☩「赦し合う習慣のない家庭は崩壊する」世界家庭大会7万5千人を前に

(2018.8.26 バチカン放送)アイルランド訪問中の教皇フランシスコは26日、ダブリンで開かれたカトリック教会の第9回世界家庭大会のメインイベント「家庭の祝祭」に参加された。

 クローク・パーク・スタジアムで行われた催しには、世界114カ国から家族たち約7万5千人が集り、歌と、ダンス、ビデオ映像を交えて進行し、家族代表が、家庭生活の喜びや試練、赦しや和解、愛と忠実など、家庭の様々な現実について語った。

家庭は神の愛を周囲に照らす「灯台」

 これに応える形で、教皇は「神の愛に根差しながら、福音の喜びを生活の中で、また社会の中で体現して生きるように」と勇気づけられたうえで、「家庭の福音:世界のための喜び」という、今大会のテーマを示しつつ、「真に世界の喜びとなるためには、家庭の中でイエスと出会えるようにする必要がある」と強調され、「家庭は『灯台』のように、神の愛の喜びを、まわりの世界に向けて照らし出す存在」であるべきあり、そのために「家族たちが愛と赦しといつくしみを与えながら、生活の中で静かで目立たない愛の行為を通して、『身近な聖性』を目指し続けることが大切です」と語られた。

 そして、家族が神の愛に深く根ざしているなら「キリスト教的結婚と家庭生活の素晴らしさをあらゆる面から理解することができる」、神の恵みのもとにあるなら「父と母、子どもや孫、祖父と祖母、そして姑と嫁、家族の皆が、たとえ容易でなくても、互いに理解し、赦し合うことができる」とし、このことをお茶にたとえて、「お茶を入れる時、茶葉を開かせる必要があるでしょう。それと同じように、家族の中にも時間と忍耐が必要です」と説明された。

完全無欠な家庭など存在しない

 さらに、「完全無欠な家族など、存在しません」とされ、「赦しの習慣がない家庭は弱りながら、次第に崩壊してしまいます。赦すとは自分自身の何かを与えることです」と説かれ、「子どもたちも、両親が互いに赦し合う姿を見て、人を赦すことを学んでいくのです」と語られた。

『ネット上の生活』が実生活を脅かしてはならない

 教皇は、今日の問題として、家庭とソーシャルメディアの関係も取り上げられ、「ソーシャルメディアは、過度にならぬよう、慎重さをもって利用すれば役に立つものですが、『ネット上の生活』が、実際の生活を脅かすようであってはなりません」と忠告。さらに、具体的に「皆がテーブルに就いている時、互いに会話せず、携帯電話をいじっているような状態は望ましくない。家庭と神のために充実した時間を割くことができるよう、(ネット漬けの状態になっているなら)考え直す必要があります」と注意された。

高齢者を大切にしない社会に未来はない

 また、イラクの家族の難民としての悲劇に心を寄せられ、「愛と、受容、赦しを教えることのできる家族たちは、社会の中で平和を生み出す存在となり、憎しみや復讐への最高の抵抗となっていくのです」と話された。

 高齢者問題についても触れられ、「お年寄りを大切にできない社会は、未来のない社会」であり、「世代間の絆の構築に配慮できない教会は、一番大切なもの、すなわち愛が欠けた教会です」と注意された。

 最後に、「皆さんは、教会と世界の希望です」と述べた教皇は、家族が喜びをもって福音を生きることができるよう、ご自身の使徒的勧告「愛の喜び」を参加者に手渡され、「神がその愛をもって、すべての家族を守ってくださるように」と祈られた。

(編集「カトリック・あい」)

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2018年8月26日