☩「『無関心のグローバル化』に立ち向かおう」-新任大使たちに(Crux)

教皇フランシスコと、新しく着任した各国の駐バチカン大使

 (2018.5.17 Crux Author Junno Arocho Esteves)

 教皇フランシスコは17日、バチカンで、タンザニア、レソト、パキスタン、モンゴル、デンマーク、エチオピア、フィンランドの7か国の新大使と信任状提出の機会に会見した。 この中で、教皇は「外交官には、すべての人々のために人権を支持する責務があります。とくに、戦争、貧困、環境の悪化で母国を脱出せざるを得ない人々に対してです」としたうえで、特に移民・難民問題は「本質的に倫理的な側面をもち、国境を越え、安全と自らの利益を超える問題です」と強調。「私たちは誰一人として、『無関心のグローバル化』-速やかな人道的対応が求められている不正な悲劇的な状況に直面しながら、それに目を背けることがあまりにも多い現状-に立ち向かう道義的な責任に、気づかないふりはできません」と語り、大使たちに真剣な取り組みを求めた

 また、外交の仕事は、男性、女性すべての一致と尊厳についての「一致した確信に基礎を置く仕事」だとし、「貧困、疾病、迫害に苦しむ人人」との連帯を呼び掛けた国連人権宣言が採択から今年で70周年を迎えるが、国際社会が現在直面している人権問題で最も緊急に求められているのは、戦争、飢えから逃れようとする人々、差別、迫害、貧困、環境悪化で母国を去ることを余儀なくされている人々すべてを、進んで受け入れ、保護し、力を与え、一つにすることです」と訴えた。

 そして、「政治的、社会的問題には複雑で、扱いに慎重を要する」ことを認識しつつ、教皇は「何よりも、苦しみをともにする心、先見性、勇気」をもって、決断と政策を進めるように、外交官を含む国際社会の関係者に要請した。

 最後に、カトリック教会として「他者への責任を確信し、真の兄弟愛と平和の精神で世界を作り上げていくために協力する、あらゆる努力を進めていきます」と自らも責任を果たしていくことを確認した。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

 

 

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2018年5月18日