◎教皇連続講話:使徒言行録⑯「パウロの航海は、私たちに『試練を生きる』ことを教えてくれる」

Pope Francis at the General Audience  (Vatican Media)

(2020.1.8 VaticanNews Lydia O’Kane)  教皇フランシスコは8日、新年初の定例謁見に臨まれ、使徒言行録についてのカテキーシスを続けられた。

 今回は、聖パウロが囚われの身となって、陸路ではなく海路で帝国の都、ローマに向かった箇所を取り上げられ、これによって、「あなたがたは… 地の果てまで、私の証人となる」(使徒言行録1章8節)という、復活されたイエスの言葉が実現された、と指摘。

 パウロは、海路を護送される途中、船がクレタ島を離れようとした時、海が荒れる季節で航海が危険となったのを知って、船に乗っている人々に、このまま航海を続けようとすれば、人命さえも危うくなると警告した(同27章9-10節参照)。だが、人々は彼の警告を聞かず、出港し、何日も暴風に襲われ、本当に危険な状態になったが、パウロは「元気を出しなさい… 私は神を信じています… 必ずどこかの島に打ち上げられます」(22-26章)と人々を励ました。

 そして、船は破壊されたものの、乗員全員が無事にマルタ島に上陸できた(27章39-28章6節参照)。だが、パウロは現地の人々が寒さをしのぐために焚いてくれた火の中から出てきた毒蛇に噛まれてしまう。それでも彼はその毒蛇を火の中に振り落とし、何の害も受けずに済んだ(28章5-6節参照)。そして、病に苦しんでいる島の人々を癒した。

 このような出来事を振り返り、教皇は「パウロの航海は、洗礼の水の中で死から生への道を通して、神がそのご意思で私たちを顧みてくださる、という象徴とみることができます」とされ、「(パウロのように)『試練を受けたキリスト者』は、苦しんでいる人に確実に近づき、心を開き、他者との連帯に敏感になることができるのです」と強調された。

 さらに、「パウロは、キリストにひたすら付き従うことで、私たちに『試練を生きる』ことを教えてくれます… 『明らかな失敗の中でさえ、神はどんな状況でも行動できる』『愛ゆえに自分自身を神に捧げる人は多くの実を結ぶ』という確信を深めるために」と説かれた。

 最後に教皇は、「試練の中にある私たちを支えてくださいますように。今日、乗った船が難破し、私たちの海岸に着く人々を、心を開いて迎えられますように」と主に祈られた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2020年1月9日