◎連続講話「十戒」⑨「人生の疑問は神を見出した時に晴らされ、建設的なものとなる」

(2018.9.19 バチカン放送)

 教皇フランシスコは、バチカンで19日、水曜恒例の一般謁見を行われ、謁見中の「十戒」をめぐるカテケーシス(教会の教えの解説)で、第4戒「あなたの父母を敬え」(出エジプト記20章12節、申命記5章16節)を考察された。

 教皇は、聖書の「神を敬う」が「神をありのままに受け入れ、その存在を尊重し、典礼で表わすだけでなく、人生において神に重きを置くこと」を意味するように、「父母を敬う」とは「献身や、愛情、孝行などを表わす具体的な行いをも含めて、父母の存在の重要さを認めること」と話された。

 また、「十戒」の第4戒の特徴は、「あなたの父母を敬え、あなたの神、主が命じられたとおりに」という指示に続いて、「そうすればあなたは、あなたの神、主が与えられる土地に長く生き、幸いを得る」(申命記5章16節)と、この戒めを守ることでもたらされる「結果」が示されていること、とし、第4戒は「父母を敬うことは、長く幸せな人生をもたらす」としているが、「十戒」の中で「幸せ」と言う言葉が見られるのは、両親との関係をめぐるこの戒めだけ、と指摘された。

 幼児期の体験はその人の一生に影響することは、一般に知られているが、この戒めは「必ずしも両親に優しさや、完璧さを求めているのではありません」「両親の価値の如何にかかわらず、子の側の態度を言っています」と注意したうえで、「たとえ親が良い親でなくても、幼少期が平穏でなくても、すべての子たちは、『誰が、この世に自分をもたらしてくれたのか』を正しく知ることで、満たされた、幸せな人生に到達することができるのです」と強調された。

 そして、教皇は、来月列聖式が行われる福者ヌンツィオ・スルプリツィオや、聖カミロ・レリス、聖ジュゼッピーナ・バキータ、福者カルロ・ニョッキ、また聖ヨハネ・パウロ2世のように、「早くに親を失ったり、苦難に満ちた幼少期を経験しつつも、イエス・キリストにおいて人生と和解し、光に満ちた人生を歩んだ人々」を思い起こされ、「人は誰でも、その人生のストーリーに関わらず、キリストに導くものとして、この戒めを受け取ることができます」とし、「なぜなら、キリストにおいて、私たちに新たな生をくださる真の御父を見出すことができるからです」と話された。

 「私たちの人生の疑問は、神を見出した時に晴らされます」「神は、私たちにいつも、神の子としての人生を準備してくださり、そこですべての行いは、神からいただいた使命となります。そして、人生はすべて貴重で、建設的なものとなるのです」と説かれ、「そうして、私たちは、成熟した子として、慈しみをもって、親たちの限界を受け入れながらも、自分の父母を敬うことができるでしょう」と話された。

(「カトリック・あい」が編集しました)

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2018年9月20日 | カテゴリー :