♰「愛と忍耐を通して、より良い時の準備をしよう」-聖週間に

(2020.4.3 バチカン放送)

 教皇フランシスコは3日、5日から始まる「聖週間」を前にビデオメッセージをおくられた。

 カトリック教会の典礼暦は、12日(日)に祝う「復活の主日」に先立ち、5日(日)から復活祭直前の一週間「聖週間」に入る。 新型コロナウイルス感染の世界的な危機の下で迎える今年の「聖週間」について、教皇はビデオを通し、次のように語りかけられた。

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親愛なる友である皆さま、こんばんは。

 今晩、私は皆さまのお宅に、いつもとは違う方法でお伺いします。できれば、困難にある今この時期について、またその苦しみについて、皆さまとお話ししたいと思います。

 私は、ご家庭の中で、感染を避けるために、いつもと異なる生活をしておられる皆さまを想像しています。外に出られず、通学もできず、自分たちの暮らしができない、小さな子どもや青少年の元気あふれる姿を思い浮かべます。

 私はすべての家庭を心に留めます。特に病人のいるご家庭、残念なことに、新型コロナウイルスや他の原因のために喪に服すことになったご家庭を思います。また、この日々、一人暮らしのために、こうした状況に最も困難を感じている方々、特に愛するお年寄りたちのことを考えています。

 新型コロナウイルスの患者の方々、病院に入院している方々を忘れることはできません。私は、この深刻な感染者の治療のために、あるいは社会に必要な機能を保証するために、自らを捧げる方々の心の広さを知っています。毎日、一日を通して、どれだけの英雄がいることでしょう。

 経済的に苦しい思いをしておられる方々、仕事や将来を心配しておられる方々をも思い起こします。自分や家族たちのために感染症を恐れる、刑務所の受刑者たちの苦しみを思います。自分を守る家もない、ホームレスの方々を思います。

 今はすべての人にとって困難な時です。多くの方々にとっては、かなり困難な時です。わたしはそれを知っています。そして、この言葉をもって、私の寄り添いと愛情をお伝えしたく思います。もし、できることなら、今この時を、より良く使うようにしましょう。広い心で、近くにいる困窮した人を助けましょう。

 電話やソーシャルメディアで、最も孤独な人たちに声をかけましょう。イタリアや世界で苦しんでいる人々のために、主に祈りましょう。私たちは互いに離れていても、思いと精神は、愛の創造性をもって遠くまで及ぼすことができます。今日必要とされること、それは「愛の創造性」です。

 私たちはいつもとまったく異なる方法で、聖週間を祝います。

 聖週間は、「限りない神の愛」という、福音のメッセージを表し、集約するものです。私たちの町の沈黙の中で、復活の福音が、再び響くでしょう。使徒パウロはこう言います。「その方はすべての人のために死んでくださいました。生きている人々が、もはや自分たちのために生きるのではなく、自分たちのために死んで復活してくださった方のために生きるためです」(コリントの信徒への手紙2・5章15節)。

 復活したイエスにおいて、命は死に勝利しました。この復活の信仰は、私たちの希望を育むものです。今晩、私はそれを皆さまと分かち合いたいと思います。それはより良い時への希望です。その時、私たちはより良い状態にあり、ようやく悪とこの新型ウイルスの大感染から解放されるのです。それは、一つの希望です。希望は欺くことがありません。それは、幻想ではなく、希望です。

 他の人々と一緒に、愛と忍耐を通して、この日々、より良い時への準備をいたましょう。私を皆さまのお宅に招き入れてくださり、ありがとうございました。苦しむ人々、子どもたち、お年寄りたちに、優しく接してください。そして、「教皇がそばにいて、主がこの悪からすべての人を解放してくださるようにと、祈っている」とお伝えください。そして、私のために祈ってください。よい夕餉(ゆうげ)を。近くまたお会いいたしましょう。

(編集「カトリック・あい」)(聖書の日本語は「聖書協会共同訳」を使用)

 

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2020年4月4日