・菊地大司教の日記 ⑩⑪3月の予定・東京教区司祭月修・定例司教総会

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2018年3月 1日 (木)

 三月です。春はまだか。

  何十年ぶりかで、首都高速を運転しました。これまで長年、車で東京に乗り込むのは避けてきたのです。最後に首都高を運転したのは40年近く前の大学生時代だったと思います。最新のナビのおかげで、右に左に分岐する首都高も、なんとか迷わず走ることができました。

 で、出かけた先は、調布。カルメル会の修道院で、シスター方と一緒にミサを捧げて参りました。着座してから、初めての女子修道院訪問でした。

シスター方にお祝いの言葉をいただいて、それで思い出したくらいに忘れていましたが、今日、3月1日は、わたしの終生誓願の記念日。名古屋の神言会で1985年でしたから、33年目です。シスター方のおかげで、自分がまず第一に修道者であることを、あらためて心に刻むことができました。感謝。

この数日、シリアの混乱の悪化の状況がしばしば報道されています。先ほどカリタス・シリアのFacebookにも、平和のための祈りの呼びかけが記されていました。政治には政治の正当化する理由があるのでしょうが、しかし私たちは、人間のいのちの尊厳を繰り返し、繰り返し、宣言するしか道はありません。神は、私たちのいのちを自らの似姿として、良い存在として、尊厳を持って創造されました。日本に生きていようが、ヨーロッパに生きていようが、シリアに生きていようが、人は命を生きる場を自分で選ぶことはできません。どこにあっても、いのちの尊厳は護られなくてはなりません。いのちは、その始まりから終わりまで、すべての時にあって、護られなければなりません。シリアの平和のために祈ります。

教皇様は先日来、シリアを始め、コンゴや南スーダンでの平和への祈りを呼びかけておられます。特別なときだけではなく、繰り返し、繰り返し、平和のための祈りを心がけたいと思います。

3月になりましたので、今月の主な予定を記しておきます。

  • 3月1日 カルメル会修道院ミサ (調布)

  • 3月5日 カリタスジャパン会議 (潮見)

  • 3月6日 カリタスジャパン会議 (潮見)

  • 3月8日 常任司教委員会・社会司教委員会 (潮見)

  • 3月10日 聖心女子大学卒業式 (東京)

  • 3月11日 関口教会10時ミサ、東北震災復興祈祷会13時半 (上智大学)、一粒会総会15時 (関口)

  • 3月12日 司祭評議会、責任役員会 (東京)

  • 3月13日 カトリック新聞会議 (潮見)

  • 3月14日~16日 カリタスアジア理事会 (潮見、南相馬)

  • 3月17日 宣教司牧評議会 (東京)

  • 3月18日 秋津教会ミサ、多摩全生園ミサ (東京)

  • 3月20日 経済問題評議会 (東京)

  • 3月23日 HIV/AIDSデスク会議 (潮見)、ペトロの家運営委員会 (東京)

  • 3月25日 受難の主日 (田園調布教会)

  • 3月27日 司祭代表会議 (新潟)

  • 3月28日 聖香油ミサ 10時 (新潟教会)

  • 3月29日 聖香油ミサ (関口教会)、聖木曜日ミサ 19時 (関口教会)

  • 3月30日 聖金曜日 19時 (関口教会)

  • 3月31日 復活徹夜祭 19時 (関口教会)

2018年2月26日 (月)司祭の月修@東京教区

  今日は東京教区の司祭の月修でした。東京教区で働く司祭が対象で,もちろん教区司祭も修道会司祭も宣教会司祭も含まれます。全員が参加するわけではありませんが、それでも今日は50人近い司祭が集まってくださいました。

 新潟教区ではだいたい月の初めの月曜の夕食に集まって一晩泊まり、翌朝ミサと昼食で終わりというパターンでした。最も全員が泊まれるほどのスペースは教区本部にありませんし、地理的条件から教区全部の司祭が集まることも不可能です。ですからいきおい、新潟県内で働く司祭が中心になり、市内の司祭は泊まらずに帰るというパターンでありました。それでも,ほぼ毎月、泊まりがけで集まっていろいろと話をする機会があったことは、少ない人数ながら司祭団の結束を強めてくれていた気がします。

 東京教区では、新潟に比べると比較できないほど多くの司祭が働いています。さすがに毎月皆が泊まりがけは不可能です。東京教区では,基本的に月の最後の月曜日に、10時半からカテドラルで昼の祈りを唱え、その後ケルンホールで研修。そして12時半頃から昼食を一緒にとって解散となります。教区司祭だけではなく、修道会の司祭も、多く集まってくださっています。

 本日の研修は,私が話をする番でした。東京の大司教として着座して2ヶ月ほどがたちましたが、そもそもこの教区で働いていたことがないので、私がどんな人物なのかをよく知らない方が多い。そこで、今回は私が32年前に神言会の司祭に叙階してから今に至るまで、どのような道を歩んだのか、そして今の司祭としての自分のあり方に対して大きな影響を受けた出来事について、1時間ほどお話をさせていただきました。

 もちろんいろいろな経験をしながら32年という時間を刻んできましたが、その中から、特に三つの体験を分かち合いました。

 ひとつは、叙階してすぐに派遣されたアフリカのガーナでの司牧体験。わたしはそこで、様々な困難に直面したけれど、人間結局はなんとかなるという、非常に楽天的な視点を持って生きることを学びました。

 二つ目は、カリタスジャパンから派遣されたルワンダ難民キャンプでの体験。それには二つあり、私たちが働いていたキャンプが武装集団に襲撃され、2時間を超える銃撃戦に巻き込まれ、収容されていた難民の方々から30名以上が殺害されるという体験の中で、いかに自分が命の危機に直面しておろおろする頼りない存在であるのかを悟ったこと。そして洗礼を受けた信仰者があれほど多かった宣教が成功したと言われた国で、歴史に残る虐殺が起きたという事実に直面したとき、信仰が本来持っているはずのいのちに対する尊厳をしっかりと一人一人の心に刻むことこそが、本当の福音宣教の使命ではないかと感じたこと。

 三つ目は、同じルワンダ難民キャンプから始まり、その後、東北の震災の復興現場に至るまで、訪れた様々な紛争の地、災害の地で、困難に直面する多くの人から、「私たちは、世界から忘れ去られた」という言葉を聞かされたこと。その言葉が聞かれないような現実を作り出していくのが、キリスト者の使命の一つではないかと感じたこと。

 そんなあたりをお話しさせていただきました。話をする機会を与えてくださった月修の担当者の司祭団に感謝します。

この週末、土曜日の午後に、朝祷会全国連合の会長さんが、日本エキュメニカル協会の担当者と、関東ブロックの代表の牧師先生と一緒に、訪問してくださいました。ちなみに現在の会長さんはカトリックの方です。

 朝祷会は、1957年頃に大阪から始まった超教派の祈りの集いで、朝早くに集まることから朝祷会と名付けられました。現在休会中の会もありますが、全国で登録されている会は200を超えており、中にはカトリック教会を会場にしている朝祷会も多くあります。

 わたし自身は、まだ神学生で名古屋にいた頃、名古屋の朝祷会で歌を歌いに来いと、カトリックの信徒のリーダーの方から何回か呼び出されて参加したことがありましたし、新潟では近くの日本基督教団の教会を会場に、盛んに行われており、何度かお邪魔したり、お話をさせていただいたこともありました。

 数年前には、定期的に行っている全国大会が新潟の新発田市にある敬和大学を会場に行われたこともあり、ご挨拶にうかがったこともありました。

 その全国大会が、来年は東京で行われるのだとうかがいました。そのお話で、皆さんおいでくださいました。わたし自身が、そのときにちょうどローマでの会議と重なるようなので申し訳ないのですが、できる限り応援したいと思います。

 それぞれの教派の伝統を大切にしつつも、同じ神を、同じキリストを信じているのですから、協力しながら、一緒に福音を広めていくことができればと思います。

2018年2月23日 (金)定例司教総会開催

  2018年度の定例司教総会が、2月19日月曜午後から22日木曜午後まで、江東区潮見の日本カトリック会館で開催されました。今回の司教総会には、先日叙階したばかりの那覇教区のウェイン・バーント司教も参加。空位の新潟は管理者の私が、また同じく空位のさいたまは管理者の岡田名誉大司教が代表して参加しました。

 司教協議会は、会計年度を1月から12月に変更しており、そのため以前は6月に定例司教総会を開催し、2月に臨時総会を開催していましたが、現在は2月が定例、7月が臨時と変更されています。

 今回の司教総会では、東北における全国のカトリック教会による復興支援活動の報告や、新福音化委員会が中心になって取り組んでいる福音宣教への取り組みの報告、また福者ペトロ岐部と187福者殉教者の列福10周年に当たって、さらに列聖運動を推進することなどが話し合われました。

 また議決事項では、すでに中央協議会のホームページにも掲載されていますが、日本カトリック神学院の2キャンパス制から、二つの諸教区共立神学校制への以降が決定されました。

 これは、司教団の発表文書をお読みいただきたいのですが(リンクはこちら)、かつて福岡にあったサンスルピス大神学院と東京カトリック神学院が、2009年4月に一つの神学院となり、東京と福岡にキャンパスを持つ日本カトリック神学院として再出発をしていました。ところが、様々な事由から、二つのキャンパスに分けることに伴う司祭養成と組織運営の弊害が散見されるようになり、2014年4月頃から、キャンパスを一つにする可能性の模索が始まっていました。

 その話し合いの中で、最終的には九州の司教様たちが福岡での独自の神学院がやはり必要だと判断され、司教団全員での度重なる話し合いの結果、このたび福岡と東京に、それぞれ別個の大神学院を設置することで合意したものです。

 東京では、東京教会管区(札幌、仙台、さいたま、新潟、東京、横浜)と、大阪教会管区(名古屋、京都、大阪、高松、広島)が運営に参加し、福岡は長崎教会管区(福岡、長崎、大分、鹿児島、那覇)が運営に参加することになりました。今後詳細を詰め、聖座(バチカン)の許可を受けた上で、できるだけ早い時期に新しい制度が始まります。

 なおこれ以外には、その内容が決まりつつある来年の天皇退位と即位に際しての政教分離の要望書を採択し、カトリック新聞のこれからについてインターネットを通じた発信の重点化を軸とした将来ビジョンチームの提案を承認し、昨年度の中央協議会の収支決算書を承認しました。

 また司教総会中の一日、勉強会を企画し、午前中はイエズス会の川村信三師による、「幕末・明治初期の信仰と教会」の講演をいただきました。信徒発見から浦上四番崩れに至る歴史を振り返りながら、現代の福音宣教への様々な示唆をいただきました。

 その午後には、ヤフー株式会社の執行役員である志立正嗣氏においでいただき、「ITを通じた福音宣教」について非常に興味深いお話をいただきました。志立氏は、信徒の方です。

 →「カトリック・あい」もITを通じた福音宣教です。お忘れなく!(「カトリック・あい」)

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