☩「女性たちは”使い捨て文化“の犠牲者だ」(Crux)

 

Pope Francis: Women are victims of a “throwaway culture”

In this file photo, Pope Francis gives the homily during morning Mass in the Domus Sanctae Marthae at the Vatican. (Credit: CNS photo/Vatican Media.)

(2018.6.15 Crux Staff)

 教皇フランシスコは15日、サンタ・マルタの家での朝のミサ中の説教で、「女性たちは”使い捨て文化”から苦しみを受けている。イエスが、女性たちの社会における二流の地位を終わらせることで『歴史を変えた』(にもかかわらず)」と語った。

 この説教で、教皇は、福音書でイエスが「心の中で姦淫をする」ことについて語られた箇所を取り上げ、「女性たちについてのイエスの言葉は、男性たちと平等であることを認めるものです。当時、女性たちは『完全な自由さえも」持たない、『奴隷』と少しも変わらなかった」と話された。

 Vatican Newsによれば、「女性についてのイエスの教義は歴史を変えました。女性についての考え方は、イエス以前とイエス以後で、変わったのです」と教皇は、次のように語った。

 「イエスは女性たちに敬意を払い、男性と同じ地位に置きました。それは、彼が、創造主の最初の言葉-男女ともに『神の似姿』だ、と考えているからです。男女の両方-第一に男性、それから少し低い位置に女性-というのではありません。両方とも同じ位置にあるのです。そして、傍らに女性のいない男性は―その女性が母、姉妹、花嫁、同僚、友人のいずれだろうと-男性は自分だけでは神の似姿ではありません」。

 さらに、「それなのに、今日の世界でも、女性は依然として、物のように扱われています。そして、宣伝広告に使われているイメージはしばしば”屈辱的”な女性、あるいは”着物を何もつけていない”姿を呼びものにされています」と現状を憂い、女性たちは「使い捨ての心理」の犠牲者として、『遠く離れた場所』ではなく、私たちの周りに存在する、と指摘した。

 そして、「女性を否定するのは、創造主の神に対する罪です。なぜなら、女性の存在無しに、私たち男性は、神の似姿になることができないからです。女性たちに対する怒りと恨みがあります。それは邪悪な怒りです」とし、「言わずもがなですが…女性たちは、仕事のために、使い捨ての対象として自分自身を、どれほど多く売らねばならないのでしょうか?何度でしょうか?『そうです、父よ、私はこの国で、それを耳にしました…』。ここ、ローマでです。そういう話を聞くために、遠く前行く必要はありません」と続けた。「このようなことは全て、ローマで起きているし、どの町でも起きています。氏名不詳の女性たち、女性たち―”顔のない”、恥ずかしさが彼女たちの顔を隠すので-笑い方を知らない女性たち、そしてそうした女性たちの多くは赤ちゃんに母乳を与える喜びを知らず、母親の経験もありません」。

 教皇はまた、性的に搾取されている女性たち-市場で売られている物のように使われ、売られる女性たち-の問題を取り上げ、それは私たちの近隣、ローマでさえも起きている、と述べた。「私たちの日々の生活の中においてでさえも、何処か他のところに行かなくても、このように醜悪な考え方―女性を否定したり、”二級”の人間と見たりするやり方―が存在するのです。このことについて、もっと深く考え直す必要があります。そうしたり、そのように語ったりすることで、そのような考え方をすることで、私たちは、男と女をともにご自身の似姿となさった神の姿を蔑むのです」。

 最後に、教皇は「福音を読むことは、女性の市場売買、取引、まさに人身売買-目に見える搾取、そしてまた、目に見えないところで行われている取り引き-について考える助けになります。女性は、女性だから、という理由で踏みつけにされます」と語り、ミサ参加者に対して、イエスが多くの女性と出会いを持ったことを思い起こさせた-軽蔑され、軽んじられ、脇に追いやられた女性たち。イエスは、彼女たちに大きなやさしさを示し、人としての誇りを取り戻させた。そして「イエスには、たくさんの女性の友だちがおり、彼女たちは、教えを広めようとする彼を助けるために、彼についていきました…そして、彼を支持したのです」と女性の役割の重要性を強調された。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2018年6月16日