☩「イエスの奇跡の偉大さは、ペトロたちを『諦めの罠』から助け出したことにある」-日曜正午の祈りの前に

(2019.2.10 バチカン放送)

 教皇フランシスコは10日、日曜正午の祈りに先立つ説教で、この日の福音朗読箇所、ルカ福音書中のイエスが漁師シモン・ペトロを弟子にする場面(5章1-11節)を取り上げられた。

 このエピソードでは、イエスによる大漁の奇跡と、ペトロの召し出しが語られる-ゲネサレト湖畔で、イエスは網を洗う漁師たちをご覧になった。イエスはシモンの舟に乗り、岸から少し漕ぎ出すように頼み、そして、舟から岸辺の群集に教えられた。話し終わったイエスは、「沖に漕ぎ出して網をおろし、漁をしなさい」と言われた。シモンは「夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした。しかしお言葉ですから、網を降ろしてみましょう」と答えた。漁師たちがそうすると、網が破れそうなほどの、おびただしい魚がかかった。

 教皇は、この箇所について、経験豊かな漁師シモン・ペトロは、前の晩に何もとれなかったものを、また漁をしたところで同じだろうと考えたが、イエスの存在とその言葉に動かされ、「お言葉ですから」と網を降ろす、イエスの招きに答えようとする姿勢を持っていた、とされた。

 そして、「主はご自分のすべての弟子たちに、信仰への回答として、主の呼びかけに答えるこの姿勢を求められているのです」とし、「ペトロのイエスへの信頼に満ちた従順は、網がやぶれそうなほどの魚をもたらしましたが、この奇跡の大漁は、『イエスの言葉の力』を表すしるしであり、私たちが主のために寛大に奉仕する時、主は私たちの中で偉大なことを成し遂げられます」。

 さらに、「主は私たちの人生の舟にご自分を迎え入れ、ご自分と共に新たな海に漕ぎ出すよう招かれ、そこで偉大な驚くべきことを見せてくだいます。優しさと慈しみを証しするために人類の大海に出ることは、私たちの人生に新しい意味をもたらすのです」と強調された。

 また、「主よ、私から離れてください。私は罪深い者なのです」と言ったペトロと同じ様に、「私たちも、神の呼びかけを前にして、自分の不適格さを理由に、それをたびたび断ろうとする傾向があります」。しかし、「『恐れることはない。今から後、あなたは人間をとる漁師になる』とイエスがペトロを励ましたように、私たちが主に信頼を寄せるなら、主は私たちを罪から解放し、ご自身の使命に協力するように、と新しい世界を開いてくださいます」と説かれた。

 教皇は「イエスが行った奇跡の偉大さは、網を魚で満たしただけでなく、ペトロたちを失望や諦めの罠から助け出したことにあります」とされ、イエスは福音と神の御国の証し人になるよう彼らの心を開かれ、「それに対する彼らの答えは『すべてを捨てて、イエスに従う』ことでした」と語られ、神の御旨に寛大に従ったおとめマリアを模範として示された教皇は、「私たちも、神の御言葉と救いを告げ知らせるために、主の呼びかけに答えることができますように」と聖母の助けを祈られた。

(編集「カトリック・あい」)

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2019年2月13日