+「”使い捨て”文化と無関心を否定し、社会正義を推し進めて」ダボス会議へメッセージ

(2018.1.23 バチカン広報)教皇フランシスコは23日から26日にかけてスイス東部のダボスで開催中の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)のクラウス・シュワブ会長に次のようなメッセージを送られた。同会議には独仏など欧州各国の首脳が出席、演説で保護主義への懸念を相次いで表明、トランプ米大統領は26日に予定されている演説で「米国第一」に基づき、公正で互恵的な貿易を求めるとみられ、対立が深まることが懸念されている。

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 今年のフォーラムの「バラバラになった世界の中で分かち合う未来を創る」というテーマはとても時宜にかなったものです。この会議が、大きな不確実性の中で生き、より良い世界を夢見ることができなくなっている人々が尊厳を取り戻すことのできる、包括的で、的確で、協力的な、社会を作るより良い基礎を追求する話し合いの助けになる、と私は信じています。

 循環的な金融不安が新たな問題と各国政府が立ち向かわねばならない課題をもたらしています。それは、失業の増大、様々な形の貧困の増加、社会・経済的な格差の拡大、そして新たな形の奴隷制度、それはしばしば紛争、人の移動、さまざまな社会問題から生まれています。

 「私たちは利己的なライフスタイルを目にしています。それは、もはや続けることにできない、私たちの周りの世界、とくに貧しい人々の中でも最も貧しい人々を無視するような、贅沢さで特徴づけられるものです。落胆させられるのは、技術的、経済的な問いかけが政治的な議論を支配し、人類にとって本当に関心を払うべき問題に向けられていないことです。男たちも女たちも搾取を目的とした消費の手段として、機械の歯車のようにされてしまう危険を冒しています。その結果は、とても悲しいことですが、はっきりしています-人間の命が機械にとって役に立たないと分かれば、躊躇なく捨てられる、のです」(2014年11月25日の欧州議会へのメッセージ)。

 この文脈で、人間の尊厳を守ることは重要です。とくにそれは、人間の真の豊かさへの紛れもない機会をすべての人々に提供すること、そして家庭を優先する経済政策を実行することによってなされるべきです。「経済的な自由は、人の実務的な自由とそうした人々の権利をもっぱらとしてはなりません。市場は絶対的なものではなく、社会正義を最優先させねばなりません」(2016年2月27日のイタリア産業連盟総会へのメッセージ)。ですから、経済のモデルは、人間と男女の権利を中心に置く価値観を基礎に置いた、持続可能で欠かすことのできない真の「人間の豊かさを追求する(human development)」倫理に沿ったものであることが求められるのです。

 「今日なおも作り上げられている不正義、孤独、不信、疑惑の多くの障壁を前にして、経済界は勇気ある一歩を踏み出すように求められています。『共存、共働』を単なる標語ではなく、現在と未来へのプログラムとするために」(同上)。すべての経済の配役たちが確固とした決意を共有することを通してのみ、私たちの世界の運命に新たな方向を与える希望をいだけるのです。同じように、人工知能(AI)、ロボット、その他の技術革新も、人間の奉仕と私たちの共通の家である地球の保護に役に立つように、その反対にならないように、使われねばなりません。

 尊厳を傷つけられた何百万の人々の苦しみを目の当たりにして、黙っていることはできません。貧困と不正の拡大に理由が無いかのように前進を続けることもできません。一人ひとりが尊厳を持って生きることのできる正しい条件を整えること、それは道義的にどうしてもせねばならないこと、全ての人が負うべき責任です。

 『使い捨て』の文化と無関心を否定することで、企業家たちは、利益の公正で公平な分配とともに、生産性の質を上げ、新しい雇用を創出し、労働関係法を尊重し、公私両面の腐敗と戦い、社会正義を推し進めることで、効果的に実のある変革の大きな力を手にするのです。

 賢明な識別をする重大な責任があります。なされる決断は明日、そして将来世代の世界を形成するために決定的なものとなるでしょう。私たちが、より確かな未来-すべてにわたって繁栄が保証されるような世界-を望むのなら、本物の価値で表される『真の北』を指し続ける羅針盤を堅持する必要があります。今や、私たちの愛する地球のために勇気ある、大胆な歩みを始める時です。人間の真の豊かさの向上に寄与する私たちの責任を行動に移す、まさにその時なのです。

 世界経済フォーラムの今回の会議が、自由で、開かれた、互いを尊重する意見交換の場となり、そして何よりも共通の善を大きく前進させる意欲によって鼓舞されますように、期待いたします。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2018年1月25日