♰「歴訪で蒔いた福音の種が、豊かな実をもたらすように」-3か国訪問を終えて

 教皇フランシスコは11日、バチカンで水曜恒例の一般謁見を行われ、4日から前日10日にかけてのモザンビークなどアフリカ東部3カ国歴訪について報告された。

 まず、今回の歴訪全体の狙いとして、「平和と希望の巡礼者」として訪れた3国に「世の希望であるキリストを示し、すべての民の兄弟愛・自由・正義・平和の力強いパン種である福音をもらたすことを望みました」とされた。

 そして、最初の訪問国だったモザンビークでは「長い武力闘争で苦しんだ同国に、希望と平和と和解の種を蒔き、今年の春、2つのサイクロンによって大きな被害を受けた人々に寄り添うこと」を目的とし、同国の要人との会見で「共通善のために共に働く」よう励まし、様々な宗教の若者たちとの出会いでは「諦めや不安を乗り越え、国の構築のために働き、社会に友情を広げると共に、先人たちの伝統を大切に守っていく」ように勇気づけた、とされ、聖エジディオ共同体のプロジェクトとして開設された医療センターでは「患者が最も大切にされ、異なる宗教の人々が一致して兄弟のように働いている様子を目にすることができた」と印象を語られた。最大の行事となったミサでは「雨にもかかわらず、皆が幸福を感じていました」「そこには、暴力を鎮め、兄弟愛を生む、『敵を愛しなさい』(ルカ福音書6章27節)というイエスの言葉が響いていました」と振り返られた。

 次に訪れたマダガスカルは「美しい自然と豊かな天然資源を持つ一方で、多くの貧困が存在する国」だが、「国民が伝統的な連帯の精神をもって、対立を乗り越え、環境と社会正義が尊重される未来を構築する」ように促した、と話された。また、アンタナナリボ郊外の「友情の町」を訪問されたが、これは宣教師ペドロ・オペカ神父が始めた共同体で「福音の精神に基づいて、労働、尊厳、貧しい人への援助、子どもの教育などのテーマを一致させています…隣接の採石場で、労働者のための祈りを唱えました」と語られた。また、観想修道会の修道女たちと昼の祈りを唱えたが、「信仰と祈りなしでは、人間にふさわしい町を築くことはできません」と祈りの大切さを指摘された。マダガスカル訪問の後半の行事、アンタナナリボ郊外で行われた日曜日のミサと、それに先立つ、若者たちとの祈りの前夜祭に、多数の参加者があったことも、思い起こされた。

 最後に訪問されたモーリシャスについては、「観光で知られると同時に、多様な民族と文化が統合された国。実際、同諸島には前世紀から、インドはじめ、様々な国からやってきた民族が生活しています」とされたうえで、「諸宗教間の対話と友好が自然な形で存在しており、たとえば、司教館で見た美しい花束は、イスラム教の指導者から贈られたものでした」と話され、ミサは、同国の「一致の使徒」、福者ジャック・デジレ・ラヴァル神父を追憶するものだったが、ここで「イエスの『真福八端』をキリスト者の身分証、利己主義や差別に対する特効薬」として示した、と語られた。さらに、要人らとの会見で、「共通の計画実現のために多様性を調和させる同国の努力」を評価され、これからも「さらに受容力のある社会と民主主義の発展に尽くすように」と激励した、と述べられた。

  最後に「今回の歴訪で蒔いた種が、モザンビーク、マダガスカル、モーリシャスに豊かな実をもたらすように」と祈られた。

(編集「カトリック・あい」)

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2019年9月12日