・菊地大司教の日記㊻教皇フランシスコ3・八王子教会で堅信式、そして新潟へ

2019年3月 3日 (日)

教皇フランシスコ 3

 

 教会は、聖霊によって守り導かれているのですから、わたしたちは安心して集っていることができるはずなのです。

しかし現実はそんなに簡単ではない。社会は少子高齢化だ。その直撃を受けて、教会も少子高齢化。戦後に相次いで建てられた聖堂は、そろそろ補修が必要だ。なかには建て替えも考えなくてはならないところもある。災害が相次ぎますから、耐震工事も不可欠だ。

教会共同体の運営に関わってくださる多くの方々は、本当に毎日、心配の種が尽きないことだと思います。そしてそのような配慮と取り組みは、この世界に現実の組織として存在する限り、不可欠であり重要です。感謝です。

でも同時に、教会は、様々な方向を向いていなくてはならないのも事実であり、常に与えられた使命を最優先に果たしていく努力も忘れることはできません。

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教皇フランシスコの、「福音の喜び」にある有名な言葉です。

「自分にとって快適な場所から出ていって、福音の光を必要としている隅に追いやられたすべての人に、それを届ける勇気を持つよう招かれている」(EG20)

物理的に今いる場所が快適かどうかと言うよりも、何も変化させずに今あるままでいることが、一番安心できる、という意味で、「快適な場所」です。

今の教会は、少なくともエネルギーに満ちあふれていると感じています。でもそのエネルギーが、ちょっと後ろ向きの積極性に使われすぎでしまっているのではないか。

前向きの積極性に使うエネルギーも大切です。様々な方向に向かって歩み出す、積極的なエネルギーも必要です。決して忘れてはならないことは、私たちにはいの一番に考えなければならない使命があること。それはイエスの福音をなんとしてでも一人でも多くの人に伝えること。言葉と行いであかしをすること。そこへと踏み出す勇気が必要です。

教会共同体は、快適にそこに留まるためにエネルギーをため込むのではなく、ともに祈りミサにあずかることで、聖霊のエネルギーを頂き、それを充填し、勇気を持って外へと送り出すためにエネルギーを発生させる。そんな存在であったらばと思います。

教会が、福音をあかしするための、エネルギー発電所になりますように。

八王子教会で堅信式、そして新潟へ

 先週の日曜日、2月24日は、八王子教会を訪問し、10時からの主日ミサの中で、五名の方が堅信の秘跡を受けられました。Hachiouji1906

堅信の秘跡を受けられた皆さん、おめでとうございます。ミサ後には、受堅者を囲んで、お隣の幼稚園ホールをおかりして、祝賀会もありました。

 八王子教会の主任は東京教区の辻神父様。助任が、4月の人事異動で秋津教会の主任へ転任することが決まっている野口神父様です。教区の神学生の小田君も、現在八王子教会に滞在中です。八王子教会には力強い侍者団がおられ、この日のミサは香炉もつかって大変荘厳な雰囲気でありました。

 八王子の町へ足を踏み入れたのは、たぶん40年ほどぶりかと思います。中学生の頃に一度、八王子教会を訪れたと記憶しています。その当時の教会周囲を記憶しているわけではないのですが、今回は、教会の周囲に高層マンションが建ち並び、また新しいマンションの工事も進んでるのを目の当たりにしました。なにか、教会がマンションの谷間にあるような、そんな町になっていました。

 聖堂は一杯でしたし、聖歌もすばらしく、教会共同体全体にみなぎっている活発なエネルギーを感じさせられました。

 さてそんな八王子教会訪問をおえ、先週は司祭の月例集会やカリタスジャパンの会議などを経て、金曜日の夜には新潟へ移動。

Niigatala0308 3月2日の土曜日は、この季節の新潟にしてはまずめずらしい快晴に恵まれたなか、新潟地区の信徒使徒職協議会総会が開催され、出席してきました。

 第二バチカン公会議直後に、盛んに言われた信徒使徒職ですが、その頃から新潟教区には、各地区に信徒使徒職協議会が設置され、信徒が主導する様々な活動が行われてきました。

 私が2004年に新潟に赴任してからは、教区全体の信徒と修道者、司祭の代表で様々な意見を交換する教区宣教司牧評議会を立ち上げましたが、これまでの経緯もあり、各地区での信徒使徒職協議会は、信徒をとりまとめる場として機能し続けています。

 新潟地区は、新潟、佐渡、青山、寺尾、花園、鳥屋野、亀田、白根で構成されています。合併で新潟市になった新津は、以前の経緯もあり今の時点では隣の新発田地区に属しています。

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これらの教会から、司祭団と信徒の代表が集まり、参加者は七〇名ほどでしたでしょうか。私が「あらためて福音宣教について考える」というテーマで一時間お話をさせて頂き、その後1時間でグループの分かち合い。皆で一緒にお弁当の昼食を頂いて、午後一時半から派遣ミサで終了となりました。

 小さいけれども、コンスタントに活動を続けている教区です。この十年ほど、全体的な人口は減少していますが、成人洗礼の数はほぼ変わっていません。もちろん少子化の影響もあり、幼児洗礼は減っているのは事実ですが、まだまだ教会にはできることがたくさんあります。いま必要なのは、新しい牧者でしょう。司教の誕生を待っている教区です。

 一日もはやく、教皇様が新潟のために新しい司教を任命してくださるように祈っていますし、皆様にもお祈りをお願いします。

 よく、前任者である私が後継者を指名するとか、いろいろな噂があるようですが、残念ながら、前任者が後任選びに関わる余地はそれほどありません。

 実際の新しい司教の任命は、その国を担当する教皇大使が中心になって候補者を選び、いろいろな人の意見を聴取しての調査をおこない、それに基づいて教皇庁の福音宣教省の枢機卿委員会議で選任が進められ、最終的に福音宣教省長官がこの委員会議の結果を教皇様のところに持って行き、教皇様が最終決定をされます。

 時間がかかるのは、その最初の候補者選びと調査です。手続きが早く進み、ふさわしい司教が選任されるように、聖霊の導きをどうぞお祈りください。

(菊地功=きくち・いさお=東京大司教、新潟司教兼務)

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2019年3月3日