☩「カトリックのメディアは”デジタル時代”に後れをとるな」(CRUX)


Catholic media must not fall behind in digital age, pope says

Pope Francis greets the crowd during his general audience in St. Peter’s Square at the Vatican April 25. (Credit: Paul Haring/CNS.)

 (2018.5.1 Crux Author  Junno Arocho Esteves
ローマ発―テクノロジーが進化を続けている現代、カトリックの報道機関は福音をすべての人に伝えるために、進んでそれを活用していかねばならない-教皇フランシスコが1日、イタリア司教会議の日刊紙 Avvenireの役員、社員との会見で語った。

 会見で教皇は、新たなデジタル技術を活用するにあたって、技術的に最新のものに目を向けていくだけでなく、「過去への愛着が危険な誘惑になる」ことを積極的に認識する必要性を強調。「伝統の真の信奉者は、記憶を生かし続ける一方で、どうしたら、時のしるしを識別し、新たな道を開くことができるか、を知っています」と述べた。 5月1日は労働者聖ヨゼフの祝日、世界の労働者の日(メーデー)で、イタリアを含め多くの国で祝日とされている。

 教皇は、イエスの義理の父親(聖ヨゼフ)は「沈黙の人」-一見、「メッセージを伝える人とは正反対のように思わるかもしれません」としたうえで、カトリックのジャーナリストと報道機関は「世の中の雑音と自分たち自身のうわさ話を遮断することによってのみ、意思疎通の第一条件である『聴く』事が可能になる、ということを認識せねばなりません」と注意を喚起した。さらに、特に現代の世界では「情報のスピードが私たちの思考力をしのいでおり」、教会の信徒たちは「拙速と偏見の文化の力と影響」に晒され、教会の使命を「拍手喝さいを受ける司牧活動、思考の安易化、賛同を意見の幅広い混沌」に陥らせる危険を冒している、と警告した。

 また、こうした中で、聖ヨゼフの姿に見習うべきは、情報伝達の分野に働くキリスト教徒全員に対して「ゆっくりと、落ち着き、忍耐強いという健全な感覚」を想起させること、としたうえで、「彼は、その沈黙で、私たちに『全ての事は、聴くことから、他の人の言葉と自分史に心を開くために自分を超越することから始まる』ということを思い起こさせてくれるのです」と強調した。

 さらに教皇は福者パウロ六世の言葉に言及し、カトリックの新聞は「印象をよくしたり、読者を増やしたり」するニュースを報道するだけであってはならず、読者が自分自身で「考え、判断」するように教育する使命がある、と指摘、「カトリックの情報伝達者たちは、(情報の受け手を)窒息させたり、閉じ込めたりするような硬直性を避ける。聖霊を鳥かごに入れず、自由に飛び回り、心から呼吸するようにさせます。現実を見かけだけのことに、美しさを醜悪なものに、社会的な友情を争いに、取って代わるのを、決して容認しません。命と良きものの芽を育て、強めます」と出席者を含む、報道にかかわる世界のカトリック信徒たちに努力を求めた。

 最後に、Avvenireの役員、記者、職員に対して福音を告げ知らせる者となるように、そして、聖ヨゼフのように、社会の幸せと尊厳を守る真の守護者になるように激励した。

 (翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

 

 

 

 

 

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2018年5月2日