先日の5月15日は東ティモール独立15周年記念日でした。
私はその日、東京・四ツ谷で開催されていた「東ティモールフェスタ2017」で、東ティモール留学生やティモールで活動するNGOの人々と一緒に、ティモールのダンス「テベテベ」を踊っていました。手をつなぎ輪になってまわる、とてもシンプルで明るいダンスです。楽しく踊り続けながら、ティモールの学生たちや長年ティモールと関わってきた人たちの笑顔を眺めていると、じわりと何か特別な思いがこみ上げてきました。
「こうして楽しく踊れるってことは、実は、あたりまえのことじゃなかった。15年前の主権回復のさらに3年前までは、インドネシア支配下に置かれていたティモールでも、たとえ日本であっても、こんな風に、公の場でティモールの踊りを、堂々と楽しく踊れるなんて、あり得なかった」ということ。
1999年、まだ東ティモールが騒然としていた頃、現地で出会ったひとりの日本人神父が私に言いました。「ここでは今何もできないが、とにかくここにいることに意味がある。私たち外国人がここにいるだけで、暴力や略奪の抑止力になるから。たくさんの外国人の眼があることが大事なんだ!」
なるほど、ただここに存在しているというだけでも何かの役に立つこともあるんだな、と教えられました。しかしその後、独立か否かを問う住民投票の前後、東ティモール全土では併合派の民兵たちによってほとんどの建物が焼かれ、大勢の人びとが殺され、大混乱となりました。
主権回復の直ぐ後には、私たちが保健教育を行ってきたティモール島の北部のコムという地域で、コミュニティヘルスワーカー(村の保健ボランティア)の研修修了式があり、参加しました。修了式の後は地元の人々と賑やかなパーティーだったのですが、参加してびっくりしました。ほとんど休むことなく、明け方までひたすら一緒に踊るのです。海岸線にある集落だったので、私も砂浜で時々仮眠をとりながら、朝までおつきあいさせてもらいました。
このパワーはどこから来るのか・・・。くたくたになりながら考えました。
やはり、それまで24年間にわたるインドネシアの支配のもとで、傷つけられ苦しめられてきた経験、多くの人たちが森の中に隠れ、怯えながら不安の中で暮らしてきた、という背景があるのだと感じました。みんなで大地を踏みしめる伝統的なダンス「テベテベ」に、ひときわ大きく深い意味合いが、自由を取り戻しあふれ出る喜びが表現されているのだと思いました。
そこにいること、ともに手をつなぎ踊っていること・・・。ただそれだけのことが、そこで交わる人とほんのわずかでも苦しみや喜びを分かち合う時間につながっているのだと感じることができました。
(JLMM 漆原比呂志 2017年5月25日)
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