Sr 阿部のバンコク通信 ⑫タイのカトリックのAIDS問題対策

  タイ語を学んでいる頃、学校でイタリアの女性に会いました。毎年休暇を貯めてエイズ患者のお世話に来て、タイ語も学んでいるとか。ソーニャさんを通しエイズに苦しむ人々との関わりが始まりました

 当時は薬も高価、入手も至難の技。カミリアン病院修道会は『命を賭しても』と決断し、蔓延するエイズと取組み始めました。ソーニャさんに連れて行かれた駆け込み宿で、特に子供達を救うために命懸けで奮闘しているジョバンニ神父に会いました。インドから大量に薬を手に入れて務所入りした話、薬さえ手に入れば保菌状態で命を保てるとか、顔立ちの整った子供達の人身売買や売春が原因でファヤオ県のAIDS感染死亡率は高いとか、私はおかげでHIV-AIDSの問題に直に触れ、今に至る関わりを続けています。

 その後、日本のカトリック中央協議会にHIV-AIDS 問題対策窓口を設けるため、スタディーツアー企画を依頼され、一般、仏教界、教会内外の取組みを案内、時宜を得たお世話が出来ました。『カミリアン病院の前をいつも拝んで通る』とある日本人、相棒がAIDSに感染、どの病院からも断られた時、受入親身に世話してくれたとのこと。

時に神学生やボランティアのお伴をしてAIDS ホスピスを訪問。殆どが患者、ストレッチャーで運び込まれ患者が元気になって介護、ホテルのシェフが食堂で腕を振るい、美味しいご馳走作り、活き活きと明るい大家族なのです。
タイのカトリックのAIDS問題対策は、予防に始まり、正しい認識、介護、患者の快復復帰に至るまで、隔離遮断せず、温かい見守りの中で『慈愛の免疫力』を高めながら行われています。

(阿部羊子=あべ・ようこ=バンコク在住、聖パウロ女子修道会会員)

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2017年8月29日 | カテゴリー :