三輪先生の国際関係論 ㉓トランプと教皇フランシスコ 

 売名だけが目的で選挙戦に出る人物はこの日本にもいる。目的がそれだから、間違って当選してしまうと当惑してしまう。そんな公職で人生の大事な時間を浪費するなどもっての外であった。

 トランプ・アメリカ大統領がそれだった。 アメリカの週刊誌『 タイム』が今月22日号を、この一年を総括する特集号としている。報道写真がまともな大統領たりえなかったトランプを雄弁につづっている。微笑んでいる写真もむろんあるが、と断りつつ、ヴァチカン訪問の写真は歯をむき出して微笑んでいるトランプの隣で、教皇フラシスコは苦虫を潰したような苦渋に満ちた表情をしてカメラに収まっている。

 教皇のお気持ちを忖度するとどうなるだろう。世界一の権力の座にある者への期待は大きい。その期待が半分でも報われたらと祈るばかりである。(2018年1月17日記)

(三輪公忠=みわ・きみただ=上智大学名誉教授、元上智大学国際関係研究所長)

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