(2018.6.14 Crux Faith and Culture Correspondent Claire Giangravè
ROME -カトリック教会は昨年から年間第33主日を「世界貧しい人々の日」にしており、二回目の今年は11月18日がその日に当たる。教皇フランシスコは14日、その日に向けたメッセージを発表し、宗教を信じる人たち同士だけでなく、信じていない人たちとも「力を合わせる包容力を改めて見出すために、喜びの心をもって、この日を祝う」ことを願っている、と訴えられた。
このメッセージのタイトル「This poor man cried, and the Lord heard him」(新共同訳は「貧しい人が呼び求める声を主は聞く」)は旧約聖書の詩編(34章7節)からとっており、教皇は「その叫びを聞き、必要としていることを知るため目を凝らす必要のある、本当に貧しい人は誰か、を理解する機会を示すもの」とし、「貧しさの状態は言葉では表現できず、天空を横切り、神に届く『叫び』となります」と説明された。
教皇は2016年の慈しみの特別聖年の最後に「世界貧しい人々の日」を制定されていた。そして、今回は、貧しい人々の守護聖人、パドゥアの聖アントニオ(ポルトガル・リスボンに生まれ、1231年に亡くなった司祭)の命日に当たる6月13日にメッセージを発表された。
11月18日の前日にローマの聖ラウレンチオ教会で、貧困者たちの世話をしているボランティアと人権団体たちが参加して、徹夜の祈りが捧げられる。18日当日は、教皇フランシスコがサンピエトロ大聖堂で貧しい人々と会見した後、バチカンのパウロ6世ホールで3000人の人たちと昼食を共にする予定だ。教区の信徒たちも昼食の提供に参加することになっており、「共同体としてともに祈り、日曜の食事をともにすることは、私たちを初期のキリスト教徒共同体に立ち返らせる経験となります」と教皇がメッセージに書かれている。また、この日から一週間にわたってピオ12世広場では、貧しい人々のために無料で健康診断サービスも提供され、教皇庁の健康管理部門とローマの各大学の医療専門家が協力することになっている。
教皇はメッセージで、「貧困の大きな世界」を前にして、協力が何よりも重要であり、効果的で、連携した対応が欠かせない、と強調、「信仰ではなく、人間的な連帯によって動かされる、教会外の活動体との協力が、私たちだけではできないことを可能にしてくれます」と述べ、貧しい人たちを助けるために働く宗教的な組織と、そうでない組織の間の対話を提唱、「貧しい人たちへの奉仕で、私たちが最終的に必要なことは一番を目指す闘いです」「貧しい人たちは指導者を必要としません。必要なのはなされた善をどのように隠し、忘れるかを知る心です。真の指導者は主であり、貧しい人たちなのです」と強調された。
このメッセージは、三つの言葉で象徴されている。第一に、自分自身を脇において「聞くこと」だ。教皇は「貧しい人たちを助ける時に、自分本位になる」恐れがあることを指摘し、「多くの活動が、貧しい人たちの叫びを本当に理解することなく、自分たちの功績や必要によってされているのではないかと、心配することがよくあります」「こうした活動の仕方は、人々の対応を混乱させ、『利他的なジェスチャーが自分自身を傷つけずに、事足りる』と信じるような幻想を作り出します」と警告している。
第二は「答えること」。教皇は、神だけが「正義を回復し、尊厳をもって生きることを新たに始めるのを助けることができる」としながら、「世界貧しい人々の日」が、たとえ小さくとも、現状に変化をもたらす機会を提供することが可能、と訴え、「この記念日が、どのような形の、どのような土地の貧しい人たちに対しても、自分たちの叫びが聞かれないまま終わる、と考えることのないようにする、世界に広がる教会全体の『小さな答え』となるように」と期待を述べている。
そして、最後に「解放する」。これは「具体的で、感じることにできる近さ」を通してのみ、行うことができる」と教皇はされている。しばしば、と教皇は言われた-「貧しい人たちは非難の声を浴び、黙れ、動くな、と言われることがあります」。この「貧しい人びとの恐怖症」は、福音のメッセージとまったく対照的だ、とし、聖職者と一般信徒たちに対して、「この世界の日を新たな福音宣教の特別な機会として活用し、貧しい人々から、福音のすばらしさを日々見つけ出すように助けをいただく日にするように」と強く促している。
(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)