♰「彼らのようにキリストの生きた証人となろう」-使徒聖ペトロ・聖パウロ祭日に

(2019.6.29 バチカン放送)

 カトリック教会の典礼暦が29日、「使徒聖ペトロ・聖パウロ」の祭日を迎え、教皇フランシスコは記念のミサを捧げられた。ミサの前半、教皇は首都大司教たちに託す「良い羊飼い」を象徴するパリウムを祝別された。

 正教会のエキュメニカル総主教庁の使節が参列したミサの説教で、教皇は、聖ペトロと聖パウロの、聖地からローマまでの歩み、疲れを知らぬその宣教生活を思い起こされ、ローマで殉教するまで、キリスト者としての証しを続けた両聖人を、「人生の証人」、「赦しの証人」、「イエスの証人」として示された。

 イエスの最初の弟子となったペトロ、「先祖からの伝承を守るのに人一倍熱心だった」(ガラテヤ1,14)パウロは、その宗教的熱意にも関わらず、ペトロはイエスを否定するに至り、パウロは神の教会を迫害するという大きな過ちを犯すことになった、と教皇は振り返った。

 「ヨハネの子、シモン、わたしを愛しているか」(ヨハネ21,15)というイエスの問いに苦しみ、「サウル、サウル、なぜ、わたしを迫害するのか」(使徒言行録9,4)というイエスの声によって目が見えなくなったパウロは、回心の人生の証人であったと共に、主の赦しによってその弱さから立ち直った「赦しの証人」でもあった、と話された。

 また、ペトロとパウロは、何よりも「イエスの証人」であった、と教皇は強調。

 「あなたがたはわたしを何者だと言うのか」と尋ねたイエスに、「あなたはメシア、生ける神の子です」(マタイ16,16)と答えたペトロ、「わたしにとって、生きるとはキリストである」(フィリピ1,21)と記したパウロの、キリストにおける信仰の証しを見つめられた。

 イエスがペトロに向けた「わたしを何者だと言うのか」「わたしを愛しているか」という問いを、自分自身の心に響かせるよう教皇は招きながら、イエスと出会い、赦しを体験し、自分をくまなく捧げた両聖人のように、わたしたちもイエスの生きた証人となれるようにと祈られた。

 またこの日の正午の祈りの集いでは、教皇は祈りの前の説教で、「あなたはペトロ。わたしはこの岩の上に私の教会を建てる」(マタイ16,18)という、イエスがペトロに向けた言葉を観想された。

 ここではイエスが初めて「教会」という言葉を使っているのみならず、「私の教会」と、表現していることに注目。ここにイエスが教会に対して育む大きな愛を読み取られた。また、「キリストは教会を愛し、教会のために御自分をお与えになった」(エフェソ5,25)というパウロの言葉を引用した教皇は、イエスは教会をご自分の花嫁として愛される、と話された。

 そして、イエスは優しい眼差しで教会を見つめ、今日もわたしたちに「あなたがたは、私の教会」であると呼びかけておられる、と語られた。

(編集「カトリック・あい」)

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2019年6月30日