・ナイジェリアの司教、キリスト教徒大虐殺回避を国際社会に訴え(Tablet)

Nigeria bishop warns of genocide against Christians

 Catholic faithful attend a requiem Mass for the victims of Benue State herdsmen attack at St Leo Catholic Church, Nigeria on May 21, 2018 before staging a peaceful protest to condemn the killings in Benue State, North Central of Nigeria urPhoto/SIPA USA/PA Images

(2018.6.29 Tablet  Rose Gamble , John Pontifex)

 「介入する前に大量虐殺が起きるのを待たないでください… お願いです。ルワンダで起きた大虐殺と同じ過ちをしないように」。

 ナイジェリアの司教が、同国中部ベルト地帯で「民族浄化」を旗印にしたフラニ武装勢力による活動が激しさを増し、キリスト教徒に対する大虐殺の可能性が高まっていると警告した。

 グボコ教区のウイリアム・アベンヤ司教が、迫害されるキリスト教徒に対するカトリックの支援団体「 Aid to the Church in Need(ACN)」に語ったところによると、司教が管轄し、キリスト教徒が多数を占めるベヌエ州で、今年、すでに492人が殺され、不安が高まっている。

 国際社会への訴えで、司教はACNに「介入前に大虐殺が起こるのを待たないでください‥. お願いです。ルワンダで起きた大虐殺と同じ過ちをしないでください。ルワンダでは、それが私たちの鼻先で起きたのに、誰も止めようとしませんでした。今、私たちはそれがどのような結果をもたらしたのか、良く知っています」と語った。

 6月27日の現地報告では、ジョスの町の近くにあるキリスト教徒が多く住む10の集落で、暴徒たちが「200人以上を殺害した」という。現地の警察は死者は86人だとしているが。

 アベンヤ司教はACNに、フラニ武装勢力はイスラム教徒が多数を占める地域は襲っておらず、「現在起きているのは、キリスト教徒の抹殺だ、と言えます」と強調。この地域の他の教会指導者は、フラニ武装勢力の狙いは「ナイジェリアの中部ベルト地帯のイスラム化」だ、と述べている。

 別のNGO「Christian persecution charity Open Doors」の調べでは、2016年5月から2017年9月の間に、中部ベルト地帯の南部カドゥナ地域-キリスト教徒が全人口の98パーセントを占める-で725人が殺されている。

 フラニ武装勢力は、彼らの攻撃の対象は「家畜だけ」で、「動機は(攻撃を受けたことに対する)報復にある」とスポークスマンは言明し、キリスト教徒殺害を認めようとしない。

 同国のムハンマド・ブハリ大統領は、一連の攻撃は「きわめて不幸な出来事」とするものの、具体的な対応は生半可なものにとどまっている、と見られてきた。これまでの、政府の軍事作戦は治安回復に少しも役立っておらず、「大統領自身がフラニなので、直視するのを避けている」と疑う声も出ている。

 アベンヤ司教は西側諸国に、自国の人々の命を救ってくれるよう訴え、「私たちの信者たちは、暴力を振るわれて殺されるか、難民として生きざるを得なくなっています。そして、西側諸国は、フラニ問題を単なる国内問題だという見方を取り続けている」と西側諸国の無関心を強く批判した。司教の発言に先立って、ナイジェリアのカトリック司教協議会は声明を発表し、「我が国が大量の虐殺場と墓場になりつつある」のに何もしない責任を取って辞任を考えるように、とブハリ大統領に要求した。

 司教はまた、フラニ武装勢力が使っている武器の供給元についても言及し、「羊飼いたちは、一時、棒切れだけで”武装”していたことがある。だが、今は、彼らはAK47カラシニコフ自動小銃で武装している-彼らがとても自分では買うことのできない高価な武器です。ということは、彼らにそれを与えているのは誰なのでしょう?」と問いかけた。そして、こう付け加えている。「しかも、この地域には、2キロごとに検問所が設けられています。武装した男たちが家畜の群れに後を追われて見えなくなることが出来るのでしょうか」と。

 今年初めから、ナイジェリア全土で合わせて1000人以上が殺害されている。この国の”家畜戦争”は、北部のボコハラム武装勢力によるイスラム蜂起よりも、もっと恐ろしいものになりつつあるのだ。

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

 

 

 

 

2018年7月4日

・米国務省・人身売買報告書2018発表、北朝鮮、中国など最低評価

Date: 06/2018 Description: Report Cover: Trafficking in Persons Report 2018. - State Dept Image

 (2018.6.28 米国務省発表をもとに「カトリック・あい」が編集)米国務省は28日、世界各国の人身売買の実態をまとめた2018年版年次報告書を発表した。

 4段階評価のうち最低評価とされたのは、アジアでは北朝鮮、中国、ミャンマー、ラオス、パプアニューギニアなど。

 とくに北朝鮮については「人身売買撲滅に向けた最低限の水準を満たしておらず、取り組みもしていない」と指摘、ポンペオ国務長官は28日の記者会見で、「無数の北朝鮮国民が北朝鮮政府により、海外で強制労働に服せられている」と批判した。

 中国については「国営の薬物依存症患者の治療施設で強制労働が行われている」と報じられていることなどを指摘し、昨年に続いて最低評価。人身売買に関する統計データの不備も指摘した。

 ミャンマーについて、少年兵の利用などを理由に、最低ランクに引き下げ、イスラム系少数民族ロヒンギャ迫害にも懸念を示した。

 日本については、13年連続で上から2番目だった評価を最高評価に引き上げたが、これは、日本政府が、女子高生らによる接客をうたう「JKビジネス」の省庁横断の対策会議発足するなど、取り締まりを強化したことや、国際組織犯罪防止条約を締結したことなどを評価したため。ただ、国務省高官は「人身売買に対する量刑が軽く、しばしば執行猶予になる」点を問題視した。

 報告書でポンぺオ国務長官は「現代の奴隷制は世界のどこにも居場所はない。私は、この地球的な脅威に対する戦いで、米政府が外交努力と行動強化を通して、指導力を発揮することを確認したい」と言明している。

 報告書全文はhttps://www.state.gov/j/tip/rls/tiprpt/2018/index.htmに

2018年7月1日

・未成年者への性的虐待で米マカリック枢機卿に聖職行使停止

(2018.6.25 CJC通信)バチカン(ローマ教皇庁)は、米ワシントン大司教区の元責任者セオドア・マカリック枢機卿(87)の45年前の未成年者への性的虐待容疑に対し「信頼できるもので、実証に基づいた容疑」と判断し、今後の一切の聖職行使の停止を言い渡した。ニューヨーク大司教のティモシー・ドラン枢機卿が6月20日、公式声明で発表した。

マカリック枢機卿への容疑は同枢機卿がニューヨーク大司教区の司祭時代のことだ。ドラン枢機卿によると、教会の規約に基づき、バチカンに通達された。バチカンの「ナンバー2」、ピエトロ・パロリン国務長官は教皇フランシスコの指令を受け、マカリック枢機卿に今回、聖職禁止を言い渡した。

それに対し、マカリック枢機卿は「バチカンの決定には忠実に従い、今後聖職を行使しない」と語る一方、容疑については否定した。

ドラン枢機卿は、「ワシントン大司教区の関係者はバチカンの決定に対し、悲しみ、ショックを受けている」と述べる一方、教区の代表として性的虐待の全ての犠牲者に対し謝罪を表明した。□

2018年7月1日

・性的虐待の被害者が声をあげる-教会”文化”が変わってきた-弱者保護の大司教(CRUX)

McCarrick case points to shift in culture, child protection experts say

Archbishop Mark Coleridge of Brisbane, president of the Australian Catholic Bishops’ Conference, at the press conference for the 15th annual Anglophone Safeguarding Conference at the Gregorian University in Rome, June 21, 2018. (Credit: Claire Giangravè.)

(2018.6.22 CRUX  

ローマ発―米国の枢機卿が性的虐待で訴えられたとの信頼に足るニュースは、こうした噂が何年も出回っているバチカン関係者の小さな集団には大したショックを与えなかったようだが、多くの信徒にとっては、教会の信仰に対するさらなる打撃となった。

 教会で児童保護の最前線にいる専門家たちによれば、ニューヨーク大司教区が、セオドア・マカリック枢機卿のような、かつては際立った存在を、性的虐待の訴えを受けて追い回す事態は、カトリック教会におけるカルチャーの重要な変化を示している、という。それは、権力を持つ者に責任を課すことをおそれない、という変化だ。

 「それは、(性的被害を告発する)”MeToo”運動と異なるものではありません。文化の中で起きつつあるもの、この文化的な変化のしるしの一つは『人々は声を上げることができる』ということです」とオーストラリア司教協議会議長のマーク・クラリッジ大司教は21日のローマでの、幼児性的虐待など弱者保護のために会議を終えた記者会見で語った。

 この前日、20日には、問題のマカリック枢機卿が司祭として働いていたニューヨーク、ワシントン両大司教区が声明を発表し、同枢機卿に関する50年以上前の「信頼でき、具体的な」性的虐待の訴えを受け、枢機卿の司祭としての活動を禁止したことを明らかにした。訴えた人の中には、ニューヨークの司教座聖堂、聖パトリック・カテドラルで典礼奉仕をしていたかつての少年も含まれている。

 当のマカリック枢機卿は「報告されている虐待行為については全く記憶になく、自分は無実だと信じているが、告発した人の痛み、告発が私たちの信徒に与えた困惑を申し訳なく思う」と語っている。

 一方、クラリッジ大司教は、「大きな変化」の重要な側面は、虐待の被害者たちが進んで話すようになったこと、さらに重要なのは、彼らが信用された、ということ、と指摘し、「誰も説明責任を逃れることはできなくなった」と述べ、これまでは1人の司教の裁量によるものだったが、今、大司教区は(司教の裁量によらずに)この問題を扱うことができるようになった、と付け加えた。「マカリック枢機卿に関して起きたことは、司教の説明責任に焦点を当てており、カトリック教会にとって焦眉の急の問題です」。

児童保護センター(CCP)の所長、ドイツイエズス会ののハンス・ゾルナー師は、マカリックに関する教会の対応は「物事が厳しく扱われるようになりつつあり、対応の徹底が最も高いレベルに達しつつあることを示している」との見方を示し、ニューヨーク大司教区の理事会は「信頼できる、実質的な内容のある申し立てに対応し、教会法の通常の手続きに従って判断ができるようになった。教会の歩みは一歩、一歩、極めて遅いが、次第に一貫したものになり、規定に従って行動するようになってきています」と語った。

  クラリッジ大司教のお膝下のオーストラリアでは、世界のカトリック教会の支配層で最も力のある人々の1人であるジョージ・ペル枢機卿の性的虐待スキャンダルとその裁判で大騒ぎになっているが、フィリップ・ウイルソン大司教も、性的虐待事件の隠蔽で有罪になっている。また、「司祭が告解で聴聞した中身の公開禁止を、児童の性的虐待に関係する告解の内容に限って解除するよう、司祭に求める事ができる」とする法律の制定も検討され、全国で議論になっているが、「提案された法律案は、一言で言えば貧しい公共政策」で、それによって子供たちが一層安全になることがないだけでなく、信教の自由の権利を損なうものだ、と指摘した。大司教によれば、「教会の血を渇望する」動きがあり、「カトリック教会を罰したい、有罪なのはカトリック教会だと見せたい欲求がある」が、それでも、告解の内容の秘匿義務を破ることが現在の問題の答えにならず、「問題を作り出し、誰の助けにもならない」との見方を示した。

 性的虐待が明るみ出て教会に対して怒りが突き付けられているのは、オーストラリアに限ったことではない。世界中の多くの地域でも、チリや、アイルランドを含めて、起きている。教皇フランシスコは8月に、世界家庭集会に出席のためアイルランドを訪問するが、同国では、憲法から堕胎禁止の条項を除くことが国民投票で決まったばかりだ。

 「カトリック教会は、深い不信の中にいる」とするゾルナー所長は「可能な限り首尾一貫した、可能な限り公明正大な対応をする以外に、さらなる性的虐待を避ける道はない」と語る。

 だが、幼児性愛者のフェルナンド・カラディマ神父などの数多くの性的虐待を多くの司教ぐるみで20年にわたって隠蔽し続けてきたあげくに、全司教が教皇に辞任を申し出たチリの場合は違う、とクラリッジ大司教は言う。「適切な対応がずっと遅れていた」。だが、力のない人々に発言の場を提供することは、事態を前に進めるために欠かすことができない、とも大司教は語る。「子供たち、か弱い者たち、神学校でも、修道院でも、声を上げ、それが聞き入れられるようにすることが、極めて重要だ」と。

(「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

 

2018年6月24日

・日本の寄付がはぐくむ果実-タジキスタン、収穫が学校給食に

Photo: WFP/Dilbar Ruzadorova

 木には色とりどりの果物が実り、子どもたちは果実で一杯になったかごを抱えています。これから取った果物をみんなで食べるのでしょうか、女の子たちの楽しそうな笑顔が印象的です。タジキスタンの小学生、オミナイ・アスリディンが描きました。

 これらの果物の木々は、日本の国連WFP協会に対する寄付を使って植えられました。 「給食のおかげで勉強できる」 タジキスタンは、決して豊かな国ではありません。 国内の9割は山岳地帯で産業は乏しく、多くの家庭がロシアなどへの出稼ぎで生計を立てています。食料自給率は5割程度で、5歳未満の子どもの3割弱が慢性の、1割が急性の栄養不良に悩まされています。 国連WFPは食料事情の悪い地域を中心に、学校全体の約半分に当たる2000校、約40万人に学校給食支援を実施しています。

 国連WFPタジキスタン事務所の川端真理子副代表によると、貧しい地域では、パンなど主食以外のものを食べる機会が学校給食だけ、という生徒も多いといいます。

 孫を学校に通わせているサフィエブ・シリンフジャさんは「国連WFPと支援者の方には深く感謝しています。暖かく栄養のある学校給食のおかげで、2人の孫が勉強に集中できるのです」と話しました。

 学校緑化プロジェクト 国連WFPは2011~15年、日本の国連WFP協会からの資金を活用し、学校内やその周辺にピスタチオやさくらんぼ、りんごなどの苗木を植えました。地元の生徒や保護者、近隣の農家などが丹念に手入れをした結果、苗木は立派に育って実をつけ、給食に彩りを添えるようになりました。 川端副代表は「植えた苗の9割はしっかりと根付きました。立派に育った果樹園は緑が美しく、こちらも支援が形になったと嬉しくなります」と話します。 収穫物は給食に使われるだけでなく、地元の市場で売られ、その収入で文房具や本など学校の備品を買う場合もあります。

 立派に育った果樹園 Photo: WFP/Murodali Nurov

 上級生にとって果樹の収穫は、健康に良い食べ物やバランスの取れた食生活、果物の貯蔵や加工の方法を勉強する場でもあります。「毎年夏になると、私たちのクラスはリンゴやあんず、桃などを収穫して、学校の貯蔵庫に入れ、ジャムやコンポート、ドライフルーツを作ります」絵を描いたオミナは、そう説明します。

生徒4万人の食生活が改善

 タジキスタンでは給食に割く政府予算が十分でなく、給食を続けるには保護者の協力が欠かせません。小麦と塩、豆、油を国連WFPが、燃料費の一部を政府がそれぞれ提供していますが、野菜など主食以外の食材は保護者が持ち寄っています。貧しい地域では「果樹園があるおかげで、給食に果物が並ぶのはありがたい、という声を先生たちから聞いています」(川端副代表)。

Photo: WFP/Dilbar Ruzadorova

 果物が給食に取り入れられたことで、これまでに4万人以上の生徒の食生活が改善しました。国連WFP協会が昨年送った寄付金27万米ドル(約3000万円)を使って、新たに80校への植樹が行われる予定です。 タジキスタンは1991年の独立後、92~97年まで内戦が続きました。国連WFPは内戦中、主に緊急性の高い食糧支援をしていたことから、今も困っている人へ食べ物を届ける、というイメージを持たれがちです。

 しかし川端副代表は、世の中が落ち着いた今、支援も変わる必要があると話します。「今最も求められているのは、果樹園や灌漑施設、給食制度、食料安全保障を担う人材など、長く残るものを作るお手伝いです。その結果、支援の必要がなくなることこそ、究極的なゴールなのです」国連WFPは世界各国で、小規模農家から作物を買い入れて食材に活用するなど、学校給食を通じて住民の自立を促す活動を進めています。⇒国連WFPの事業に、ご支援をお願いします

2018年6月21日

・核削減遅く、近代化進む-中国増強、北朝鮮は10∼20発-国際平和研報告

(2018.6.18 「カトリック・あい」)スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が18日発表した2018年版「世界の核軍備に関する年次報告」によると、世界の核保有国は米国、ロシア、英国、フランス、中国、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮の9か国で、2018年年初現在の保有核弾頭の合計は推定1万4465発に上っている。

 弾頭数自体は、一年前の1万4935発よりも総数では米ロ中心にわずかに減っているが、各国とも核兵器の近代化を進め、中国は弾頭数も前年より10発多い280発に増やし、北朝鮮も10∼20発保有、米本土を狙う大陸間弾道弾(ICBM)の開発に合わせて、これに搭載する核弾頭の小型化も進めている。

 SIPRI発表の英語版概要は以下の通り。

世界の​​​​​​核戦力:削減のテンポは遅く、近代化は進む

 At the start of 2018 nine states—the United States, Russia, the United Kingdom, France, China, India, Pakistan, Israel and the Democratic People’s Republic of Korea (North Korea)—possessed approximately 14 465 nuclear weapons. This marked a decrease from the approximately 14 935 nuclear weapons that SIPRI estimated these states possessed at the beginning of 2017.

 The decrease in the overall number of nuclear weapons in the world is due mainly to Russia and the USA—which together still account for nearly 92 per cent of all nuclear weapons—further reducing their strategic nuclear forces pursuant to the implementation of the 2010 Treaty on Measures for the Further Reduction and Limitation of Strategic Offensive Arms (New START).

 Despite making limited reductions to their nuclear forces, both Russia and the USA have long-term programmes under way to replace and modernize their nuclear warheads, missile and aircraft delivery systems, and nuclear weapon production facilities. The USA’s most recent Nuclear Posture Review (NPR), published in February 2018, reaffirmed the modernization programmes and approved the development of new nuclear weapons. The NPR also emphasized expanding nuclear options to deter and, if necessary, defeat both nuclear and ‘non-nuclear strategic attacks’.

 ‘The renewed focus on the strategic importance of nuclear deterrence and capacity is a very worrying trend,’ says Ambassador Jan Eliasson, Chair of the SIPRI Governing Board. ‘The world needs a clear commitment from the nuclear weapon states to an effective, legally binding process towards nuclear disarmament.’

 The nuclear arsenals of the other nuclear-armed states are considerably smaller, but all are either developing or deploying new nuclear weapon systems or have announced their intention to do so. India and Pakistan are both expanding their nuclear weapon stockpiles as well as developing new land-, sea- and air-based missile delivery systems. China continues to modernize its nuclear weapon delivery systems and is slowly increasing the size of its nuclear arsenal.

In 2017 North Korea continued to make technical progress in developing its nuclear weapon capabilities, including the test of—what was claimed to be—a thermonuclear weapon, in September. North Korea also demonstrated unexpected rapid progress in the testing of two new types of long-range ballistic missile delivery systems.

‘Despite the clear international interest in nuclear disarmament reflected in the conclusion in 2017 of the Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons, the modernization programmes under way in the nuclear weapon-possessing states indicate that genuine progress towards nuclear disarmament will remain a distant goal,’ says Shannon Kile, Senior Researcher with the SIPRI Disarmament, Arms Control and Non-proliferation Programme.

World nuclear forces, January 2018

Country Deployed Warheads* Other warheads** Total 2018 Total 2017
USA 1 750 4 700 6 450 6 800
Russia 1 600 5 250 6 850 7 000
UK 120 95 215 215
France 280 20 300 300
China 280 280 270
India 130-140 130-140 120-130
Pakistan 140-150 140-150 130-140
Israel 80 80 80
North Korea .. .. (10-20) (10-20)
Total 3 750 10 715 14 465 14 935

Source: SIPRI Yearbook 2018

* ‘Deployed warheads’ refers to warheads placed on missiles or located on bases with operational forces. ** ‘Other warheads’ refers to stored or reserve warheads and retired warheads awaiting dismantlement.

Total figures include the highest estimate when a range is given. Figures for North Korea are uncertain and are not included in total figures. All estimates are approximate.

平和維持軍の需要は増えているが、人員は減っている

 There were 63 multilateral peace operations active during 2017 (one more than in 2016): 25 operations were deployed in Africa, 18 in Europe, 9 in the Middle East, 6 in Asia and Oceania, and 5 in the Americas.

 The total number of personnel deployed in multilateral peace operations decreased by 4.5 per cent during 2017, from 152 822 to 145 911. Nearly three-quarters of all personnel were based in Africa. The decrease in the number of personnel is explained by the fall, by 7.6 per cent, in deployments by the United Nations, whereas the number of personnel in non-UN operations increased by 2.3 per cent to 47 557.

 Although the UN clearly remains the principal actor in peace operations, African actors are claiming an increasing role in African peace and security matters. This is reflected in the establishment in February 2017 of the Group of Five for the Sahel (G5 Sahel) Joint Force (Force Conjointe des Etats du G5 Sahel, FC-G5S).

 UN peacekeeping reform remained high on the international agenda in 2017. However, these discussions were overshadowed by two other significant developments during the year: the greater insecurity of personnel deployed in UN peace operations; and the efforts—particularly by the US administration—to drastically reduce the UN peacekeeping budget.

 In 2017, UN missions witnessed a dramatic escalation in fatalities linked to hostile acts—in both absolute terms (from 34 in 2016 to 61 in 2017) and as a ratio of the number of uniformed personnel deployed (from 0.31 to 0.61 per 1000 uniformed personnel). Whereas in preceding years most fatalities occurred in the UN mission in Mali, in 2017 the UN operations in the Central African Republic and the Democratic Republic of the Congo also faced substantial losses.

 ‘An independent review into the security of peacekeepers released in 2017 (2017 Cruz Report), suggested that UN peacekeeping operations should adopt a more robust and less risk-averse force posture,’ says Timo Smit, Researcher with the SIPRI Peace Operations and Conflict Management Programme.‘However, this raises the question, which was not addressed by the Cruz Report, as to how the UN should generate sufficient forces that are both willing and capable of adopting such a posture.’

 In 2017, UN peace operations—like African peace operations—could no longer be certain of predictable and sustainable funding. The budget cuts and related troop reductions meant that the UN had to rethink its strategy in many operations. ‘Is it realistic to expect the UN to continue to do more with less, and is it worth taking the risk?’ says Dr Jair van der Lijn, Director of SIPRI’s Peace Operations and Conflict Management Programme.

 ‘A number of finance-contributing countries hoped that budget cuts might be used pragmatically to strengthen peacekeeping reform. However, the actual effects of resource reduction on some operations might put peacekeepers at further risk and leave populations more vulnerable,’ says Van der Lijn.

2018年6月18日

・米大司教区、性的虐待被害者450人に2億1000万ドル賠償で和解

 (2018.6.6 カトリック・あい)USA Tdodayなど複数の米報道機関が伝えたところによると、米ミネソタ州のセントポール・ミネアポリス大司教区は、聖職者による性的虐待被害者450人に対して、総額2億1000万ドルの賠償金支払いで和解することに合意した。聖職者による性的虐待と隠ぺい問題は今世紀に入って欧米を中心に世界中に拡大、表面化し続けているが、一つの教区でこれほど多額の賠償金の支払いが明らかになったことはなかった。

 和解、賠償金支払いは、被害者から出されていた訴訟を担当する判事によって承認される見通し。これによって、訴訟は決着し、同大司教区の財政破綻・再建策は進展を見ることになる。大司教区事務局によると、賠償金のうち約4000万ドルは大司教区が負担し、残りの1億7000万ドルは大司教区の保険金を充てる見通しだ。

 和解発表の会見をした同大司教区の責任者、バーナード・ヘダ大司教は「この性的虐待が、あなた方から多くのもの-幼年期、潔白、安全、信じる力、そして多くの件での信仰-を奪ったことを、確かに認めます。家族と友人たちとの関係、あなた方が所属する小教区、共同体社会での関係が損なわれ、人生が変えられてしまいました。教会はあなた方を倒してしまった。心からお詫びします」と被害者たちに陳謝した。

 一方で、自分たちが信じていた司祭たちに性的虐待を受けたと告白した被害者のうち会見に応じた人たちは、和解を歓迎するものの、性的虐待のトラウマは生涯、消すことはできない、と語った。12歳の時に被害に遭った女性は、何回も虐待を受けたことで、母である喜びを妨げられた、と悲しみを訴えている。

 被害者代表の弁護人によると、性的虐待を行ったと確認できた司祭は91人にのぼる。

 聖職者による幼児などへの性的虐待は欧米を中心に数十年にわたって続いていたが、教会上層部の隠蔽もあって明るみにされなかった。米ボストン・グローブ紙が2002年1月に、ボストン大司教区の司祭が過去30年にわたって六つの教会で延べ130人の児童に性的虐待を行って訴訟を起こされたこと、教会は本人を他の教会へ異動させただけで、何らの対策もとらず、事態を悪化させてきたと、を特報し、これをきっかけに一挙に世界中で表面化、アイルランド、メキシコなどカトリック国をはじめ、イギリス、ドイツ、オランダ、スイスなど欧州全域、さらにオーストラリアなどでも被害の訴えや、教会を相手取った訴訟が相次ぎ、米国やアイルランドなどで司教が引責辞任に追い込まれる事態になっている。

 教皇フランシスコは2013年3月の就任以来、全力を挙げて、実態の解明と責任の明確化、再発防止策などに取り組んでいるが、教皇の肝いりで設置した対策委員会で性的被害者代表の委員が一部のバチカン官僚の非協力に抗議して辞任したり、ごく最近では、チリの教会が聖職者の性的虐待問題で大揺れとなり、司教団31人全員が教皇に辞表を提出するなど、教会の信頼回復には程遠い状態だ。

 

 

2018年6月6日

・バチカン教理省長官が「女性司祭問題」巡り、有力枢機卿を暗に批判(Tablet)

(2018.6.1 Tablet Christa Pongratz-Lippitt , Christopher Lamb)

 バチカン教理省長官のルイス・ラダリア・フェレール大司教(28日に枢機卿に昇格)が先月末、カトリック教会における女性の司祭叙階の可能性を改めて否定する声明を出したが、これによって、欧州の有力カトリック指導者、クリストフ・シェーンボルン枢機卿が最近明らかにしたこの問題についての立場と真っ向から対立することが、明確になった。

 教理省は5月30日付けバチカンの日刊紙L’Osservatore Romanoに声明を掲載、女性を司祭に叙階できないことに疑問を表明することは「信徒の中に深刻な混乱を引き起こす」と”警告”していた。声明は「『Ordinatio Sacerdotalis』(教皇ヨハネ・パウロ2世が1994年に出した使徒的書簡。女性の司祭叙階を禁じることの理由を列挙した)が示した教義の決定的な意味合い」という表題を掲げている。

 ラダリア長官は声明について、ヨハネ・パウロ2世の教えについて”疑問に対して”この声明を書くことを決意した、とし、「確定している教義を疑問視する声がいくつかの国で出ていることに対して強い懸念を持った」と書いている。さらに「これを確定的なものでないと考え、確定した”ex cathedra”(権威あるもの)ではない、将来の教皇あるいは公会議によって決定は覆すことができる、と主張されている」とし、「そうした権威に対する疑いの種をまくことは、カトリック教会の構造の一部としての司祭叙階についてだけでなく、誤りのない方法でカトリック教会の教義を教える教導権についても、信徒の中に深刻な混乱を生む」と批判した。

 ウィーン大司教のシェーンボルン枢機卿は4月1日付けの地元紙Salzburger Nachrichtenに掲載された復活祭インタビューで、バチカンの評議会を通じて(女性の司祭叙階禁止の方針の)変更の可能性について言及し、女性叙階の問題は、「バチカンの(キリスト教一致推進の)会議でのみ、明確にできる。教皇お1人で問題解決はできない。一教皇のデスクから判断を出す問題にしては、重要過ぎる」と語っていた。 記者からの「これは、女性の司祭叙階問題に限ったことか」との問いに対しては「助祭、司祭、そして司教の叙階を念頭に置いている」と述べた。

 また「女性の助祭の検討を進める指示は、教皇フランシスコの実の判断で可能か」との問いには、「良いことだとは思わない」と答え、「教会は共同体。重要な決定は共同でなされる必要がある」との判断を示した。

 さらに、このような問題を議論する会議の開催を支持するか、との問いに対しては、「教皇フランシスコが協力に進めておられる、全世界司教会議で議論するやり方を続けることを希望する。いつ開かれても歓迎する。教皇ヨハネス23世は、誰もが予想しない時が会議を開く時だ。私は聖霊に信を置いている」と具体的な考えを語った。

 これに対して、28日に正式に枢機卿となるラダリア長官は「男性のみが司祭職に就くことができるという教会の考えは誤ることのない教え。カトリックの信仰の、変わることのない、”決定的な”部分をなすものだ。「女性の司祭叙階は認めない」とする教皇フランシスコの下で出された教義に関する声明の大半で、教理省は「男性であるということは、司祭職に『欠かせない要素』」であり、カトリック教会は男性の使徒を選んだキリストの決定に”拘束”される」と述べている。

 長官は、この誤りのない教えは、司教会議や “ex cathedra”を語る司教によってだけでなく、全世界の教皇と共に歩む司教たちによって宣言されたものであり、”疑問の余地なく維持される”教義だ、とした。そして、ヨハネ・パウロ2世は『Ordinatio Sacerdotalis』を出す前に、各国の司教協議会の指導者たちに相談したこと、そして彼ら全員がこの教えを支持し、従うことを言明していたことを明らかにし、ヨハネ・パウロ2世教皇は”一人で歩く”ことをお望みにならず、”妨げられることにない、生きた伝統”に耳を傾けることを心掛けておられた、とも述べた。

 さらに、教皇フランシスコは2015年に、ヨハネ・パウロ2世は「長い長い熱心な議論」を経て、女性の司祭叙階問題に関する方針を出された、と語っており、「フランシスコは、(これに代わる)新たな教義を出さず、聖ペトロの後継者として与えられた権威をもって、いかなる疑いも起きないように、普遍的な教導権が、教会の歴史を通じた信仰の蓄積に属するものであることを公式に確認し、明白にした」と説明した。

 また、74歳の長官は、女性叙階の拒否は「(女性を男性よりも)下に置くのでなく、互いを豊かにする」ことを意味する、聖母マリアの地位の高い役割は教会の女性的、男性的両方の重要さを示すものだ、と強調し、「男女の間の違いが持つ意味と良さを理解」、違いのある中で、何を補うべきか、について苦悶、努力することは、現代の文化において、これまでよりもさらに重要だ、と強調した。

 教皇フランシスコご自身は、教会における女性の役割を高めることに努力されており、2016年8月には、女性の助祭について調査・検討する委員会を設置した。だが、この委員会のリーダーはラダリア長官であり、バチカンの関係者の間では、女性の助祭を認める動きに先んじて、司祭職に関する教えを強化する方向で、長官が介入するのではないか」との観測が出ている。

 2009年に、前教皇ベネディクト16世は助祭の役割と司祭職に明確な一線を引くる法的指示を出し、助祭は教会に奉仕するが、”キリストの権威”に与ることのできるのは司祭、司教である、と「司祭は”キリストの位格”において行動する」としたカトリック教会の教えに沿った判断を示している。助祭職と司祭職の区別の明確化は、助祭職に女性を認める可能性を開く一方、司祭職からは決定的に女性を排除することになる。

 ラダリア長官はこう書いている-「キリストはこの秘跡を12人の弟子-すべてが男性-に授けると判断された。そして、彼らは別の男たちにそれを伝えた。教会は常に、主のこの決定を守ってきた-司祭職を女たちに授ける可能性は除かれている」と。

 1975年に、当時の教皇パウロ6世が、英国国教会のドナルド・コガン・カンタベリー大主教に送った手紙で、女性の司祭叙階に反対を表明した近代で最初の教皇として、こう書いていた-「きわめて基本的な理由から、女性を司祭に叙階することは認められない」。これに対して、大主教は教皇に返書を送り、英国国教会では、女性の司祭叙階を支持する意見で一致しつつある、と説明していたが、現在、英国国教会では、女性が(司祭となっているのはもちろん)指導者の中で最も高い地位に就くに至っている。

 過激な運動組織、We Are Church International (WACI) はこのほど、女性をカトリック司祭に叙階するのを禁じるのは「決定的な性質に由来するもの」であり「信仰の蓄積に属する真実」とするラダリア長官の主張に強く反対する声明を出している。

 

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

 

 

 

 

2018年6月5日

・中国、北朝鮮…強まる教会、信徒迫害-米国務省「信教の自由年次報告」で-米朝首脳会談で提起

 米国務省が5月29日、世界各国の信教の自由の現状に関する2017年版報告書を発表、「信教の自由をめぐる世界の状況は、その自由侵害の深さと幅広さで一段と悪化」し、 信徒に対する露骨な暴力的振る舞いが、虐殺、無実の人々の殺害、祈りの場の全面的な破壊など、残虐さを強めており、”通常”の虐待が行われても目立たなくなってしまっている」と悪化が進む現状を具体的な事例を挙げて説明した。

 そして、このような中で「多くの関係者は、思想、良心、宗教の自由に対する権利の侵害に麻痺してしまっている」とし、米国はじめ世界各国、国際機関などの真剣な取り組みを強く訴えている。

北朝鮮の苛酷な宗教迫害

 報告書は、信教の自由を著しく侵害している「特定懸念国」として10か国を挙げているが、その中には、アジアで中国、北朝鮮、ミャンマーが含まれており、北朝鮮に関する記述では「宗教活動に携わった人が処刑や拷問の対象になるなど『苛酷な状態』に置かれており、約8万~12万人に上る人々が、政治活動や宗教活動で政治犯収容所に拘束されているとみられる」と指摘している。同日の報告発表で記者会見したブラウンバック「国際信教の自由」担当大使は「トランプ大統領が信教の自由の問題で行動を取る」と述べ、米朝首脳会談が開かれれば、大統領がこの問題を「取り上げる」と言明。ポンペオ国務長官も記者会見で「世界における信教の自由の尊重はトランプ政権の優先課題」と強調した。

習近平主席の下で急速に強まる宗教規制

 報告書は中国についても、習近平国家主席への権力集中が進んだ昨年10月の党大会前から宗教活動への締め付けが強まり、現在も一層の規制が進んでいる、と指摘した。国別報告の中では、中国の最近の動きとして「中国は2016年に、同国の宗教者と信徒にとって暗黒の日々だった文化大革命から50周年を迎えたが、50年経った今、習近平主席の下で、中国政府は宗教あるいは信仰の自由を含む人権を脅かすような圧迫を強め続けている」と述べ、具体例として、宗教活動に対する権利の制限を定めた宗教関係規制を改定、強化し、政府による宗教教育や聖職者に対する規制・管理の強化、”不法”と判断されるいかなる宗教活動に対する罰金の多額化のほか、”国家の安全”を害する宗教を公式に禁止する語句も加えられたことを挙げている。

 また中国には2億5000万人の仏教徒、7000万人のカトリック教徒とプロテスタント、2500万人のイスラム教徒のほか、道教、ヒンズー教、ユダヤ教などの信者もいるが、このうち仏教、道教、カトリック、プロテスタント、イスラム教の五つについては限定的な宗教活動を国家管理の「愛国協会」のもとで行うこととされている。報告は、これら主要宗教のおかれた現状についても個別に記述している。

【中国におけるプロテスタントとカトリックの現状】(全文)

 2016年現在、中国政府は教会の十字架撤去、聖堂破壊の行為を継続した。2014年から2年間に浙江省だけで、当局による十字架撤去、聖堂破壊は1500か所以上にのぼっている。政府はまた、こうした行為に反対する個人にも狙いをつけている。2016年2月に、浙江省出身のプロテスタントの夫婦が、十字架撤去に抵抗したのを理由に、14年から16年の刑を言い渡された。十字架撤去や聖堂破壊は中国国内で広範になされている。

 特にひどい例は、2016年4月に、河南省で教会兼自宅が政府命令によりブルドーザーで潰されるのを防ごうととした、その教会指導者の妻が(破壊された瓦礫に埋められ)窒息死させられた、というのがある。同年3月には、政府の教会破壊行為に被害者や教会を支援する人権弁護士が秘密裏に逮捕、テレビで”罪を自白” させられた後、釈放されたが、12月にふたたび警察当局に逮捕され、2日間拘束された。

 2016年12月にはまた、警察当局が、自宅に十字架を置き、宗教関係の文書を印刷した複数のキリスト教徒を逮捕し、親たちが子供を教会に連れて行かないように脅し、ある種の宗教活動を行うのを妨げた。これより前、8月には、中国のある裁判所が、地下教会のリーダーと信教の自由の運動家に、破壊活動罪で7年半の懲役、12年半の政治的な権利はく奪の判決を下した。さらに、2017年1月に、別の裁判所が遼寧省錦州の牧師に未登録の教会で活動したとして懲役2年半の有罪判決を出した。彼は2015年12月に逮捕されていた。浙江省 崇義にある大規模の教会の前牧師が横領の疑いで逮捕され、二か月以上拘置された後、2016年3月に釈放されたものの、 崇義の教会と地方政府公認のキリスト教協議会の地位をはく奪された。省に登録されている南乐のキリスト教会の牧師は、公共の秩序を乱すために群衆を集めた、として懲役12年の刑を受け、現在も刑務所に囚われている。

 2016年に、バチカンと中国政府は、国内のカトリック司教の任命について合意しようとした。政府が任命し、バチカンが同意した司教はすでに何人かいるが、中国政府は教皇の権威に敬意を払うのを拒否しており、教皇に忠誠を誓う司教たちも投獄あるいは他の迫害を受ける危険にさらされている。合意を図ろうとする者たちは、それを70年近くにわたるバチカンと中国政府の対立関係を修復し、中国全土にわたるカトリック教会(の政府公認教会と地下教会の分立)を一本化する手段、と見ている。しかし、こうした動きに批判的な関係者たちは「バチカンは、中国政府と連携することで、(教皇に忠誠を誓ってきた)地下教会の聖職者たちと、司教を任命する教皇の権威に忠誠を誓う人々を、裏切る危険を冒している」と懸念している。

 中国政府が管理・運営するカトリック愛国協会の2017年12月の会合で、政府当局代表が、”sinicization(中国化)”、社会主義、そして外国の影響からの独立、の必要を強調した。これは、バチカンとの合意を目指す政府の試みと矛盾することのようである。合意の見通しが、2016年11月に教皇から破門されていた司教をバチカンと中国政府が認めた司祭叙階式に参加したことで、切迫しているようだからだ。

【法輪功の現状】(抜粋)・・性的暴力、拷問…臓器摘出はキリスト教徒など他宗教の人々にも狙い

 法輪功の中国における活動は、中国政府が同団体を「悪のカルト集団」と決めつけ、1999年にすでに禁止されており、活動を続けようとする人々は厳しく弾圧されている。強制収容所や刑務所に入れられ、あるいは行方不明になっている。逮捕された人々は精神科を含む医療の実験などに使われたり、性的暴力、拷問、そして臓器摘出などの対象にされている。2016年6月にNGO「中国における臓器略奪を止めさせる国際連携」が発表したところによると、中国では毎年、6万件から10万件の臓器移植がされている。臓器摘出は、しばしば本人の同意無しで行われており、特に法輪功関係者で処刑された者、収監されている者がその対象となっているが、ウイグル人イスラム教徒、チベット仏教徒、キリスト教徒の個人も狙われている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

2018年6月2日

・命を守るのはキリストの弟子としての使命-妊娠中絶合法化・国民投票可決でアイルランド教会

(2018.5.27 Crux 

  アイルランドの国民投票で26日、妊娠中絶の合法化が多数を占る結果が出たが、これを受けて、同国のカトリック教会の指導的立場にある大司教二人が27日会見し、教皇フランシスコから授かった”キリストの弟子として使命”(マタイ福音書28章19節三章)に沿った「命をつなぐ目」をしっかりと持ち続けるように、信徒たちに求めた。

 北アイルランド・アーマー教区長のエイモン・マーチン大司教は三位一体の祝日の27日、アイルランド南東部、クノックの聖母出現の聖堂で記念ミサを捧げ、その中の説教で、教皇フランシスコの使徒的勧告「福音の喜び」を取り上げ、「宣教とカギとなる司牧は、『自分たちはいつもこうやっている』というような自己満足の態度を捨てることにあります-福音を伝えることに勇敢で、創造的であるように一人ひとりを招いているのです」と教皇の言葉を引用した。

そして、「金曜日の国民投票の結果は、私たちがアイルランドの新たらしい時代、変化した文化の中に生きていることを、改めて示しています」と述べ、「カトリック教会にとって、それはまさに、宣教の時、新たな福音宣教の時なのです」と強調した。

 国民投票では、投票総数の66パーセントを上回る有権者が人工妊娠中絶の合法化を支持した。このことは、この国におけるカトリック教会の影響力が消滅しつつあるサインだ、とする見方が広まっている。

 マーチン大司教は「国民投票で反対票を投じた方々と同じように、私は、アイルランド憲法から胎児の生きる権利を消し去る選択がされたことを、深く悲んでいます。この国は、妊娠中絶の自由化が立法化される背戸際に置かれることになったのです」「私が強く懸念するのは、この投票結果が『すべての人間の命が平等である』『生まれてからも、生まれる前も、すべての人間には生来の価値と尊厳がある』という社会の基本原則を阻害しかねない意味を持つことです」と指摘した。

 だが、この結果を見て、私たちカトリック教徒は意気消沈することがあってはならず、「今こそ私たちが活動する時、信じる時。福音を伝え、福音の真実を教える、私たちの時なのです」と訴え、教皇フランシスコの最新の使徒的勧告「 Gaudete et Exsultate」から引用して、人の命の聖性を説き続けるように、会衆に強く求めた。「罪のない胎児を守るために、明確な、強い、そして熱烈な意思を持たねばなりません。危機に瀕しているのは人の命の尊厳、それは常に聖なるものであり、成長にいかなる段階においても、互いに対する愛を求めています」。

 教皇フランシスコは、今年8月に、家庭のための世界大会出席のため、アイルランドを訪問するが、今回の国民投票の結果は、訪問を通じて大きな関心事項となるとみられる。

 27日にアイルランド中東部、メイヌースの聖パトリック神学校で助祭叙階式を主催したタブリン教区長のディルムッド・マーチン大司教も、説教の中で教皇フランシスコの著作から引用して、堕胎への反対も含む「pro-life(生命尊重)派」であることの意味に注意を促すとともに、さらにその先に話しを進めた。

 大司教は「私たちがイエスの真の弟子たちとして生きることのできる唯一の道は、愛において彼に応え、どこにいても愛の風土を創ることにあります」「国民投票を結果が出た後、アイルランドの教会は、命を支持する決意を新たにしなければならない。教会は『pro-life』であること-言葉、声明、宣言だけではなく、行いにおいて『pro-life』であるこ-が求められています。成長のあらゆる段階での人間の命に対するイエスの愛を込めたいたわりを映した教会であることが必要です」と述べ、さらに「愛を込めたいたわりには、大きな課題に直面し、出産という困難な選択に迫られる女性たちを助けるための支援も含まれます」と説明。

 さらに「『Pro-life 』は暴力で命が脅かされている人に寄り添うこと、経済的な困窮、ホームレス、社会から無視された状態に置かれ、まともな暮らしができなくなっている人に寄り添うことを意味します。私たちのすべての暮らしの中で貧しい人々への特別な愛-イエスに従う人のしるし-を、徹底的に見つめなおすことも意味するのです」と述べ、「明日の教会を作り直すことは、その起源の根本的な再発見にあります」と強調した。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

アイルランド中絶容認 賛成派が66・4%で勝利

 有権者数は約336万人。投票率は64・1%で、国内40選挙区のうち北部の1選挙区を除いて全域で賛成が上回った。

 バラッカー氏は「静かな革命が起きた。アイルランドの歴史的な日となった」と声明を発表、「(中絶のために)女性が1人で海外に行くことも、恥と思うことも、孤独を感じることもない」と述べた。選挙戦では国内で女性が医師の指導や処置を受けられる環境づくりが重要だと訴えた。

 公共放送RTEによると、中絶を容認する法案は最終的には議会の承認が必要となるが、主要政党の党首は賛成を支持しており反発は少ないとみられる。

 カトリック教徒が多数を占め西欧で最も保守的とされるアイルランドでは、1995年の国民投票で離婚を、2015年の国民投票では同性婚を合法化。昨年6月に同性愛者を公言するバラッカー氏が首相に就任するなど、近年は社会の変化が急速に進んでいる。

2018年5月28日