・Sr.阿倍のバンコク通信㉛福音は全ての人々への神からの贈り物、を実感

 タイは仏教を厚く信奉する国、仏教国という意識を強く持って、私は派遣され、カトリック国フイリピンの姉妹たちと共にフィリピン管区下で25年前宣教の歩みを始めました。

 私は神道・仏教の風習の中で育ったので、ごく自然に溶け込めましたが、カトリック教会の庇護の下に育った姉妹たちは「仏教文化を尊敬し改宗を強いないように」と警告され、宣教研修を受けたものの、生活習慣にまで浸透しているわけではなく、「では何のために来たのか」と自問自答し、苦しんでいました。

  まずは、自分が福音の喜びを深く体験し、宣べ伝えずにはいられない気持ちを募らせ、聖霊の導きに委ね、謙虚にこの地の人々の文明と信仰に敬意を尽くして、学びました。福音を喜んで受け入れられる道を探しながら福音の種を撒き、養分を注ぎ込む日々。福音は全ての人々への神からの賜物、その確信を胸に励んだ、学ぶことの方が多い25年でした。

 タイに来て間もない頃、ある食堂に入ってびっくり。大きな聖家族像がどっかりと奥の中央に飾ってあったのです。それぞれが信仰を公表して生き、生活の場、職業や商売のただ中に、信奉する信仰を表明している事実に出会ったのです。

 仏教、イスラム教、ヒンズー教、儒教…、お互いの信条を尊敬し合い、胸にかざして誇りを持って生きているのです。家庭も商売も、ご保護の下に守られている社会なのだ、と感じました。タイ人の元来の気質と、タイ仏教の受容と寛容の精神に生かされた文明… 誰もが居心地の良い、歓迎された気分を感じるのでしょう。文化の中に芽生えている福音です。

 先日、夕食に招かれたマンションの入り口に、素敵なマリア様が! 名前も 聖三位の名を頂いてTrinity Complex。何とも言えない、うれしい気持ちで友人宅を訪れました。

(阿部羊子=あべ・ようこ=バンコク在住、聖パウロ女子修道会会員)

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2019年4月2日