・バチカン財務長官のペル枢機卿が性的暴行容疑で陪審裁判に

【2018.5.1 CJC】オーストラリア・ビクトリア州メルボルンの治安判事裁判所は5月1日、バチカン(ローマ教皇庁)財務長官のジョージ・ペル枢機卿(76)を複数の性的暴行容疑について陪審裁判にかける判断を下した。ペル枢機卿は同国カトリック教会で最高位、バチカンでも3番目の地位にある。世俗裁判所で裁かれるカトリック聖職者としても最高位。

 2017年6月、ビクトリア州警察は「複数の訴え」を元に、過去の性犯罪容疑について同枢機卿を訴追した。今年3月から始まった予備審問は4週間におよび、30人以上の目撃者が証言した。多くの審問はビクトリア州の性犯罪容疑の裁判方針に基づいて非公開で行われた。公開された審問では、1990年代にメルボルンの大聖堂で起こったとされる事例や、ビクトリア州の映画館やプールでの1970年代の事例について証言が行われた。治安判事裁判所のベリンダ・ウォリントン判事は1日、複数の容疑のうち半数について裁判を行うのに十分な証拠がそろっていると判断した。

 一方、不起訴となった案件については「陪審員が判断を下すには証拠が不十分だった」としている。同枢機卿側のロバート・リヒター弁護士は、最も「下品な」容疑が不起訴となったと説明した。リヒター弁護士は、枢機卿はその地位のために攻撃の対象となっているとした上で、疑いは「不可能」で、原告は「信頼できない」と審問で述べた。枢機卿は警察に全面的に協力している、と同弁護士は語った。

 審問で、枢機卿は顔色を一切変えず、判事に対してためらいなく大きな声で「無罪」と述べた。多数の警察官が警備する中で裁判所に出廷した枢機卿は、「公判中は出国しない」と誓約、当局にパスポートを渡し、保釈されている。バチカンのグレッグ・バーク報道官は「メルボルンの司法当局の決定を真摯に受け取っている」と述べた。これまでのところ、教皇のコメントは出ていない。

 同枢機卿の未成年者虐待容疑は数年前から噂されていた。性犯罪の隠蔽問題ではなく、自身が教会合唱隊の少年たちを礼拝後やプールで性的虐待を繰り返した犯罪容疑だ。

 枢機卿の性的虐待被害者の証言を集めた著書「ペル枢機卿の躍進と蹉跌」(仮題)の著者、ジャーナリストのルイス・ミリガン氏は「1990年代にもメルボルン大司教就任後、ペル枢機卿は2人の合唱隊の少年に性的虐待を行った」と書いている。同女史によると、2人の少年の1人は2014年、麻薬中毒で死去、2人目の犠牲者は「ティーンエイジャー時代にペル枢機卿に性的虐待を受けた」と証言したという。それに対し、枢機卿の弁護側は予審で、「ミリガン氏はその著書の中で事実を歪曲している。そしてペル枢機卿への評価を恣意的に傷つけている」と反論してきた。

 同国のカトリック聖職者による未成年者への性的虐待事件を調査した「聖職者性犯罪調査王立委員会」(2013年設置)が17年2月公表した報告書によると、同国のカトリック修道院関連施設で1950年から2009年の間に、同教会全聖職者の7%が性的虐待に関与し、ある施設ではその割合は40%にもなるとしている。□

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2018年5月7日

・安倍首相、イスラエル・パレスチナ首脳に和平交渉促すーベツレヘムも視察

 (2018.5.2 朝日新聞) 中東歴訪中の安倍晋三首相は1日夜、ヨルダン川西岸ラマラで、パレスチナ自治政府のアッバス議長と会談し、米国を仲介役とする中東和平交渉の再開を呼びかけた。イスラエルと同自治政府との間の信頼醸成を図る狙いだが両者の溝は深く、再開は難しい状況だ。

 安倍首相はアッバス議長との会談で、中東和平について「米国の役割が不可欠だ。米国から提案があれば向き合い、交渉につくことが重要」と述べ、米国の仲介を拒否する議長に交渉への復帰を促した。

 安倍首相はイスラエルと将来のパレスチナ国家が共存する「2国家解決」を支持する日本の立場を説明。エルサレムをイスラエルの首都としたトランプ氏の宣言への直接的な批判は避けつつ、「日本はパレスチナにとってエルサレム問題がいかに機微に触れる問題か理解している。国連決議や当事者間の合意に基づき解決するべきだ」と強調し、「日本大使館をエルサレムに移すつもりはない」と明言した。

 パレスチナ側によると、アッバス議長は米国単独の仲介ではなく、多国間の枠組みを求め、日本にも参加を求めた。パレスチナの経済的自立を支援する「平和と繁栄の回廊」構想の一環として、イスラエル、パレスチナ、日本、ヨルダンの首脳級会合を開く構想に首相は言及したが、具体的な日程などは示されなかったという。首相周辺によると、会合には米国が難色を示しているという。

 安倍首相は2日にはエルサレムでイスラエルのネタニヤフ首相とも会談。日本側の説明によると、トランプ氏がエルサレムをイスラエルの首都と宣言して以降、イスラエルとパレスチナの双方を訪問するのは主要国首脳で初という。

 また安倍首相は2日、平和と繁栄の回廊構想の中心的事業としてヨルダン川西岸エリコに整備され、現在までに12企業が稼働する「農産加工団地」を視察した。首相は記者団に「雇用、利益を生み出すとともに中東和平にとって不可欠な関係者どうしの信頼を育んでいくことにもつながる。中東和平の実現に日本も貢献していきたい」と強調。「橋渡し役」を務める考えを改めて示した。(エルサレム=高橋福子、渡辺丘)

 【2018.5.3 CJC】安倍晋三首相は4月29日から5月3日までの日程で、アラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダン、パレスチナ、イスラエルの4カ国・地域を訪問、イスラエルとパレスチナ自治政府の双方に直接対話を呼びかけるなど、中東和平交渉に積極的に関与する姿勢を示した。首相同行筋は「首脳のイスラエル・パレスチナ同時訪問がかなわない国は多い。中立の立場で支援を続けた日本だからこそ会えた」と強調している、と時事通信などが報じた。

 首相は5月2日午後、ヨルダン川西岸のパレスチナ南部にあるベツレヘムを訪問した。ベツレヘム訪問は当初の予定になかったが、パレスチナのラマラで1日夜に開かれた夕食会で急浮上した。西村康稔官房副長官が、パレスチナ自治政府のマアーヤ観光遺産相がベツレヘム出身と知り、「30年近く前にバックパッカーで2週間ほど中東を回った。ベツレヘムに行ったことがある」と語ると、観光遺産相は「観光振興をしていきたい」などと応じた。

 安倍首相も「幼稚園児だったころ、ベツレヘムを舞台にした劇に出たことがある。一度は行ってみたいと思っていた」などと語ったところから、訪問が実現したという。

2018年5月7日

・英で、両親の訴えむなしく呼吸器外し、重病の男児死亡(CJC)

 【2018.4.29 CJC】英リバプールのアルダーヘイ小児病院に重病で入院、人工呼吸器によって生命が維持されてきたアルフィー・エバンスちゃん(1歳11カ月)は4月28日、呼吸器が外され、死亡した。

 父親のトム・エバンスさんと母親のケイト・ジェームズさんは『フェイスブック』で発表した声明で、「午前2時30分(日本時間同日午前10時30分)私たちの息子に翼が生えた(天使になった)。私たちは悲しみに打ちひしがれている。これまで支援してくださった皆さん、ありがとう」と述べた。

 アルフィーちゃんは、まれな神経変性疾患で慢性てんかん発作があり、206年12月から入院していたが、人工呼吸器停止が死に直結する状態だった。両親は、アルフィーちゃんの延命を『フェイスブック』で呼び掛け、病院がアルフィーちゃんの人工呼吸器を停止しようとするのを阻止し、治療継続のためにイタリアのローマにある小児病院に転院させるため、司法にも訴えてきた。両親は、裁判所が延命治療の中止を支持する判断を下した後も、最高裁に対して再審請求していたが、最高裁は20日請求を棄却した。人工呼吸器は23日に取り外された。

 教皇フランシスコは28日、『ツイッター』上で、アルフィーちゃんの死の知らせに「深い感傷を覚えている」とコメントした。教皇は「私は小さなアルフィーの死に深い感傷を覚えている。父なる神が彼を優しい抱擁で迎え入れる今、特に彼の両親のために祈りをささげる」と投稿した。教皇はこれまで数回にわたりアルフィーちゃんに言及した。これが世界中で反響を呼び、イタリアとポーランドでは祈祷集会が行われた。

 アルフィーちゃんの父親は18日、バチカン(ローマ教皇庁)で教皇と面会し、「息子を救ってほしい」と嘆願した。教皇は、両親の「新しい治療法を探したい、という願いが聞き入れられること」を望んでいるとツイートし、「生まれてから自然な最期を迎えるまで、命の主は神だけであり、われわれの務めは命を守るために万事を尽くすことだ」と強調していた。□

2018年5月2日

・ナイジェリアでミサ中に司祭二人を含む15人以上が殺害される(Crux)

(2018.4.24 Crux staff) ナイジェリアのカトリック教会と政府が24日確認したところによると、同国中東部、ベヌエ州アヤ・ムバロムの聖イグナチオ・カトリック教会がイスラム系暴徒に襲撃され、司祭二人を含む少なくとも15人が殺害された。同教会のあるマクルディ教区の広報責任者によると、襲撃は早朝のミサ中に行われ、まず家々に火をつけ、食料を略奪し、住民を殺害した、という。

 殺された二人の司祭の一人、ゴー神父は生前、フェースブックに「恐怖の中の暮らしだ。フラニ族の放牧民がなお、ムバロムの私たちの周りにいて、この地を去ろうとしない。草を家畜の餌にしている。私たちには頼りとする武器もない」と助けを求める叫びをあげていた。警察は、同州の他の地域に出ており、襲撃を知らなかった。

 同州はナイジェリアのイスラム教徒が多く住む北部とキリスト教徒の南部から成るベルト地帯にあり、過去数年間、イスラム系フラニ族の放牧民によるキリスト教徒を主体とした農民襲撃が続いており、今年に入ってからだけでも、100人以上が殺戮され、50以上の家屋が破壊されている。

 政府当局は昨年、放牧民の定住を促進することで、農民への襲撃を抑える法律を施行したが、国内をあちこち移動する彼らの慣行を改めさせる効果がでないまま、襲撃が続いている。マクルディ教区の広報責任者は、新聞発表の中で「カトリック教会はこれまで、ベヌエ州で教育や技術実習などを含む住民の生活支援を積極的に進めてきた」とし、「そのような活動の中心となってきた司祭までも攻撃対象とすることは、私たちが大切にし、信じてきた全てのことを壊滅させることを意味する」「ベヌエ州以外のナイジェリア国民は現地の惨状にいまだに無関心。このままでは、州民は身の安全を求めて州外にでるしかなくなる」と内外関係者に理解と支援を訴えている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2018年4月25日

・20言語で初の聖書訳出、聖書協会世界連盟が年次報告

【2018.4.16 CJC】聖書協会世界連盟(UBS)が、世界の聖書翻訳の状況をまとめた2017年の年次報告書を発表した。世界各地域の聖書協会の事業を集計すると、全体で49言語(話者5億8千万人)に、何らかの形で聖書が届けられたことになる。

 一部分とは言え初めて聖書が翻訳されたのは20言語(話者1400万人)。一方、モザンビーク、ミャンマー、南スーダン、台湾、トルクメニスタン、ベトナムで使用されている7言語で新旧約そろった聖書全巻が完成した。4言語で新約が完成、ヨハネによる福音書など「部分訳」が初めて完成したり、増加したのが9言語。

 さらに、時代に合わせた新しい翻訳の作成や改訂も進められている。2017年は2言語で新旧約聖書、8言語で新約聖書、7言語で聖書の一部が、新しい訳で出版された。また9言語で改訂版聖書が出版され、スタディ版聖書は7言語で出された。

 この他、手話訳聖書や点字聖書の事業も世界中で行われており、近年の技術革新に伴う聖書のデジタル化も進んでいる。

 聴覚障がい者のための手話訳聖書の翻訳も世界で行われている。報告書によると、世界には400以上の手話が存在するが、そのうち聖書が一部でも手話に訳されているのは1割程度しかない。手話を第1言語とする人は世界に7000万人いるとされている。聖書の手話訳は現在、世界で26事業が行われており、さらに新たに10事業が計画、準備段階にある。これらが完成すれば、1290万人の聴覚障がい者が聖書に接触可能となる。

 視覚障がい者のための点字聖書の製作も行われている。UBSによると、世界には約2億8500万人の視覚障がい者がいると推定され、このうち4000万人はまったく目が見えない。点字聖書は44言語で新旧約聖書が完成しており、聖書の一部だけが完成しているのは200言語以上と、手話訳聖書よりも進んでいる。

 ただ点字聖書は新旧約全巻では40冊以上になり、印刷費用も1冊600ドル(約6万4000円)近くになる。音声聖書も普及しているが、点字聖書の需要は依然として高い。UBSは、点字聖書は視覚障がい者が聖書を深く読む最も効果的な方法だとしている。2017年は27の聖書協会で点字聖書に関わる事業が行われ、ガンダ語(ウガンダの主要言語)とカシ語(インドのカシ族の言語)ので、一部分ではあるが初の点字聖書が製作された。

 UBSは、各言語の聖書を電子データで保存し共有する『デジタル聖書図書館』(DBL)を進めている。2033年までに世界のすべての言語の聖書を電子データで保存することを目標としており、テキストデータは昨年までに1269言語1735訳が集まった。また、音声データは前年と比べて3倍も増え、732言語1078訳が集まった。DBLに保存された聖書のデータは、米国聖書協会が運営する聖書検索サービス「バイブルサーチ」や無料聖書アプリ「ユーバージョン」(英語)などで利用されている。

 世界には現在、7079言語(話者76億人)が存在する、とUBSは推定している。このうち674言語(同54億人)で新旧約聖書が、1515言語(同6億3100万人)で新約聖書が完成している。また1135言語(同4億600万人)では、聖書部分訳が刊行されている。しかし、3773言語(同2億900万人)ではなお聖書が翻訳されていない。□

2018年4月23日

:教皇、シリアと世界の平和実現への努力を改めて求める

(2018.4.15 バチカン放送)

 教皇フランシスコは15日、バチカンで行われた日曜正午の祈りの集いで、シリアと世界の平和のために祈りを呼びかけられた。

 この中で教皇は、世界の国々や国際組織が提供する様々な手段にもかかわらず、シリアはじめ世界の他の国・地域の平和実現に協調した行動がとれない現状を深く憂慮。平和のために絶えず祈るよう、すべての善意の人々に呼びかけるとともに、政治に責任を負う指導者たちに、正義と平和を優先するるように改めて求められた。

 また、今年3月末にコロンビア国境付近で武装集団に拉致、殺害されたエクアドルのジャーナリストら3人の犠牲者と遺族のために祈られ、主と聖母の助けのもと、一致と平和のうちに前進するよう、エクアドル国民に励ましをおくられた。

(「カトリック・あい」が編集しました)

2018年4月16日

・世界銀行報告書:気候変動で2050年までに1億4,000万人以上が国内移住の可能性


(2018年3月19日 世界銀行ニュース)

ワシントンD.C. ―世界銀行グループは19日発表した新報告書の中で、気候変動の影響の深刻化により人口が密集する3地域で2050年までに1億4,000万人以上が国内での移住を迫られる可能性があると指摘した。これは開発の成果を脅かす人道的危機である。

 しかし、温室効果ガス削減への国際的取り組みや開発への各国の取り組みなどを連携して進めることで、この1億4,000万人以上という最悪のシナリオを8割も低下することができる。これは実に1億人以上にあたる。

 「大きなうねり―気候変動による国内移住者への備え」は、サブサハラ・アフリカ、南アジア、ラテンアメリカといった開発途上地域における、気候変動のなかでも緩やかに進行する事象の影響と国内移住のパターン及び開発の連関性に焦点を当てたこの種の報告書としては初めてのもので、内容は極めて包括的となっている。

同報告書によると、世界及び国レベルで早急に気候変動や開発への対策を講じない限り、これら3地域は2050年までに合わせて数千万人という国内移住者への対応に迫られる可能性がある。こうした人々は、水不足、作物の不作、海面の上昇、又は高潮といった問題が増加するにつれ、生活が一層困難となった地域からの移住を余儀なくされると考えられる。

 同報告書は、経済的、社会的、政治的な理由により既に存在する何百万に上る国内避難民に、こうした「気候変動による国内移住者」が新たに加わるだろうと警告する。

 クリスタリナ・ゲオルギエヴァ世界銀行最高経営責任者(CEO)は、同報告書は各国や開発機関に警鐘を鳴らす役割を果たしていると述べる。

 ゲオルギエヴァは「我々には、気候変動の影響が深刻化する前に、こうして突き付けられた新たな現実に対応する機会がわずかながらも残されている」と述べ、「各都市が、農村地域からの移住者の増加に対処し、教育、研修、雇用の機会を改善するために講じる対策は、長期にわたりプラスの効果をもたらすだろう。また、今いる地域にとどまるのか、あるいは相対的に脆弱性が低い新たな土地へ移住すべきかについて適切な判断を下せるよう、人々を支援することも重要である」と続けた。

 カンタ・クマリ・リゴー世界銀行リード環境専門官が率いる研究チームには、コロンビア大学の国際地球科学情報ネットワークセンター(CIESIN)、ニューヨーク市立大学人口研究所、及びポツダム気候影響研究所の研究者及びモデラ―が参加し、多次元的なモデリングアプローチを用い、対象3地域における気候変動による国内移住者の潜在的規模を試算した。

同チームは、気候変動と開発に関する3つの潜在的なシナリオを検証、最も「悲観的」なシナリオ(温室効果ガスの排出量が多く、不平等な開発の進展)と、「気候変動に適応した」シナリオ、及び「より包摂的な開発」シナリオを比較した。後者2つのシナリオでは、問題に比例しより多くの気候変動対策及び開発への対応がとられると仮定している。いずれのシナリオでも、研究チームは、人口動態、社会経済、及び気候の影響に関するデータ(14平方キロメートルあたり)を用い、国内で考えられる人口のシフトをモデル化した。

 こうした手法により、気候が引き起こす移民の受け入れ地域と流出地域、すなわち人々が離れると考えられる地域と人々が新しい生活・生計を立てるために移動するであろう都市、都市周辺部と農村部の主な「ホットスポット」が特定された。

 「適切な計画と支援を行わなければ、農村地域から都市部に移住する人々が、新たな、そしてより危険をはらんだリスクに直面する恐れがある」と、同報告書作成チームのリーダーであるカンタ・クマリ・リゴーは述べた。「限られた資源に圧力がかかり、緊張や紛争が増す可能性もある。しかし、未来はこうなると決まったわけではない。国内の気候変動による移住が現実となりつつある今、これに対し備えることができれば危機となることはないだろう。」

同報告書は、各国や国際社会がとるべき主要な措置として以下を提言している。

  • 世界レベルで温室効果ガスの排出量を削減し、人々の生活や生活手段にかかる気候関連の圧力を軽減、気候変動が引き起こす移住の規模を全体として縮小する。

  • 開発計画において、気候変動による移住のサイクル全体(移住の前、移住の最中、その後)を勘案する。

  • 国内の気候変動による移住の傾向や流れに対する理解を国レベルで深めるため、データ及び分析に投資する。

2018年3月23日

・カトリック・グループも国際女性デーで決定権拡大など要求

 【2018.3.9 CJC】3月8日の『国際女性デー』に、メアリー・マカリース前アイルランド大統領率いるカトリック女性のグループがローマでシンポジウム「なぜ女性が重要か」を開催した。

 ロイター通信によると、発言者らは、教会における女性の決定権拡大を求めるとともに、教皇フランシスコに対し「女性嫌悪の壁」を打ち砕くよう求めた。

 シンポジウムは、同性婚や女性司祭による叙階を支持するマカリース氏が主要な講演者を務めた。出席者には修道女が多数おり、教会における女性の権利向上を訴える講演者に声援を送った。□

2018年3月14日

・拉致、強姦、息子の殺害・・「それでも私は赦す。イエスがそうされたから」ボコハラムに拉致された女性が語る(Crux)

 (2018.2.26 Crux Editor John Allen and Claire Giangravé) ローマ発―ある意味で、レベッカ・ビトラスの身に起きた話で一番心を揺さぶられるのは、イスラム過激派「ボコハラム」に囚われていた二年間に彼女が被った想像を是する恐怖の体験―イスラム教への改宗を拒んだ理由で三歳の息子が目の前で殺され、ボコハラムの戦闘員に強姦されて妊娠し、出産するという悲惨な体験―ではない。

 悲しいことだが、そのような体験は、ナイジェリアでは珍しいことではない。この国では、ボコハラムが2002年にできて以来、何万もの人が殺され、260万人が故郷を追われた。その残虐行為の結果、380万人が栄養失調になり、何万の子供たちが餓死している。

 そうした中で、ビトラスが特別なのは、「強姦された結果生まれてきた子への嫌悪を乗り越え、洗礼を受けさせ、自分の息子として受け入れる」という、途方もない”赦し”の力を見せたことだ。

 「私は、イエスの赦しの教えを受け入れました」。ビトラスは23日のCruxのインタビューにこう語った。

 「聖書にこのように書かれています。イエスが十字架にかけられた時、二人の盗賊も一緒に十字架にかけられました。そのうちの一人がイエスに、あなたと一緒に天国に連れて行ってください、と願うと、イエスは『あなたは赦された。今日、私と一緒に楽園にいる』とお答えになりました」「私は、このイエスの言葉にならって、自分の心の中に、苦痛と拷問、犠牲をもたらした赦す場所を見つけることができたのです」。

 彼女は読み書きができないが、24日、バチカンに来て、教皇フランシスコに彼女の体験を語る機会を得た。パキスタンで2010年から続いているアラーの神を冒涜した罪で処刑されたアジア・ビビの夫と娘とともに、教皇に謁見することができたのだ。謁見は、迫害されているキリスト教徒を支援するための教皇基金Aid to the Church in Needが企画したもので、ローマ帝国時代に多くのキリスト教徒が迫害されたことを思い起こすために赤い照明で照らし出されたコロセウム(円形競技場)で24日夜行われた特別行事を記念して行われた。

  信教の自由を求める努力は抽象的なもののように思われがちだが、ビトラスは、統計や議論では知ることのできない実際に生きている、本当の、傷を負った人々の現実を思い起こさせてくれた。

 現地語の通訳を通して、彼女は語った。ボコハラムが彼女が夫と二人の子供たちが住む小さな町を襲ったのは2014年8月の夕方遅くだった。「夫は彼らがやってくる、と私に警告して、逃げ出しました」。あとで、夫が逃亡したのを知ったが、彼女と子供たちはボコハラムの戦闘員に捕まり、森にある収容所に連れていかれた。

 「彼らはこう言って、私をイスラム教に改宗させようとしました。『お前は、お前の異教徒の兄弟姉妹のところに戻らない。俺たちとここにいる。ここはお前にとって、いいところだ』と」。

 心の強いキリスト教徒として育てられた彼女は、改宗を拒否した。「すると、ボコハラムの一人が『お前は、イスラム教に改宗する用意ができていない。それなら、教えてやろう』と言いました」。そしてその男は、彼女の三歳の息子をそばの川に放り込んだ。彼女はその子が溺れ死ぬのを見させられた。年上の子が犠牲になるのは受け入れられない、と判断した彼女は、外見上はイスラム教への改宗を受け入れたが、心の中でキリスト教の信仰を捨てることはしなかった。

 「男たちは、私たちを銃で脅して、祈らせました。腰を折って祈る姿勢をとるたびに、心の中で、『めでたし、マリア』『私の父よ』と祈りました」。「そうすることで、私は救われたのです」。

 その後、彼女は男たちに、戦闘員の一人と”結婚”させる、と言われ、妻としてふるまうことを強制された。何か月も強姦され、妊娠し、男の子を産んだ。二年後、ナイジェリア正規軍がボコハラムの占領地に攻撃を始め、彼女は長男、そして6か月になった赤ん坊を抱えてボコハラムの収容所から逃れることができた。無事、脱出することができた時、彼女は、強姦されたつらい体験を忘れるため、赤ん坊を森の中に置いて行こうとした。だが、長男の言葉が、彼女を思いとどまらせた。「長男はこう言ったのです。『僕の弟はもういない。僕には弟がいないんだ。どうして、この赤ちゃん(クリストファーと名付けていた)を連れて行かないの?』」。

 ボコハラムから逃れるのに成功はしたものの、苦難の道は続く。森の中を28日間もさまよい、食料も水もなく、蚊に悩まされ、湿疹ができ、病魔に襲われた。その時にできた湿疹の痕が足や体に残っている。「でも、私は決して、あきらめませんでした」「収容所から逃れて間もなく、神が私を守ってくださろうとしているのが分かりました」「私は神を信じているのです」。

 苦難の末に、集落に出会い、ナイジェリア軍の駐屯地を教えてもらって、出向いたのだが、「まず、疑いの目で見られました。『お前はボコハラムに違いない』と言われたので、「そうじゃありません。私は彼らに拉致された女たちの一人で、逃げ出してきたのです」と必死に訴えた。そして、自分の名前が「レベッカ」だ、と訴えた。ボコハラムは彼女に「ミリアム」という名前を強要していたのだ。

 「ナイジェリア軍の兵隊の一人がイスラム教徒で、私に言いました。『お前がカトリックなら、それを証明しろ』。それで、私は『めでたし、マリア・・」と十回唱え、『栄光あれ』と言って十字を切りました」。彼は納得し、近くの病院で手当てを受けた後、ナイジェリア北部の彼女の故郷、マイドゥグリに移送された。教会に行き、夫と再会した。

 そして、自宅に落ち着いたものの、収容所から連れてきた赤ん坊をどうするか、まだ迷っていた。「誰か、彼の面倒を見てくれる人に渡したかった」「でも、私たちの教区の司教さまが、彼を受け入れるように助けてくださったのです。司教さまは言われました。『この子がどうなるか、誰もわからない。でも、将来、あなたにとって特別の存在になるでしょう』と。その言葉が、これまでの体験を前向きに受け止めるのを助けてくれました」。現地の教会の司祭が、赤ん坊のクリストファーに洗礼を授け、彼女たちをローマまで引率し、イタリア語の通訳も引き受けた。

 ビトラスは語った。このような体験全てを通して、いつも持ち続けたのは、堅固な、ひるむことのないカトリックの信仰だ、と。「家族と一緒に家に帰った後で、ある人たちが私たちに、イスラム教徒でいるように、と言ったことがあります。『あの森の中で、イスラム教徒として暮らしていたんだろう。マイドゥグリではキリスト教徒が殺されていた。それなのに、どうしてお前たちはキリスト教徒なんだ?殺されたいのか?』と言うのです」。

 そこで、彼女は、(キリスト教の信仰の)ほかに選ぶ道はなかった、と答えた。「どのようなことが起ころうと、私は絶対に信仰を捨てなかった」と彼女は言う。「私は信仰を持ちづ付けます。たとえそれが命を終わらせることになっても」。

 今世紀に入ってからのキリスト教徒への迫害の実情を見ると、推定で2億人が虐待、拉致、拷問、殺害の危機にさらされている。レベッカ・ビトラスが体験したことは大海の一滴でしかないのだ。

 だが、教皇フランシスコは彼らとの謁見の後で、迫害の海についての心の変化が、その一滴一滴を知るようになることで始まることを、しっかりと受け止めたように思われた。教皇は「レベッカとアジア・ビビは、今、一段と高まっている迫害の恐怖の社会の証人です」と語り、この二人のキリスト教徒の女性たちは殉教者です、と称えた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2018年2月26日

・教皇、「シリアで続く”非人間的”な内戦に終止符」を訴え

 (2018.2.25 Crux Editor John L. Allen Jr.)

ローマ発―内戦が続くシリアで先日、空爆で多くの犠牲者が出たが、教皇フランシスコは25日正午のお告げの祈りの後、この空爆を”非人間的”なもの、と非難したうえで、このような凄まじい事態を速やかに終わらせるよう、強く訴えた。

 このような事態に対して、教皇は「2月は、7年続いている内戦でも一番ひどい事態が起きています」「何百人、何千人もの市民、子供たち、女性たち、お年寄りたちが犠牲になり、病院は怪我をした人たちでいっぱいになっている・・食べるものを見つけることもできない・・全部が非人間的です」と語り、「邪悪を他の邪悪をもって戦わせることはできません」と言明。

 そして、「私は改めて心から訴えます。このような凄まじい事態をすみやかに終わらせるように、食糧と薬の人道援助が人々に届くように、怪我を負った人、病気の人を危険な地域の外に出すように」とシリア政府と国際社会に強く求め、「そうしたことが、遅滞なく実現するように、神に祈りましょう」とサンピエトロ広場に集まった会衆に呼びかけた。

 フランシスコは、教皇に就任した2013年春以来、シリア和平の実現をバチカンの政治、外交の最優先課題とし、日米欧の主要7か国首脳たちをはじめ関係国首脳への働きかけを続ける一方、シリア難民の保護・受け入れにも努力を続けている。

2018年2月26日