・日本の若者自殺深刻 -2018年の未成年自殺死亡率最悪

(2019.7.16 カトリック・あい)
政府は16日の閣議で2019年版「自殺対策白書」を決定した。2018年の全世代の自殺者総数は、前年より481人少ない2万840人で、9年連続の減少。人口10万人当たりの自殺者数を示す「自殺死亡率」も減少している。だが、19歳以下の自殺者は前年比32人増の599人に上り、自殺死亡率は統計を取り始めた1978年以降で最悪の人口10万人当たり2.8を記録した。

 白書は「我が国における若い世代の自殺は深刻な状況にあり、15~39歳の各年代の死因の第1位は自殺。こうした状況は国際的にみても深刻であり、15~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは先進7カ国では日本のみで、その死亡率も他の国に比べて高い」「若者の状況を把握するとともに、対策の効果検証を行い、見直していくことが必要」と指摘。白書を決定した16日の閣議の後の記者会見で、根本匠厚生労働相は「関係省庁と連携しながら、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し、取り組みを進める」と述べた。

 10代の自殺で特定できた原因・動機のうち最も多かったのは「学校問題」。10~19歳の自殺者のうち遺書などから特定できた原因・動機を1人につき3つまで計上した結果、延べ568人中、学校に関する問題が188人(33%)と最多を占め、健康問題の119人(21%)、家庭問題の116人(20%)が続いた。

 学校問題の内訳をみると、学業不振の57人が最も多く、進路の悩み(46人)、学友との不和(27人)の順番だった。

 小学生は男子・女子ともに家庭問題に起因する理由が多かったが、中学生以上になると、男子は学業不振が最多を占めた。女子は中学生では「親子関係の不和」が多かったが、高校生以上になると、うつ病が最多となった。

 厚労省は、主に若者を対象にした自殺対策としてSNS(交流サイト)の相談事業を実施。18年度の相談件数は延べ2万2725件で、相談者は19 歳以下の未成年が最も多く、20 代、30代と続いた。相談内容は「メンタル不調」「自殺念慮」「家族」などが多かった。

 

 

 

 

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2019年7月16日