Sr阿部のバンコク通信 ㉟「大きくなったら… ”タハーン”になりたい」

 「大きくなったら何になりたい?」と聞くと、何人かの男の子はさっと答えますー「タハーン(軍人)」と。身近なところで軍隊が国民を守り、窮地を救い活躍している姿が身近にあるからでしょうか。

    過日、向かいの聖ミカエル教会で若い空軍兵士の追悼ミサに与りました。複座戦闘機で訓練中の事故。搭乗していた仲間をパラシュートで脱出させ、自分は機が民家を避けられるようにして、川に墜落、死亡。一瞬の出来事で原因は未だ調査中との事。彼はカトリック信徒で、顔見知りの大勢の親族が参列、若い溌剌とした軍服の青年が機体の傍に立つ遺影が印象的でした。

  都心の北部20km余、ドンムアン空港に隣接するこの地帯には空軍の基地が広がり、時に戦闘機のつんざく音が響きます。

 私は、タイ軍人と結婚したカトリックの日本女性と親しくなり、興味を持ち、情報を得る機会ともなりました。多くの士官が日本の防衛大学校に留学しており、日本語が堪能な幹部も少なくありません。

 タイの徴兵制については、高校にも大学にも軍事訓練の科目があり、それを履修していれば兵役の対象になりません。履修していない人は全員が兵役の対象となり、自分で入隊を志願すれば兵役の期間は1年、くじ引きを選んで「赤」をひけば、期間は2年になるそうです。

 タイの軍隊は正に「自衛隊」と言えます。国王と自国を勇敢に護り、災難窮地に立って大活躍、皆に愛され期待される存在です。本当に警護に当たっているタハーンに会うと、感謝と親しみの気持ちが湧いてくる私です。(写真は、タイの兵士たち)

(阿部羊子=あべ・ようこ=バンコク在住、聖パウロ女子修道会会員)

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2019年9月4日