・Sr石野の思い出あれこれ ⑭着衣式!遂にシスターになる

 1950年11月1日、諸聖人の祝日。教皇ピオ12世が、聖母被昇天の教義を教会の信仰箇条と宣言された日、私と志願者Sさんは阿佐ヶ谷の小さな聖堂で着衣式を挙げることになった。

 着衣式とは、一定の志願期を過ごした者が志願者の服を脱ぎ、シスターの制服をいただいて身に着ける式のことをいう。現在は式が全く簡素化され、実に簡単にしか行われないが、当時は着衣によってキリストの花嫁になると考えられていたので、先ず白い花嫁衣装で身を包み、頭には花輪のついた白いベールを戴き、きちんとたたんだシスターの制服を両手で持って聖堂に入った。

 聖堂では神父様が、私たちが手にしている制服を祝別して下さり、簡単なお話の後、私たち二人は一度、聖堂を出て部屋に戻り、白い花嫁衣裳を脱いで黒いシスターの制服に着替えた。

 裾まである長い服を身に着け、黒くて長いベールを冠り、左わきには大きなロザリオをさげて、皆が見守る中を再び聖堂に。こうして私たちは外見上、シスターになった。聖堂には両親をはじめ、家族や友人が大勢参列してくれていて、修道服を身に着けた私たちの姿が見えると、割れるような拍手が起きた。

 このおかげで全身を覆っていた緊張は解け、笑顔が浮かんだ。その夜、皆でお祝いをするようにと、父が我が家での手作りのお寿司を修道院に届けてくれた。それをいただきながら喜びと感謝、溢れるほどの恵みのうちに過ごした一日について、みなで楽しく語り合った。

 「さあ一生懸命しよう!」私は心に誓った。言葉では言い表すことのできない深い幸せ感が、私を包んでいた。

( 石野澪子=いしの・みおこ=聖パウロ女子修道会修道女)

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2019年8月31日