♰「人はパンだけで生きる存在ではない、金銭、権力…偶像は人の尊厳を損なう」

(2019.3.10 バチカン放送)

 教皇フランシスコは10日の日曜正午のアンジェラスの祈りの中で、ルカ福音書のイエスの受けた誘惑の箇所を取り上げ、「内的生活と、神への信仰と愛こそが、誘惑に対する強力な武器」と次のように話された。

 「今日、四旬節第一主日のミサ中朗読された福音によれば、イエスは悪魔から三度、誘惑されたとあります。

 最初の誘惑は、石をパンに変えてみろ、というものでした。悪魔のいつもの、ずる賢いやり方です。生きるために必要不可欠な食べること、幸福になることなどを、『神なしでも、むしろ神に対抗しても、自然に実現できる』と思い込ませようとします。イエスは、神の御摂理に完全に信頼することで、悪魔の誘惑に対抗することを教えます。人はパンだけで生きる存在ではありません。

 二番目の誘惑として、悪魔はイエスに全世界の国々を示し、力ある栄光に輝く救い主になるよう誘います。イエスは『ただ神なる主にのみ、膝をかがめ、神のみを拝するように』と返答します。神以外の金銭、権力、成功、出世、自己満足などの偶像は、あらゆる真の人間的尊厳を損ないます。泡のようにすぐに消え去る、虚しい喜びに酔いしれるだけです。

 三番目の誘惑では、悪魔はイエスをエルサレムの神殿のてっぺんに連れて行きます。神として劇的なその力を誇示するために、そこから身を投げるよう誘います。イエスはこのたびも、また神なる御父の御前で完全な信頼と謙遜を示しつつ、悪魔に対抗します。

 こうして、イエスは神と共にあることによって、悪魔のすべての試みを打ち払います。私たちを神から遠ざけようとする試みは、全て悪魔の仕業です。『どこでもいかなるときにも、神と共にある』こと、これこそ、あらゆる試みに対抗するための一番の良策なのです」

(編集「カトリック・あい」)

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2019年3月11日