◎教皇連続講話:使徒言行録⑮「『群れに気を配る』ことこそ、主任司祭、司教、教皇、すべての司牧者の仕事」

 

教皇フランシスコ、バチカンでの一般謁見 2019年12月4日教皇フランシスコ、バチカンでの一般謁見 2019年12月4日  (Vatican Media)

(2019.12.4 バチカン放送)

 教皇フランシスコは、バチカンで4日、水曜恒例の一般謁見を行われ、謁見中の「使徒言行録」についてのカテケーシス(教会の教えの解説)で、使徒聖パウロのエフェソでの宣教を取り上げられた。

 エフェソに行ったパウロは、12人ほどの人々にイエスの名によって洗礼を授けた。彼らの上に聖霊が降り、新たな者とされた(参照:使徒言行録19章1-7節)。さらに、パウロの手を通して様々な奇跡が行われ、病人は癒され、悪霊に取りつかれた人々は解放された(参照:同19章11-12節)。

 教皇は「これらのことが起きたのは、弟子は師に似る者となるため(参照:ルカ福音書6章40節)であり、パウロは自分自身が主から受けた新しい命を兄弟たちに伝えるために、その力を発揮したからです」と述べられた。

エフェソでみなぎる神の力は、「精神的権威を持たずに、試みにイエスの名によって悪霊払いをしようとした祈祷師」を悪霊に見破らせ(参照:使徒言行録19章13-17節) 、魔術を行っていた者も、キリストを選ぶ人々に見捨てられ、その弱さを露見した(参照:同18-19節) 。

 この箇所について教皇は「キリスト教信仰と魔術は相容れないものであり、信仰とは、神の手に信頼をもって自らを委ねるものです」と説かれた。

エフェソで福音が広がることで、アルテミス神殿の模型を造る銀細工師たちは売り上げを落とした。彼らは、パウロに対する蜂起を企て、「キリスト教徒たちは、アルテミス神殿と女神への威光を失わせるもの」として訴えられた(参照:同23-28節) 。パウロはエルサレムに向けて、エフェソを発ち、ミレトスに到着した(参照:使徒言行録20章1-16節)。パウロはミレトスからエフェソに人をやって、教会の長老たちを呼び寄せ、人々の司牧を彼らに託した(参照:同17-35節)。

 ミレトスで、パウロがエフェソの長老たちに別れの挨拶を述べる場面を、教皇は「使徒言行録の中でも最も美しいページの一つ」として紹介された。

 この場面で、二度と彼らに会うことがない、と知っているパウロは、共同体の責任者たちを励まし、「どうか、あなたがた自身と群れ全体とに気を配ってください」と頼んだが、教皇は「まさに『群れに気を配る』ことこそが、主任司祭、司教、教皇、すべての司牧者の仕事なのです」と強調。そして、教皇は、パウロが特に群れの「監督者=司教」たちに対し、神が御子の血によってご自分のものとされた神の教会の世話をし、群れを荒らす残忍な「狼」からそれを守るように(参照:同28-29節)最大の配慮を求めている点を指摘された。

この使命をエフェソの長老たちに託したパウロは、「神とその恵みの言葉」に彼らを委ね(同32節)、パウロ自身のように、自分の生活のためにも、共にいる人々のためにも、自分の手で働き、弱い者を助け、「受けるよりは与える方が幸いである」という言葉を身をもって体験するように招いた(同35節)。

 そして終わりに、教皇は「信仰を守り育む教会への愛を新たにすると共に、司牧者たちが神なる牧者の強さと優しさを示すことができるよう祈りで支えることで、すべての人が群れを守る共同責任者となれるように」と祈られた。

(編集「カトリック・あい」)

 

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2019年12月5日