・「他宗派、他宗教への理解を通して信仰を深めた」東京・小金井カトリック教会有志巡礼

 

 東京・小金井カトリック教会では、信徒有志主催で1999年からほぼ毎年、都内を中心に長崎、山口に至る巡礼を続けていますが、今年は「他宗派、他宗教への理解を通して信仰を深める」をテーマに、5月4日に、教会管理者の加藤豊神父以下50名参加で都内巡礼を行いました。(写真左はカテドラルで菊地大司教から祝福をいただく巡礼団、右は日本基督教団・銀座教会で高橋牧師のお話を聞く巡礼団)

 この日は、朝8時半に小金井教会に集合、巡礼を始める祈りと聖歌を捧げ、小型バス二台に分乗して、まず、関口のカテドラル聖マリア大聖堂を目指しました。大聖堂では昨年12月に就任された菊地功・大司教から祝福と激励をいただき、続いて、東京教区の初代司教座聖堂となったカトリック築地教会に向かい、レオ・シューマカ主任司祭のお出迎えをいただき、加藤司祭、関口教会のルイス叙任司祭と共同司式によるミサのあと、同教会の歴史や、築地近隣のマンション・ブームや外国人観光客の増加によるミサ参加者の増加が続く現状、それに対応した改築計画などについてご説明いただきました。

 次に、浄土真宗本願寺派の築地本願寺に向かい、構内で昼食の後、本堂の最前列に用意していただいた席で、僧侶の方から同寺の歴史、浄土真宗本願寺派の教えの基本などについてお話をお聞きしました。最後の訪問先、日本基督教団の銀座教会では、高橋潤・主任司祭のお迎えをいただき、3階の主聖堂で、教会の歴史とご本人の東京下町の牧師の子としての生い立ちから現代にいたるまで、カトリック司祭やシスターとの交流も交えての心のこもったお話し、さらに将来に向けた教会一致への強い希望に、多くの参加者が共感と感動をいただきました。

 カトリック教会による他宗教、キリスト教他宗派との対話は、第二バチカン公会議を受けて、歴代の教皇が半世紀にわたって積極的に取り組まれ、現在の教皇フランシスコのもとでさらに活発になっています。日本のカトリック教会も、昨秋、天理教、真言宗、曹洞宗、カトリックの4宗派の講師によるシンポジウム「若者と宗教」を主催するなど前向きに取り組んでおり、小金井教会も地域のプロテスタント各派の教会と交流をしています。

 そのような動きを背景にした今回の巡礼は、5年前の神田カトリック教会と東京ジャーミィ・イスラム寺院、日本正教会・東京復活大聖堂(ニコライ堂)に続く「他宗派、他宗教への理解を通して信仰を深める」巡礼でした。菊地大司教をはじめ、訪問する先々で、心のこもった歓迎を受け、それぞれのお話をお聞きし、祈る中で、私たち人類を、この宇宙を創られた存在の下で、宗派、宗教の壁を超えて、信仰は一致できるし、そうあらねばならない、そのために、私たち一人ひとりは与えられた場で、努力を続ける必要がある、という思いを改めて強くしました。

(「カトリック・あい」南條俊二=小金井カトリック教会信徒)

初代カテドラル築地教会、築地本願寺、そして銀座教会―生き方を模索する機会になった

 5月4日、小金井カトリック教会信徒有志による巡礼が「他宗派、他宗教への理解を通して信仰を深める」をテーマに実施された。同テーマによる都内巡礼は、2013年5月に続くもので、今回は、東京教区の初代カテドラル、カトリック築地教会、仏教・浄土真宗の築地本願寺、日本基督教団銀座教会を巡った。

*カテドラルで菊地大司教から祝福・・「他宗教理解を通して、神の求める生き方を知ろう」

 爽やかな五月晴れに恵まれ、加藤豊神父様も同行してくださり、総勢50名が二台のバスで、東京カテドラル聖マリア大聖堂に向かった。聖堂内でお迎えくださった菊地功大司教様に祝福をいただき、「他宗教も目指すところは同じです。他宗教を理解することによって、神が求める生き方を知ることができるのではないでしょうか。自らの信仰を見つめながら人間としての生き方を模索できればよいでしょう」というお話を心にとめて、最初の巡礼地カトリック築地教会を訪れた。

*カトリック築地教会・・禁教下での先人の想いに触れる

 カトリック築地教会で主任司祭レオ・シューマカ神父様の司式でミサが捧げられた。第一朗読の使徒言行録の初代教会について話された神父様は、同じようにこの築地の居留地も、教会の建物が建つ前に数人の共同体=教会があり、宣教が始まったと話された。

 1871年、まだキリシタン禁教の高札が掲げられる中、パリ外国宣教会の二人の神父が築地居留地に派遣され、その後サン・モール会(現幼きイエス会)のシスターと共に宣教活動が始まった。身の危険を顧みず福音宣教のために働いた先人の熱い想いに触れることができた。1878年、レンガ造りのゴシック風聖堂が献堂され、1920年関口教会に移されるまで司教座が置かれた。その聖堂も1923年の関東大震災で崩れ、1927年に現在のギリシャ建築パルテノン風木造モルタルの聖堂が献堂された。

*築地本願寺・・すべてを任せ、信じる―私たちの信仰に通じるものを‥

 他宗教を理解することは、まず知ることから始まる。築地本願寺構内で昼食後、僧侶のお話が始まる待ち時間に、思いもかけず加藤神父様から浄土真宗についてお話があった。「本願」とは人々を救い、幸せにしたいという阿弥陀仏の願いである。信心も阿弥陀仏から授かったもので、すべてをお任せする。その阿弥陀仏に感謝するのが「報恩」である。具体的にわかりやすく説明してくださった。

 本堂での僧侶のお話は、一同「合掌」「礼拝(らいはい)」してから始まった。本尊阿弥陀如来(阿弥陀仏)が立像なのはいつでも救いに行く姿である。「南無阿弥陀仏」と唱えるとき、阿弥陀仏も共に唱えてくださり、「信じる」心も阿弥陀仏が育ててくださる。阿弥陀仏が救ってくださることを信じ、「ありがとうございます。おまかせします」「南無阿弥陀仏」と唱える。神様の救いを信じ、すべてを神様に委ねる私たちキリスト者の信仰に通じるものを感じた。

*日本基督教団銀座教会・・教会活動のあり方は―課題を共有

 プランタン銀座の近くにある日本基督教団銀座教会は1890年に創立された。元はメソジスト派で、第二次世界大戦中、宗教団体法によって日本基督教団に統合された。主日の礼拝の他、毎日正午礼拝があり、創立以来開校された福音英語学校やギャラリーなど銀座という地の利を生かして、人々に開かれている教会の印象を受けた。それでも「この地でどのように伝道したらよいか、この建物をどのように用いたら神様の働きになるかが課題だ」と高橋潤牧師は話された。牧師は江戸川区の伝道所で育ち、カトリックとの接点も多い。友愛奉仕団としてカトリックの神父・シスターや信徒たちと共に生活能力の低い人々、残留孤児や在日韓国人のために活動した。主日の礼拝には300~350人集まるが、30~40代が少ないので対策を考えていることを伺った。人口の30~40代が一番多い小金井市の小金井教会も何か良い対策はないだろうか。

 巡礼を終えて小金井教会に戻り、皆気持ちを一つにして「神に向かって喜び歌い、感謝の歌を捧げよう」と歌って神様に感謝した。大司教様が話された「巡礼を通して、自らの信仰を見つめながら人間としての生き方を模索する」の言葉を胸にそれぞれ家路についた。

(小金井カトリック教会信徒・下村はるみ)

 

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2018年5月5日