◎教皇連続講話「使徒言行録」⑥「自分の利益にしか関心のない『偽善』は教会を破壊する」

(2019.8.21 バチカン放送)

 教皇フランシスコは21日の水曜恒例の一般謁見で、「使徒言行録」をテキストとしたカテケーシス(教会の教えの解説)を続けられた。

 この日の使徒言行録では、まず、4章32節の「信じた人の群れは心も思いも一つにし、一人として持ち物を自分のものだと言う者はなく、すべてを共有していた」を考察され、「豊かに注がれた聖霊の下に生まれたキリスト教共同体は、神の家族としての連帯の力によって築かれた『コイノニア』、すなわち『交わり』『分かち合い』を経験する場所です」と話され、初期のキリスト者たちが「心も思いも一つにし」、「すべてを共有していた」様子を思い起こされた。

 そして、彼らの中に貧しい人がいなかったのは、「土地や家を持っている人はそれを売り、代金を持ち寄り、使徒たちの足もとに置き、それを必要に応じて分配した」(4章,34-35節参照))から、とされ、「常に教会は、多く持っている物を手放し、必要な人に与えるというキリスト者たちの態度によって培われてきました」として、「お金だけでなく、自分の時間をも与えることの大切さ」を指摘。貧しい人や病者のために自分の時間を分かち合う、多くのボランティアたちの存在を称えられた。

 また、このような「交わり」は、「主の弟子たちの関係の新しい規範となるもの」であり、「キリストとの絆は、兄弟間の絆に発展し、それは物的な分かち合いによっても表され、信者たちはキリストのからだの一部として互いに責任を負っていくのです」と説かれた。

 さらに「分かち合いにおいて誠実さや愛が欠ける時、それは偽善をもたらし、真理を遠ざけ、利己主義により、交わりの火を消すことになる」「他人の不利な状況を利用し、自分の利益を得ることだけを目指す人生は、内的な死を免れません」とされたうえで、「『自分は教会によく通っている、司教や司祭と親しい』などと言いながら、自らの利益にしか関心がない人たちの偽善は、教会を破壊するものです」と警告された。

 最後に教皇は、「あらゆる偽善に打ち勝ち、キリスト教的連帯を育む真理を広げられるように」と、皆の上に聖霊の注ぎを祈られた。

(編集「カトリック・あい」)

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2019年8月23日