♰「教育への取り組み刷新へ、5月に『教育をめぐるグローバル・コンパクト』開催」

 

 教皇フランシスコは20日、教皇庁教育省の定例総会参加者とお会いになった。

 挨拶で、教皇は「教育とは躍動する現実。人々に光をもたらす一つの運動」とされたうえで、教育関係者が取り組むべきいくつかの課題を示し、全人格的な人間育成の一環として「エコロジー運動」を取り上げ、「自分自身と、自分が生きる『共通の家』を知り、兄弟愛や、互いを豊かにする多様な文化を生きること」を学べるように希望された。

 また、「教育とは『受容のための運動』でもあるべきで、『受容』とは、貧困や、戦争・飢餓・自然災害による困窮した状態、社会的差別、家庭や個人の問題などにより疎外された全ての人に向けられるべきものでなければなりません… 教育を通して『受容』を学び、兄弟愛の拒否から生まれる『切り捨ての文化』の拡大を食い止める必要があります」と強調された。

 さらに教皇は、「平和を作り出す運動」としての教育の役割を指摘。平和教育は、「異なった代・民族・文化・経済状況・性別などの間に不和を作り出す利己主義」に抗し、「互い違いを、一致の障害ではなく、かけがえのない皆の豊かさとして理解することを促すでしょう」と語られた。

 加えて、教皇は、「チームの運動」としての教育の側面も挙げ、「教育とは一個人、一組織のものではなく、学校・家庭・教師はもとより、文化・市民・宗教系などの様々な組織、そして社会や人類共同体に至る、皆の参加によって成り立つもの」と説かれた。

 また教皇は、教育のために本来あるべき、これらの連携が困難になっている現状への対処の一環として、5月14日を「教育をめぐるグローバル・コンパクト」のための日とし、企画・運営を教育省に委ねた経緯に言及。「この催しは、政治・行政・教育・宗教など様々な分野から責任者や専門家を招き、『教育のための共同体』の再構築について話し合い、教育への取り組みと情熱を新たにすることを目的としています」と説明された。

*「グローバル・コンパクト」は、「各組織・団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することで、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組み作りに参加する自発的な取り組み」を意味する言葉。1999年の世界経済フォーラム(ダボス会議)の席上でコフィー・アナン国連事務総長(当時)が提唱し、潘基文現国連事務総長も明確な支持を表明しているイニシアチブとして、国連グローバル・コンパクト(UNGC)が始められた。

 あいさつの最後に、教皇は「兄弟愛あふれる社会の基盤を築き、分裂を克服する成熟した人々を育てるために、神と人の、世代間の、人々と諸文化の、先生と生徒そして親たちの、広範な『教育のための盟約』のもと、共に努力することが、今、求められているのです」と訴え、教育に一層のエネルギーを注ぐよう、関係者を励まされた。

(編集「カトリック・あい」)

 

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2020年2月21日