting remarks during the pre-sentencing hearing, in which he described the assault for which Pell was convicted as “a plain vanilla sexual penetration case, where the child is not volunteering or not actively participating.”

Richter later apologized for those comments after abuse survivors termed them “insulting” and “outrageous.”

Instead, prominent Sydney lawyer Bret Walker will represent Pell in the appeal. It remains to be seen if Walker will base the appeal on the same grounds that Richter identified during the sentencing hearing, which were unreasonableness, the prohibition of video evidence in the closing address, and composition of the jury.

Professor Jeremy Gans, a criminal appeals and procedure expert at the University of Melbourne, told the Guardian Australia that unreasonableness is likely Pell’s “best shot.”

“It’s not a rare grounds to succeed on,” Gan said. “This is the defense’s best shot and carries a bonus for them in that if they win there can almost certainly be no new trial. Once a court decides a guilty verdict is unreasonable it means they don’t think guilty should be the verdict in the next trial either.”

“Basically on this grounds of appeal, the court gets to decide if the jury got it right,” Gans said.

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

2019年3月13日

・世界銀行が警告「最貧国の雇用問題、かつてなく深刻に」

(2019.3.8 世界銀行 Eニュース)

 西尾昭彦 世界銀行開発金融総局担当副総裁

 世界では、最貧国を中心に、今後10年間で約6億人分の雇用が必要になると予測されています。 南アジア地域だけを見ても、人口動態の変化に伴い毎年1,300万人分以上の雇用を創出する必要があります。サブサハラ・アフリカに至ってはさらに深刻です。人口は南アジアより少ないのに、毎年1,500万人分もの雇用創出が必要になると見られています。

 雇用は、将来だけでなく、いま現在にも関わる問題でもあることから、状況は一層複雑です。貧しい国々では多くの人々が、仕事には就いていても税金を納めておらず、規制のない非正規部門で、低賃金かつ生産性の低い仕事から脱け出せずにいます。 さらに、都市化の流れが進む中、膨大な数の人々が移り住んだ先で新たな仕事を探していますが、質の高い有償の仕事を見つけることができずにいます。市場が求めるスキルを備えていないことがその原因のひとつに挙げられますが、その結果、多くの人が経済に参画できないまま取り残され、自国の成長に貢献できずにいます。

 生産的で意義のある仕事を急増する労働力人口に見合うだけ創出するには、経済成長と共に経済の変革が不可欠です。生産性の低い活動から高い活動への労働者の移行を活気ある民間セクターが主導し、公共政策が支えていく必要があります。経済の変革を加速させるため、各国は充実したインフラとバリューチェーンを通じて各市場との結びつきを確保すると共に、労働者のスキルや企業の能力を構築し、民間投資を促進する環境を整備することが求められます。そしてこの変革は、女性、若者、そして不利な立場にある人々等、誰も取りこぼすことなく、すべての人々に機会をもたらすものでなければなりません。

 世界銀行グループの基金で最貧国を支援する国際開発協会(IDA)は、雇用創出に向けた各国の取組みを支援しています。事実、IDA第18次増資(IDA18:2020年半ばまでの3年間が対象)では、雇用創出と経済の変革を重点課題に掲げ、雇用創出に着目した革新的プロジェクトへの資金提供、様々な金融商品の活用と徹底した分析、雇用がもたらすインパクトを評価・測定する新たなツールの導入を進めています。

 IDA18は、インフラ、グローバル・バリューチェーン、域内統合及びテクノロジーの構築に取り組むプロジェクトを支援しています。 例えば西アフリカでは、数百万の事業や家庭に電力を届けるため、サヘル地域の太陽光発電といった西アフリカ電力系統への支援を通じて、基幹インフラ提供による域内の電力取引を促進しています。コートジボワールでは、自作農をグローバル市場に結び付ける他、農業生産性の向上、雇用創出を支援しています。さらにケニアでは、中小企業の革新性と生産性を高めるため、労働者と企業のキャパシティ・ビルディングを行っています。

 IDA18はまた、経済の変革を実現するための環境改善にも取り組んでいます。 エチオピアの規制改革とインフラ開発に対するIDA18の支援は、投資環境の改善と共に、政府による野心的な改革プログラムに充てられています。バングラデシュでは、雇用に着目した開発政策支援により、貿易と投資環境の改善に向けた改革の実施、労働者保護の強化、女性や若者の雇用機会の改善を支援しています。

 IDAは、民間セクターを雇用と経済的変革の中心と考えており、世界銀行グループの機関で新興市場への海外直接投資の促進に取り組む国際金融公社(IFC)と多数国間投資保証機関(MIGA)と連携を図っています。IDAの民間セクター・ウィンドウ (PSW)は、脆弱国を中心に13件のプロジェクトに1億8,500万ドルをコミットしています。IDAによる支援は、IFC及びMIGAからの6億ドルの支援を可能にした他、民間投資家から8億ドルに上る資金動員に貢献しました。PSWは、融資対象から外れた中小企業(SMEs)に銀行融資を行う際のリスク共有ファシリティや、SMEへの出資、現地通貨での解決策の提供等、画期的な手法を用いてSMEを支援しています。

 さらにIDAは、デジタル・テクノロジーが持つ大きな可能性を認識しており、世界銀行グループの「デジタル・ムーンショット・フォー・アフリカ」イニシアティブを支援しています。これは、2030年までにアフリカのすべての人、企業、政府がデジタル技術を使いこなせるようにするという野心的なイニシアティブです。我々は、官民のパートナーとも協力し、デジタル・インフラ、スキル、プラットフォーム、金融サービスと起業家精神を土台としたデジタル経済の基盤構築に取り組んでいます。

 IDAは、人への投資、つまり各国の人的資本構築に支援を行っています。そのために、雇用と経済的変革という課題の基盤である健康、教育、社会保護制度の構築に力を注いでいます。

 我々の分析では、IDA対象国には共通した課題が存在します。投資と雇用は都市部という一部の範囲に集中してしまっており、全体的な地域開発には支援の必要な場所が多々残されています。例えば、女性や障害者、その他の不利な立場にあるグループを含め、人口の大半は経済活動に参加できていません。 こうした中、IDAは、女性の就労、地域貿易・域内統合、気候変動に対応した都市化とインフラ、ガバナンスの改善、移住等、雇用関連の課題に取り組んでいます。

 雇用と経済の変革は複雑な課題であり、求められる成果を実現するには長期的かつ継続的なコミットメントが不可欠です。 我々は、IDA18を通じて状況を好転させる努力を進める中、2021~23年を対象期間とするIDA19 を見据え、いかにして現在の取組みを最善な形で継続していくかについて検討を始めています。

 その一環として、2019年3月5日、アジスアベバにおいて、国連アフリカ経済委員会(UNECA)と共に、政策立案者や実務者との会議を開き、各国の取り組みや新たに浮上した優先課題について議論を行います。国や地域のリーダーとのパートナーシップを強化しこの課題に連携して立ち向かうことにより、長く続く経済開発に対する集合的インパクトが拡大していきます。

 雇用をめぐる今後10年間の試練は明確かつ極めて大きく、これまでになく大きく将来を左右することになります。 試練を乗り越えることができれば、数億人に質の高い生産的な雇用を創出することができ、各国の今後の経済状況は明るいものとなり、人々が貧困から脱却するための機会を提供することになるでしょう。IDAは実現に向けて全力で取り組んでいきます。

2019年3月8日

・仏裁判所がリヨン大司教のバーバラン枢機卿に執行猶予付き実刑判決

(2019.3.7 Vatican News)

  フランスのリヨン地方裁判所が7日、リヨン大司教のフィリップ・バルバラン枢機卿(68)に対して、2014年7月から2015年6月にかけて管轄下にある聖職者の性的虐待について報告を怠ったとして、6か月の執行猶予付き実刑判決を出した。

 フランスで司教が性的虐待で有罪判決を受けたのは、2001年のバイユー・リジュー教区長のピエール・ピカン司教(執行猶予3か月)、昨年11月の前オルレアン教区長のアンドレ・フォール司教(同8か月)に次いで3人目。枢機卿の有罪判決は初めてだ。

 バルバラン枢機卿はこの日、刑を言い渡した裁判所には出廷しなかったが、枢機卿の弁護士は控訴するとの方針を明らかにし、「判決理由には納得がいかない。控訴して戦う」とし、裁判所は関係の記録書類とフィルムで不利な立場に置かれている、とも述べた。

 この裁判は1月に結審していたが、検察側は枢機卿にも、彼とともに訴えられていた5人の教会幹部にも罰則を求めていなかったという。

 判決について、リヨン教区事務局は短い声明を出し、バルバラン枢機卿が近く、ローマに行き、教皇に辞表を提出する、と本人が言明したことを明らかにした。フランス司教協議会も声明を発表したが、枢機卿が控訴の権利行使を断念するまで、判決にコメントできないし、辞任の判断についても「個人の良心の問題であり、教皇が適当と考える判断をなさる」としている。

 この裁判に関しては、リヨン教区の司祭、ベルナール・プレイナ神父から性的虐待を受けたとする9人が、枢機卿と教会幹部5人をこの事実を何年間も隠蔽し当局に報告を怠った、として訴えを起こしていたが、幹部5人は提訴期限が切れたとして、訴えが棄却されていた。

 フランスの人権団体“La Parole libérée”のフランソワ・ドゥボー共同代表は、今回の判決を「児童保護にとって大きな勝利」と評価している。

 プレイナ神父の被害者たちは、枢機卿と側近たちがこの問題を裁判に持ち込もうとせず、彼を教会の司牧活動から外す決定を遅らせた、と主張していた。神父は1970年代から1980年代にかけてリヨン郊外でボーイスカウトのチャプレンをしていた時に、公式のボーイスカウト活動をしないグループに所属していた70人以上の少年に性的虐待を行っていた、とされている。この問題が発覚した際には、虐待の規模の大きさからリヨン教区だけでなく、フランスのカトリック教会に大きな衝撃を与えていた。

 被害者たちによれば、教会の幹部たちは1991年には既にこのことを知っていたが、2015年に神父が引退の措置が取られるまで、少年たちに接するのを許していた。神父本人は1970年代から1980年代にかけてボーイスカウトたちを性的に虐待していたことを認めており、今回の裁判とは別に、来年、裁かれる見通しだ。ただし、被害者は85人に上っているとされているが、裁判で対象になるのは、提訴期限の関係で13のケースにとどまるとみられる。

 バルバラン枢機卿は公判中の1月に出した声明で「私は、これらの恐るべき行為を隠そうとしたことは絶対になく、まして隠蔽などしていない」と釈明していた。枢機卿は、プレイナ神父を2015年8月に、教皇の同意を得て、司祭としての職務を解いたが、このことについては「私はローマから求められたことを確実に行った」とする一方で、同神父を2011年にロアンヌ近郊の地域のトップに任命したことについては「軽率だった」ことを認め、「私は、彼に裏にとどまるように言うべきだった」と反省の弁を述べていた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

2019年3月8日

・「ペル」と「マカリック」-バチカンの対応の差の裏にあるものは(Crux・解説)

(解説)

ローマ発ーカトリック関係者の間では知られているとおり、ペル枢機卿が1996年に未成年の少年二人に性的虐待を働いたとして豪州の裁判所から有罪判決を受けるということを、バチカンは(注:実際に判決が出た)昨年12月に知っていた。結果として、26日にそのニュースが流れた時に、バチカンはまったく慌てふためくことがなかったのだ。

 バチカンのスポークスマン、アレッサンドロ・ジソッティが記者たちに大々的に読み上げた声明は、だから、厳しい報道解禁の圧力を受けても、内容でしくじることはなく、それどころか、バチカン当局には、解禁が解けた段階で何を言うかを考える時間が3か月もあった。

 それにしては、声明はおどろくほど簡単なものだった。ペルについての教会による裁判については一言もなく、米国のセオドア・マカリックに対してー教会用語で言えばーあっという間にしたような、枢機卿の資格はく奪、あるいは司祭職からの追放に関する言及は皆無だった。

 この差はどのように説明するのだろう? 答えは極めて簡単ーバチカン高級官僚たちが早い時期に、マカリックの有罪に納得し、ペルについてはまだそうでない、ということだ。

 ここ数日、Cruxはバチカン内外の聖職者による性的虐待に関して改革の主導的立場にある人々と話をしてきた。はっきりしたのは、訴えを受けている聖職者を信用してみようと、自動的に思う人はおらず、幾人かは、ペルの政治的、神学的立場を、彼がしばしば人の感情を害するという見方も合わせて、嫌っていることだ。

 にもかかわらず、ペルが実際に訴えられている案件で有罪となることには懐疑的な見方をとっている。

 皮肉なことに、バチカン内部の人々でペル有罪を歓迎しているのは、性的虐待に関する改革派ではなく、財務面での刷新に消極的な者たちである。彼らは、、財務事務局の長官となったペルが財務改革に斧をふるうのを嫌っていたのだ。

(以下翻訳中)

For those wondering about Pell’s guilt, their ambivalence isn’t rooted exclusively in the generic belief that Pell wouldn’t do it, although many who know the 77-year-old prelate find it hard to swallow. On the other hand, reformers are also well aware that operating on gut instinct and solidarity with fellow clerics is a good part of what got the Church into trouble in the first place, and that experience has shown every accusation has to be taken seriously.

Instead, the doubts are based on the allegations themselves, which require one to believe that an archbishop known as a fusspot for liturgical rules inexplicably broke protocol to head for the sacristy behind the cathedral altar on a busy Sunday. Normally accompanied by aides but at that moment strangely alone, according to the charge, Pell then discovered two choirboys, also by themselves, sexually abused both boys while still wearing his cumbersome liturgical vestments (which cannot be parted in the ways described in the testimony), and then returned to greeting Mass-goers, all without ever being observed by the host of people who constantly move in and out of the sacristy on such an occasion.

As Australian Jesuit Father Frank Brennan, who attended the trial, has written, “The proposition that the offenses charged were committed immediately after Mass by a fully robed archbishop in the sacristy with an open door and in full view from the corridor seemed incredible to my mind.”

Further, Pell’s conviction came in a second trial after his first trial in August ended with a hung jury. Ten of those twelve jurors were ready to acquit, leaving people to wonder about how such a dramatic swing was possible from one trial to the next.

There’s also the politics of Australia to consider, where, due to negative media coverage and his own combative disposition, Pell occupies roughly the same spot in public opinion as Osama bin Laden did in the United States post-9/11. (Yes, that’s an exaggeration, but only slightly.) For some, there are questions about whether a fair trial was really possible.

This background helps explain why the statement on Tuesday was relatively non-committal, saying only that the Vatican would await the results of an appeal while “recalling that Cardinal Pell has confirmed his innocence and has the right to defend himself to the last stage of appeal.”

The statement did indicate that the normal restrictions imposed on clergy accused of abuse, including suspension from public ministry and any contact with minors, remain in force. Gisotti also confirmed later in the day that Pell’s term as Secretary of the Economy had expired, and while neither of those points amount to throwing Pell under the bus, they’re not exactly a ringing endorsement either.

If Pell’s conviction is upheld and convincing evidence emerges that solidifies belief in his guilt, he’ll no doubt face the same fate as McCarrick, and the Vatican will face the same hard questions about who knew what and when. Pope Francis was compelled to promise a thorough review of the Vatican’s archives on McCarrick, and he’d almost certainly have to do the same thing on Pell.

In the minds of many of the people responsible for such decisions, however, that moment has not yet come with George Pell – and therein lies the difference between two cases which, otherwise, may seem remarkably similar.

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

2019年2月28日

・教皇側近のペル枢機卿、豪州の裁判所が児童性的虐待で有罪判決(VaticanNews)

(2019.2.26 VaticanNews Jean Charles Putzolu and Roberto Piermarini)

 前バチカン財務事務局長官で教皇の枢機卿顧問団のメンバーだったジョージ・ペル枢機卿が、児童性的虐待でオーストラリアのビクトリア郡裁判所から有罪判決を受けた。判決理由は、枢機卿がメルボルン大司教を務めていた1990年代に16歳以下の児童二人に性的暴行を働いたというもの。12人の陪審員全員が有罪、との判断をした。

 判決は昨年12月11日に言い渡されていたが、同裁判所は、枢機卿の「不適切な行為」の別件(証拠不十分で却下)の審理に影響を与えないため、25日まで公表を禁止していた。枢機卿は無罪を主張しており、弁護団は判決を不服として控訴を検討している。

 この判決について、オーストラリア司教協議会のマーク・クラリッジ会長は協議会としての次のような声明を出した。

 「過去の児童性的虐待でペル枢機卿に有罪判決が出されたというニュースは私たち司教はもちろん、全豪、そして全世界の多くの人々に衝撃を与えています。司教団はすべての人が法の下に平等であることに同意し、オーストラリアの司法組織を尊重します。判決を下したのと同じ司法組織が枢機卿の弁護団が検討中の控訴にも対応されることになるでしょう。私たちがいつも願っているのは、このような過程を通じて、正義が行われることです。私たちは虐待を受けたすべての人々、彼らが愛する人々のために祈ります。そして、教会がすべての人々、とくに若者たち、傷つきやすい人々にって安全な場所であることを確実にするため、できることをすべて行うことを誓います」。

 また、バチカン放送イタリア語担当のフェデリコ・ピアナ氏はバチカンの未成年者保護委員会の委員でグレゴリアン大学の児童保護センター長のハンス・ゾルナー神父に次のように語っている。

 「私が遠くから聞いたところによれば、今回の捜査、裁判の経過はとても悩ましいものがあります。オーストラリアの裁判制度は私たち欧州の制度とかなり違います。例えば、枢機卿は何か月も前に有罪だと判断されていたのに、それについて話すことも、理由を知ることもできませんでした。今、私たちは有罪判決を知った。それで、もちろん枢機卿は控訴するでしょうし、その結果を待つことになります。どのような場合にも、どのような役職にあろうと、罪を犯したら、罰せられねばなりません。私は弁護士ではありませんし、オーストラリアの複雑な司法制度もよく分からない。私たちは、司法プロセスの第一段階に今いる。枢機卿が控訴をする、そしてどのような結果が出るか見守る、ということになります。オーストラリアでは、これまでにアデレードのフィリップ・ウイルソン大司教の裁判がありました。彼は聖職者の性的虐待を隠蔽したとして、一審では有罪になりましたが、二審では無罪になっている。今回はどうなるか見守りましょう」。

・・・・・・

 枢機卿は1996年にメルボルン大司教、2001年にシドニー大司教となった後、2年後に枢機卿に叙せられ、教皇フランシスコから枢機卿顧問団のメンバーに招かれ、バチカン改革について助言する役を与えられていた。

 性的虐待について捜査する王立オーストラリア委員会に2014年に召喚され、2015年12月から翌年2月にかけて、1970年代に児童たちを虐待した司祭たちを擁護したとの訴えを受けた。これに対して、枢機卿は2016年2月に、同委員会のビデオでの聴取に応じ、当時いたバララート教区で起きた事案は知らない、と否定していた。さらに同年10月、ローマで、オーストラリアの警察当局から派遣された係官2人から、メルボルン大司教当時の幼児性的虐待の容疑で事情聴取された。

 2017年6月に未成年者性的虐待で正式に起訴され、翌7月に、オーストラリアの裁判所に召喚され、弁護のために、当時務めていたバチカン財務事務局長官の職を離れたが、訴えは根拠がないと強く反論するとともに、性的虐待は「恐ろしい犯罪」との考えも示していた。

 枢機卿は常に未成年者に対してなされた虐待を「不道徳で耐えられないもの」と批判、教皇がバチカンに未成年者保護委員会を設置した時もこれを支持し、オーストラリアの司教時代にも、未成年者保護の要綱をまとめ、被害者に援助を提供していた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

 

2019年2月27日