・パキスタンで、「コーランを冒涜した」とする人々が暴徒化、キリスト教徒居住地区の教会、住宅を襲撃

(2023.8.17 Crux  Senior Correspondent    Elise Ann Allen)

Assaults on Christians over blasphemy charge latest twist in Pakistan’s religious tensionsローマ発 –パキスタン北東部,パンジャーブ州ファイサラーバードで16日朝、イスラム教の聖典コーランをキリスト教徒に侮辱されたとして、イスラム教徒による暴動が発生。キリスト教徒が多く住むジャランワラ地区のカトリックやプロテスタントの教会や民家が放火、破壊される事態となった。

 きっかけは、ジャランワラ地区でコーランから破り取られたページが見つかり、そこにイスラム教を冒涜するような言葉が書かれていた、というもの。そのページを渡された現地のイスラム教指導者が、犯人の逮捕と、報復を呼び掛け、暴徒化した人々が、”犯人”の若者の家を始め、周辺のキリスト教の教会や民家に放火、破壊した。

 暴徒は数百人に膨れ上がり、警察だけでは対応できず、軍隊が出動し、数十人を逮捕したと伝えられている。ただ、その一方で、SNSでは、出動した警察官が人々の破壊行為を見ているだけで、取り締まろうとしていない動画も流されている。

 現地の教会のある司祭は、ジャランワラ地区にはカトリック、プロテスタント合わせて17のキリスト教会があるが、そのほとんどが攻撃されたと思う、と述べ、カラチの国立カトリック神学研究所でのグルシャン・バルカット神父は、AP通信に対し、「コーランを冒涜した、というのは冤罪です。暴動は、その地域のモスクに責任がある」と語った。

 神父は当日、モスクの塔のスピーカーから、イスラム教徒たちに「キリスト教徒の教会と住宅地を攻撃する」よう呼び掛けがなされた、と言い、住民の一人も、「暴動を扇動するような呼び掛けがあり、それを聞いて、多くの人々がジャランワラ地区に押し掛けるのを見た」としている。

 この事件に対して、パキスタン内外から強い批判の声が出ており、アンワルル・ハク・カカール暫定首相がツイッターで強い遺憾の意を表明、「法律に違反し、少数派をターゲットにした者に対しては厳しい措置を取る」と言明。 シェバズ・シャリフ元首相も「いかなる宗教にも、暴力が許される余地はない」と強調した。

 パキスタンでは「冒涜」を厳しく罰せする「冒涜法」がある。それによれば、イスラム教またはイスラム教の著名な宗教家を侮辱したとして有罪判決を受けた者は、投獄され、場合によっては死刑を宣告される可能性がある。まだ冒涜罪で死刑になった例はないが、数名のキリスト教徒が「虚偽」と主張する告発を受け、何年も刑務所に入れられている。

 その中で良く知られているのは、キリスト教徒と同じ水差しから水を飲むのを拒否した農場労働者を批判して口論となり、冒涜罪で訴えられた女性の事件だ。彼女はいったん死刑を宣告されたが、彼女の無罪を支持する政府高官2人が殺害される事件などがあり、10年後の2019年に無罪が確定。だが、殺害予告を受けるなど嫌がらせが続き、家族と共に国外に脱出を余儀なくされた。

 実際に冒涜罪を根拠に、裁判以前に、殺害されたり暴動が起きたりする事件も起きている。

 最悪の悲劇は2009年。パンジャブ州ゴジュラ地区で、イスラム教を侮辱したとしてキリスト教徒が告発されたのをきっかけに、暴徒化したイスラム教徒がキリスト教徒6人を殺害、住宅60戸を焼き討ちにした。2021年には、イスラム教徒の暴徒がシアールコート地区の運動具工場を襲撃し、冒涜の疑いをかけられたスリランカ人男性を殺害、遺体を焼くという残虐行為に出た。今年に入っても、2月にナンカナの郊外で暴徒が男性をコーランを冒涜したとして、リンチにかけられた。今月初めには、南部バローチスターン州 トゥルバットで、冒涜罪で訴えられた教師が講義中に殺害されている。

 少数派の権利擁護を進めている「社会正義センター」によると、1987年以来、パキスタンでは2000人以上が冒涜罪で告発され、告発が原因で少なくとも88人が殺害されたという。

 人権担当大臣を務めた著名な政治家シリーン・マザリ氏は16日のキリスト教徒の教会や住宅の襲撃は「全く恥ずべきこと。非難に値する」と述べた。パキスタンのプロテスタント指導者は「私たちキリスト教徒は、ファイサラーバードで起きた事件に深く心を痛めています。 抗議のメッセージを発している間にも、教会が放火されている。聖書は冒涜され、キリスト教徒はコーラン違反の濡れ衣を着せられ、拷問や嫌がらせを受けています」と訴え、「私たちはキリスト教共同体として、司法、警察当局が全国民の安全と自由を確保するために速やかに介入し、命を守るよう、強く求めます」と訴えている

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

2023年8月18日

・ロヒンギャ難民乗せたボートが転覆、死者・行方不明約50人

Rohingya people in Myanmar (Reuters) 

(2023.8.11 Vatican News  By Edoardo Garibaldis)

 ミャンマーからのロヒンギャ難民たちを輸送していたボートがベンガル湾で転覆し、17人が死亡、約30人が行方不明となっている。 民間の難民支援団体、Shwe Yaung Metta Foundationが10日明らかににしたもので、ボートは前週末、ミャンマー西部ラカイン州にあるブティダウンから約55人を乗せて出発し、同州の州都シットウェの沖で遭難したとみられるが、その日時や転覆の原因は不明。

 同団体によると、遭難が明らかになった7日から9日にかけてシットウェの海岸沿いで行方不明の捜索を行利、女性10人を含む17人の遺体が見つかった。生存者が8人いたが、ミャンマー治安部隊に連行されたという。

 もともとミャンマーに住んでいたイスラム教少数派のロヒンギャの人々は、ミャンマー軍が、反政府勢力の掃討作戦を開始した2017年8月以来、迫害され続け、70万人以上が故郷を追われている。国境を越えてバングラデシュの難民キャンプに収容されたり、他国に避難したりする人もいるが、国境のミャンマー側のキャンプにも約10万人が劣悪な環境の中で生活を強いられている。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が今年1月発表したところでは、2022年1年間で前年の5倍、3500人以上のロヒンギャの人々が39隻の船でがアンダマン海とベンガル湾を渡り、イスラム教徒が多数を占めるマレーシアやインドネシアへの向かおうとした。。

 教皇フランシスコは長年にわたり、ロヒンギャの人々の惨状に心を痛めておられる。 2017年にバングラデシュを訪問された際には難民と面談し、話に耳を傾け、彼らに関心を持たない世界の人々を代表して赦しを求められた。 2018年2月には、バングラデシュのハシナ首相と会見し、ミャンマー・ラカイン州からのロヒンギャ難民の受け入れに感謝し、さらなる協力を求められた。また今年5月28日のレジーナ・チェリの祈りの中で、ベンガル湾でサイクロン・モカの被害を受けた人々への援助の促進を、国連や各国の人道援助担当者に訴えられている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2023年8月12日

・カトリック教会平和旬間・東京教区で12日にミサ、講演会など行事

(2023.8.11 カトリック・あい)

 カトリック教会の平和旬間に、東京教区では12日(土曜)に以下の行事を行う。

*午前11時から、東京カテドラル聖マリア大聖堂で、菊地大司教司式による平和を願うミサ

*午後1時半から、同大聖堂に隣接する関口会館ケルンホールで、松元ヒロさんのトークライブ (先着順200名まで)

*午後3時から5時まで、同大聖堂で宮台真司さんの講演会

※要約筆記・手話通訳対応を予定。

 

 

2023年8月11日

改新・2022年の日本の信徒数―10年で5%弱の減少だが、主日ミサ参加者は4割弱、新規受洗者が3割弱、聖職者などが2割強も大幅減少、”コロナ”の影響も 

(2023.8.8 カトリック・あい)

 カトリック中央協議会がこのほど、 2022 年度版「カトリック教会現勢」を発表した。これはもともとバチカンに報告を義務付けられているもので、日本の信徒や司祭が日本の教会の現状を理解し、今後の在り方を考える資料として役立てることを目的としていない(本来そのためのデータであるべきだが)ため、「カトリック・あい」で改めて過去のデータなどと合わせて、以下に分析を試みた。

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 まず、発表データを10年前に発表されたデータと合わせて算定すると、2022 年 12 月末現在の日本の聖職者、一般信徒などを合わせた「信者数」は」42 万 2450 人で、10 年前の 2012 年の 44 万 4441人より 2万1991人、 4.95%減った。日本の総人口に占める割合は2022年が 0.335 %、2012 年は 0.351 %で、毎年、小幅ながら日本の総人口の減少を上回る減り方を続けている。またミサ参加者は、日本でコロナ大感染が始まる直前の2019年と比べて、主日、復活祭、クリスマスともに4割前後も激減しており、信者減少に対する長期的な取り組みと共に、コロナ禍で激減したミサ参加者、教会を離れた信徒を、どのように回復するのかも、教会にとって大きな課題となっていることが明瞭に浮かび上がっている。

*日本の信徒数は41 万 6315 人で10年で2万355人減、聖職者等は6135人で同1636人減

 信者数のうち一般信徒は 41 万 6315 人で、2012年の43 万 6670 人から 4.66%、 2万355人減の一方で、聖職者・修道者・神学生の合計は 6135 人で、 7771 人から  21.05%、1636人も減っている。この発表データには無いが、聖職者・修道者の高齢化も明らかに進んでおり、司牧活動が困難な聖職者も増えていることは、現実に認識されていることを合わせれば、司牧活動可能な聖職者はこの数字よりもさらに減少していると推定される。

*主日ミサ参加者は6 万 5878 人、コロナ直前2019年より4万1037人も減っている

 

 主日のミサ参加者数は 6 万 5878 人で、2012 年の 10 万 6481 人より 4万603人、38.13 %の大幅な落ち込み。信者総数に占める参加者の割合は100に当たり15.6人。信者数の減り方よりも、主日のミサに出ない、教会に足を運ばない人が大幅に増えていることを示している。同様の傾向は新規受洗者数にも明確に出ており、2022 年一年間の受洗者数は 4089 人で十年前の 2012 年の5694人から28.19パーセント、1605人減。

   2020年に日本で始まったコロナ大感染の影響について分析したデータは「現勢」には皆無だが、直前の2019年のデータを引き出して、ミサ参加者を見ると、主日は10万6915人、復活祭は17万965人、クリスマスは21万7664人となっており、2022年はそれぞれ38.38%、40.71%、34.17%の減少となっており、10年前と比べた減少率を上回る大幅な落ち込みだ。明らかにコロナの影響で、ミサが中止になったり、参加が制限されたり、あるいは自主的に参加を控えたりする信徒が増えたことが主たる原因と判断される。

*教区別で10年間の信徒数減少が最大は長崎教区の4808人、受洗者数の落ち込みも目立つ

 

 また、全国で16ある教区別に見ると、信徒数が最も多いのは東京で9万2001人、これに長崎の5万6826人、横浜の5万2929人、大阪の4万6817人が続き、最も少ないのは高松の4208人など、1万人未満が大分、那覇、新潟、仙台、鹿児島をあわせて6教区もある。2012年から10年間で減り方が最も大きいのは仙台の11.04%で、これに札幌9.70%、大阪9.20%、鹿児島8.22%、それに長崎の7.80%が次いでおり、減少数では長崎が4808人と最も多くなっている。ちなみに東京は2.38%の減少にとどまり、那覇とさいたまは、それぞれ4.16%、2.43%の増加。特に後者は、外国人の顕著な流入が影響していると見られる。

 聖職者・修道者・神学生の減り方を教区別に見ると、大幅な減少率の中で、教区によるばらつきがみられ、最も大幅な減少率を示したのは仙台で44.03%、ついで、新潟、福岡、鹿児島、高松が30%を超えている。

 大きく落ち込むなかでもばらつきがみられるのは、2022年までの十年間の主日のミサ参加者の減り方で、東京が51.92%と半減しているほか、札幌が48.15%、横浜が46.17%、鹿児島が41.87%、長崎が41.58%を4割を上回る減少。対して、大阪は12.17%の減少にとどまっている。

 年間の受洗者数を見ると、2022年の全国総数4089人のうち、トップは東京の996人、ついで横浜527人、名古屋503人、大阪419人で、信徒数で2位の長崎は237人にとどまっている。2012年に比べた受洗者の減り方もっとも大幅なのは鹿児島で64%、次いで新潟60.52%、長崎が52.88%で三番目に大きい落ち込み。対して、広島2.75%、名古屋2.90%、さいたま3.85%と小幅の落ち込みにとどまる教区もある。

 以上の教区別の動きを見ると、特に日本のカトリック教会の中心教区の一つとされてきた長崎が、信徒数の減少、主日のミサ参加者の減少、新規受洗者の減少率がそろって大幅になっているのが目立つ。その原因として考えられることについて、ここでは明らかにすることは避けるが、当事者も含めて心当たりの方も少なくないだろう。一言で言えば、信頼回復の努力が急務、だということではなかろうか。

 

 

*東京・麹町教会の信徒数よりも少ない教区が7つもある、高松教区は麹町の4分の1

 ちなみに、日本の小教区で信徒数が最も多いのは東京教区の麹町教会で1万7152人(2019年12月末現在。次が長崎教区の浦上教会で約7000人と言われている=公表データが見つからない)。麹町教会一つよりも信徒数の少ない教区は、札幌(1万4958人)、仙台(9196人)、鹿児島(8420人)、新潟(6676人)、那覇(6132人)、大分(5607人)、高松(4208人)と7つもある。麹町教会よりも信徒数が少なく、しかも東京教区の10分の一以下の信徒数しかいない教区が6つもある現状は、信徒数も、司祭の数も減り続ける中で考え直す必要があるようだ。

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 以上の比較は、「2022年現勢」だけでは、分からないデータもあり、まして10年前との教区別比較などは出ていない。このデータをどのように読むかも、今後の教会の在り方を考えるうえでの評価、分析も書かれていない。このため、「カトリック・あい」では「2012年現勢」を参照し、増減数、増減率なども独自に算出し、少しでも役立つように努めた。また、2012年との比較で大幅に減っていても、他の年と比べれば異なる数値が出てくる可能性もあるが、10年前という節目となる区切りで算出した。また、算出に誤りがあることも考えられるので、お気づきになったら「カトリック・あい」読者の声、までご連絡いただきたい。

 

 

2023年8月8日

・「愛と慈しみを社会の中に実現できるように」平和旬間へ東京大司教が教区民に呼び掛け

週刊大司教 2023年8月 4日 (金)2023年平和旬間、東京教区呼びかけ

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東京大司教区の皆様へ  2023年平和旬間にあたって

 暴力が生み出す負の力が世界に蔓延し、命が危機に直面する中で、私たちは「平和が夢」であるかのような時代を生きています。日本の教会は、今年も8月6日から15日までを平和旬間と定め、平和を想い、平和を願い、平和の実現のために行動するように呼びかけています。

 3年にも及ぶ感染症による命の危機に直面してきた世界は、命を守ることの大切さを経験から学んだでしょうか。残念ながら、平和の実現が夢物語であるように、命を守るための世界的な連帯も、未だ実現する見込みはありません。それどころか、ウクライナでの戦争状態は終わりを見通すこともできず、東京教区にとっての姉妹教会であるミャンマーの状況も変化することなく、平和とはほど遠い状況が続く中で、時間だけが過ぎていきます。

 今年の平和旬間でも、平和のための様々なテーマが取り上げられますが、東京教区では特に姉妹教会であるミャンマーの教会を忘れることなく、平和を祈り続けたいと思います。

 ご存じのように、2021年2月1日に発生したクーデター以降、ミャンマーの国情は安定せず、人々とともに平和を求めて立ち上がったカトリック教会に対して、暴力的な攻撃も行われています。ミャンマー司教協議会会長であるチャールズ・ボ枢機卿の平和への呼びかけに応え、聖霊の導きのもとに、政府や軍の関係者が平和のために賢明な判断が出来るように、弱い立場に置かれた人々、特にミャンマーでの数多の少数民族の方々のいのちが守られるように、信仰の自由が守られるように、この平和旬間にともに祈りましょう。

 具体的な行動として、今年は久しく中断していた「平和を願うミサ」が、8月12日(土)11:00からカテドラルで捧げられます。このミサの献金は、東京教区のミャンマー委員会(担当司祭、レオ・シューマカ師)を通じてミャンマーの避難民の子どもの教育プロジェクト「希望の種」に預けられます。また、8月13日の各小教区の主日ミサは「ミャンマーの子どもたちのため」の意向で献げてくださるようお願いいたします。

 共に一つの地球に生きている兄弟姉妹であるにもかかわらず、私たちは未だに支え合い助け合うことができていません。その相互不信が争いを引き起こし、その中で実際に戦争が起こり、また各国を取り巻く地域情勢も緊張が続いています。そのような不安定な状況が続くとき、どうしても私たちの心は、暴力を制して平和を確立するために暴力を用いることを良しとする思いに駆られてしまいます。

 しかし暴力は、真の平和を生み出すことはありません。人間の尊厳は、暴力によって守られるべきものではありません。それは、命を創造された神への畏敬の念のうちに、互いに謙遜に耳を傾け合い、支え合う連帯によってのみ守られるものです。

 加えて、「カトリック教会のカテキズム」にも記されている通り、目的が手段を正当化することはありません(1753項参照)。暴力の支配が当たり前の日常になる中で、戦争のような暴力を平和の確立のための手段として肯定することはできません。「戦争は死です」(ヨハネ・パウロ二世の「広島平和メッセージ」)。

 教皇フランシスコは、2019年に訪れた長崎で、国際的な平和と安定は、「現在と未来の人類家族全体が、相互依存と共同責任によって築く未来に奉仕する、連帯と協働の世界的な倫理によってのみ実現可能」であると述べられました。その上で、「軍備拡張競争は、貴重な資源の無駄遣いです。

 本来それは、人々の全人的発展と自然環境の保全に使われるべきものです。今日の世界では、何百万という子どもや家族が、人間以下の生活を強いられているにもかかわらず、武器の製造、改良、維持、商いに財が費やされ、築かれ、日ごと武器は、いっそう破壊的になっています。これらは天に対する絶え間のないテロ行為です」と指摘され、軍備拡張競争に反対の声を上げ続けるようにと励まされました。

 命の危機にさらされ、困難の中で希望を見失っている人たちへの無関心が広がる世界では、異なるものを排除することで安心を得ようとする傾向が強まり、暴力的な力を持って、異質な存在を排除し排斥する動きが顕在化しています。平和を語ることは、戦争につながる様々な動きに抗う姿勢を取り続けることでもあり、同時に人間の尊厳を危機にさらし、命を暴力的に奪おうとするすべての行動に抗うことでもあります。

 平和旬間にあたり、命の創造主が愛と慈しみそのものであることに思いをはせ、私たちもその愛と慈しみを社会の中に実現することができるように、祈り、行動していきましょう。

 カトリック東京大司教区 大司教  菊地功

(編集「カトリック・あい」)

2023年8月5日

・「教皇のメッセージにどう答えられるか考えよう」ー21日から「ラウダ―ト・シ週間」へ司教協議会責任者・成井司教の談話

(2023.5.20 カトリック・あい)教皇フランシスコが2015年5月24日に発表された環境回勅「ラウダ―ト・シ」にちなんで、世界のカトリック教会で「ラウダ―ト・シ」週間が行われる。それに先立って、日本カトリック司教協議会の同週間責任者である成井大介・新潟司教から19日、談話が出された。全文以下の通り。

 

地球の希望、人類の希望 ~2023年ラウダート・シ週間にあたって~(2023年5月21日~28日)

 教皇フランシスコは、2015年5月24日に発表した回勅『ラウダート・シ――ともに暮らす家を大切に』の中で、すべての造られたものが互いにつながっていると教え、神と、自然と、人々と、自分自身とが調和のうちに生きていくことを目指すインテグラルエコロジーに取り組むよう招いています。ラウダート・シ週間は、5月24日を挟んだ一週間、この教皇の呼びかけに、とくに心を向けて祈り、行動し、祝うために設定されています。

 今年のラウダート・シ週間は5月21日から28日で、世界共通のテーマは「地球の希望、人類の希望」です。そして、このテーマを深めるために見るように勧められているのが、昨年の10月4日、アッシジの聖フランシスコの祝日に公開されたドキュメンタリー映画、「The Letter」です。このドキュメンタリーは『ラウダート・シ』の呼びかけに関連し、周縁に追いやられた貧しい人の声、先住民の声、若者の声、自然界の声を代表する人々がバチカンに招かれ、教皇と対話するという内容になっています。

 ドキュメンタリーの冒頭で、ラウダート・シ・ムーブメントの代表、ロルナ・ゴールド氏は次のように視聴者に語りかけています。「『ラウダート・シ』は、教皇フランシスコがあなたに書いた手紙です」。「教皇フランシスコはこの星に住むすべての人にあてて、彼が心配していることがら、世界の状態についての手紙を書いたのです」。

 皆さんは、この教皇からの手紙、『ラウダート・シ』を読まれましたか。まだの方は、ぜひ読んでみてください。そして、自分自身が日々の生活の中で大切にしている、神と、自然と、人々と、自分自身との関係のあり方について、どのように教皇の手紙に返信できるか、考えてみてください。ドキュメンタリー「The Letter」は、きっとそのための助けになるでしょう。

 「人格は、神との、他者との、全被造物との交わりを生きるために、自分自身から出て行って、もろもろの関わりに加わればそれだけ、いっそう成長し、いっそう成熟し、いっそう聖化されます」(LS 240)。

 「The Letter」で、教皇と対話した人々は、互いの経験や知恵、思いに心を動かされ、新たな歩みを始めました。私たちもとくにラウダート・シ週間の間、人々との交わり、対話のうちに関係を深め、希望をもってインテグラルエコロジー*への取り組みを進めてまいりましょう。

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「The Letter――A Message for Our Earth」(YouTube配信)
https://www.theletterfilm.org/
日本語字幕の設定
「設定(歯車のアイコン)」→「字幕」→「自動翻訳」→「日本語」(自動翻訳)

ラウダート・シ週間公式ウェブサイト(英語/西語/葡語/伊語/仏語)
https://laudatosiweek.org/

教皇フランシスコ回勅『ラウダート・シ――ともに暮らす家を大切に』
https://www.vatican.va/content/francesco/ja/encyclicals/documents/papa-francesco_20150524_enciclica-laudato-si.html

2023年5月19日 日本カトリック司教協議会 「ラウダート・シ」デスク 責任司教 成井大介

 

*「カトリック・あい」注:「インテグラルエコロジー」とは、「関わりをもつ存在」としての人間観にもとづく地球環境についての考え方、姿勢のことで、人間の4つの基本的な関係軸「自己との関わり」、「他者との関わり」、「自然との関わり」、「神との関わり」の本来の調和を追及するもの。なお、この際、改めて申し上げたいが、日本のカトリック教会は、日本語を大切にし、相手にその意味を的確に伝える努力に欠けているように思われる。当用漢字を使うことでその言葉の意味が的確に伝えるべきところを安易にひらがな表記(わたし、いのち、かかわり、など)にし、多くの日本人にとって意味がよく分からない英語をそのままカタカナ書きにする例が散見される。これもその代表例と言えるだろう。相手への、日本語への思いやりに欠けている証拠ではなかろうか。

2023年5月20日

・政策研究大学院大学と米財団共催のセミナー「日米韓三国関係の将来」5月30日に

(2023.5.19 かとりっく・あい)

 政策研究大学院大学(GRIPS)とマンスフィールド財団による合同セミナー「日米韓三国関係の将来: 協力の機会と継続する課題(The Future of the U.S.-Japan-South Korea Trilateral Relationship:Opportunities for Cooperation and Enduring Challenges)」が5月30日に以下の要領で行われる。

*日時:2023年5月30日(火)12:10-13:40 会場:オンライン(Zoom Webinar)
スピーカー: コリン・ティマーマン(マンスフィールド・フェロー、立法顧問、米国連邦下院議員)
モデレーター: 竹中治堅(政策研究大学院大学 教授)
使用言語: 英語(通訳は入りません) 参加費: 無料

*オンラインによる聴講希望の方は、25日午後5時までに https://grips-ac-jp.zoom.us/webinar/register/WN_3t7lxQf1Sg64Z39qFK2Tdg で申し込みを。Zoomから招待メールが送られる。

 英文によるセミナーの趣旨説明は以下の通り。

  Over the past half-century, the trilateral relationship between the United States, Japan, and the Republic of Korea (ROK) has emerged as a strategic framework in the Indo-Pacific region of immense consequence. However, despite shared interests in regional security and expanding global trade and investment opportunities, trilateral ties have been repeatedly hampered by lingering resentment and distrust, often stemming from historical tensions and territorial disputes. This presentation will highlight key opportunities for trilateral cooperation, such as expanding economic partnership, strengthening regional security coordination, and aligning interests on global issues. The presentation will also identify challenges which endanger trilateral cooperation and will require attention and compromise from all three nations to resolve.

2023年5月19日

・東京大学未来ビジョン研究センター主催シンポ「G7広島サミット:重要性、安全保障、日本のリーダーシップ」5月26日に

(2023.5.18  カトリック・あい)

  東京大学未来ビジョン研究センター 安全保障ユニットの主催、東京大学公共政策大学院の共催によるシンポジウム「G7広島サミット:重要性、安全保障、日本のリーダーシップ」が、5月26日に 東京大学本郷キャンパスで開かれる。

 前週に広島で開催される2023年G7サミットに参加予定のトリステン・ネイラー氏(ケンブリッジ大学助教授)が、同サミットについての分析を発表する。サミットや多国間外交を専門とする同氏は、こうした場での日本のリーダーシップの重要性について議論し、ウクライナ戦争、中国との地政学的緊張、地域的・国際的な経済安全保障などに特に焦点を当てながら、サミットの成果を検証し、G7の今後の見通しを共有する予定。

*詳細、申し込み方法は以下の通り。

・開催日時:5月26日(金)10:30-12:00 ・会場:東京大学 国際学術研究棟4F SMBCアカデミアホール  ・言語:英語(通訳なし) 地図:https://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_01_07_j.html

[登壇者]- 講演者:トリステン・ネイラー・ケンブリッジ大学政治国際関係学部 助教授 - 討論者:イー・クアン・ヘン 東京大学公共政策大学院 教授 - 司会:向山直佑・東京大学未来ビジョン研究センター 准教授

[詳細・申込] https://ifi.u-tokyo.ac.jp/event/15832/

2023年5月18日

・上智大学でシンポジウム「NAGASAKIから世界へ平和を-被爆医師 永井隆と妻 緑 からのメッセージ」

(2023.5.18 カトリック・あい)

  上智大学のカトリック・イエズス会センターと神学部共催のシンポジウム、「NAGASAKIから世界へ「平和を」-被爆医師 永井隆と妻 緑 からのメッセージ」が6月3日午後3時から5時まで、上智大学四谷キャンパス2号館で行われる。

 主旨について、主催者は「ウクライナでの戦争における核兵器使用の脅威が高まる中、被爆国日本からのメッセージの発信は急務となっています。原爆の荒野で妻を失い、被爆者達のために献身的救助を行い、多くの著作を残した医学者、永井隆。今彼の生涯と著作は世界中で再び注目を集めています。本シンポジウムでは、イタリア、アメリカ、日本の研究者が共に、永井隆の「平和を」のメッセージを現代に伝え、希望ある世界を築くための可能性を探ります」としている。

 パネリストは、ガブリエレ・ディ・コミテ(医師、イタリア「医学と人間」協会副会長 / 永井隆と緑の友の会副会長)、パウラ・マレンコ(アストラゼネカ日本法人 メディカルディレクター / 永井隆と緑の友の会会長)、チャド・ディール(バージニア大学インストラクショナルデザイナー / 日本史家)、 片山 はるひ(司会兼パネリスト=上智大学神学部教授)

  対象は学生、一般で、無料。来場参加の申込みはhttps://eipro.jp/sophia/events/view/UN20230603    オンライン参加の申込みはhttps://eipro.jp/sophia/events/view/UN20230603_OL   *通訳音声はZoom視聴時に限り利用できる。会場でスマートフォン等からZoom音声を聞く場合は必ずイヤフォンを持参のこと。

2023年5月18日

・NHK・Eテレ「100分de名著」で4月3日から毎週月曜夜、「新約聖書 福音書」を放映

 

紀元1世紀から2世紀にかけて執筆・編纂された聖典「新約聖書」。今も、キリスト教徒だけでなく、世界中の人々に巨大な影響力を持ち続ける名著です。「新約聖書」に収められた27の書の中でも、イエス・キリストの生涯と言葉が克明に記されているのが「福音書」です。マタイ伝、マルコ伝、ルカ伝、ヨハネ伝の4つからなる「福音書」は、いわば「新約聖書」の中核ともいえる存在。それぞれが補いあうようにイエスという存在を浮かび上がらせる構成になっています。

番組では、永年に渡って「福音書」を読み続け、自らも糧としてきた批評家・若松英輔さんが、現代の視点からわかりやすく解説します。若松さんによれば、「福音書」は信仰者のためだけの書ではなく、万人に開かれた書だといいます。一見すると信仰者にしか関りのないような奇跡や神秘的な出来事の描写も、文字を追うのとは別な、もう一つの目を見開いて読むと、言葉の奥に隠された深い意味が浮かび上がってくるといいます。それは、それぞれが「私自身のイエス」に出会う体験であるともいえます。そのように読むと、「福音書」は私たちの人生を支えてくれる書となっていきます。

その生涯を通じて、弱きもの、小さきものに徹底的に寄り添い、近づくことをためらう人々の元へこそ出向いていったイエス。彼の言葉と行為は、私たち現代人にとってどんな意味をもつのでしょうか? 「福音書」を万人のために開かれた書であるととらえる視点から、生きることそのものを導いてくれる巨大な書に込められた深い意味を読み解いていきます。

<各回の放送内容>

第1回 悲しむ人は幸いである

【放送時間】2023年4月3日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ

【再放送】2023年4月4日(火)午前5時30分~5時55分/Eテレ 2023年4月10日(月)午後1時5分~1時30分/Eテレ ※放送時間は変更される場合があります

【指南役】若松英輔(批評家・随筆家)【朗読】占部房子(俳優)【語り】小口貴子

イエスはベツレヘムの馬小屋で誕生したとされる。このことから、イエスは貧しい人々、身分低き人々、世間からないがしろにされている人々に寄り添うために生まれたと捉えられてきた。有名な「山上の説教」では、「悲しむ人たちは幸いである」と説かれ、誰が偉いかを競い合う弟子たちには「幼子の一人を受け入れる者は、わたしを受け入れる者である」と窘める。イエスの生涯は一貫して「悲しむ人」「小さき人」「蔑まれた人」たちと共にあったのだ。若松さんは、これらの言葉にはあらゆる宗教を貫く神髄があるという。第一回は、イエスの生誕、受洗、最初の説教などを通して、イエスの生涯に込められた深い意味を探る。

第2回 魂の糧としてのコトバ

【放送時間】2023年4月10日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ

【再放送】2023年4月11日(火)午前5時30分~5時55分/Eテレ 2023年4月17日(月)午後1時5分~1時30分/Eテレ ※放送時間は変更される場合があります

【指南役】若松英輔(批評家・随筆家)【朗読】占部房子(俳優)【語り】小口貴子

「福音書」は魂の糧となるコトバに満ち溢れている。断食修行中に「神の子ならば石をパンに変えてみよ」と問う悪魔に対して「人はパンだけで生きるのではない」といい人間は言葉によって生きるという真理を示すイエス。五つのパンと二匹の魚で五千人もの男を満腹にさせる奇跡を起こしたイエス。深く読み解けば、人々が食したのはイエスによってもたらされた言葉だととらえることもできる。若松さんは、「永遠の命に至らせる食べ物」「あなた方の知らない食べ物」と繰り返し表現されるものこそ、大いなる働きによってもたらされたコトバであり、魂の糧として人々を生かすものだという。第二回は、一見すると信仰者にしか関りがないと思われる出来事や奇跡の描写の深い意味を読み解き、生きることを支えてくれるコトバの力を探っていく。

第3回 祈りという営み、ゆるしという営み

【放送時間】2023年4月17日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ

【再放送】2023年4月18日(火)午前5時30分~5時55分/Eテレ 2023年4月24日(月)午後1時5分~1時30分/Eテレ ※放送時間は変更される場合があります

【指南役】若松英輔(批評家・随筆家)【朗読】占部房子(俳優)【語り】小口貴子

イエスはついに自らの目的を果たすべくエルサレムへ入城する。そこで驚くべき行為に出る。力をもって神殿で商いをしている人たちを追い払うのだ。福音書で唯一イエスが暴力を振るう場面だ。「わたしの父の家を商売の家にしてはならない」。イエスにとって神殿は人間の魂そのものだった。そうとらえると私たちにとって「祈り」という営みが何なのかが浮かびあがってくる。また、姦通の罪で捕らえられた女性を糾弾する周囲の人たちに対しては、「罪のない人間だけが石を投げなさい」と告げ、たしなめる。そこには「ゆるし」という営みについての深い教えが込められている。若松さんは、福音書に描かれる「ゆるし」は、人々が互いに光を見出すような和解の営みだという。第三回は、イエスが語る祈りやゆるしという営みを通して、人間が最も大切にしなければならないこととは何かを深く考える。

第4回 弱き者たちとともに

【放送時間】2023年4月24日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ

【再放送】2023年4月25日(火)午前5時30分~5時55分/Eテレ 2023年5月1日(月)午後1時5分~1時30分/Eテレ ※放送時間は変更される場合があります

【指南役】若松英輔(批評家・随筆家)【朗読】占部房子(俳優)【語り】小口貴子

最後の晩餐が終わり、オリーブ山に向かう一同。イエスは弟子たちに全員が自分を見捨てるだろうと告げる。「決して見捨てない」というペトロに対しイエスは「鶏が鳴く前に三度私を知らないというだろう」と語る。自分を裏切るユダに対しても「しようとしていることに取りかかりなさい」と告げイエスは衛兵たちに捕らえられる。イエスはこんなにも弱き弟子たちを愛しゆるしていたのだ。ついに磔刑に処せられるイエス。「わたしの神、どうしてわたしをお見捨てになるのですか」という最期の言葉の意味とは? そして「復活」という出来事は何を意味するのか? いずれもイエスが生涯を通じて弱き者たちとともにあることを証しだてる深い意味が秘められていると若松さんはいう。第四回は、「福音書」の中でも最も重要とされる、弟子たちの裏切り、磔刑、復活の深い意味を読み解き、イエスの生涯が私たち現代人に何を問いかけているのかを探っていく。

2023年3月30日

*ミャンマーの軍事指導者は、すべての反対者を「テロリスト」として弾圧(VN)

File photo taken on 8 March 2021 of a Burmese Catholic nun who pleaded with security forces not to harm protesters amid a crackdown on demonstrations against the military 軍事政権の弾圧に抗議する人々を逮捕しようとする保安隊。彼らの前に1人ひざまずくカトリック修道女の説得に、この時は応じたが・・武力弾圧は今も激しさを増すばかりだ。(2021年3月8日)

 

 

*激しさを増すキリスト教徒や少数民族に対する攻撃

 

 軍事政権によるキリスト教徒など宗教的少数者や、少数民族に対する攻撃が続く中で、 何万もの家屋が取り壊され、 数十の教会も破壊され、少なく見ても 130 万人が避難を余儀なくされている。昨年処刑された 2 人の民主化派国会議員を含む 140 人以上が死刑を宣告されている。 国民民主連盟の指導者、アウン・サン・ スー チー氏は、33 年の禁固刑を言い渡され、信教の自由と人権を守ろうとするキリスト教徒の指導者を含む多くの人々も、非公開裁判で実刑判決を受けている。

 

*カトリック教会指導者たちの平和の訴えも無視されている

 

 軍事クーデター発生からこれまで 2 年の間、カトリック教会は、教皇フランシスコ、ミャンマーのチャールズ・ ボー枢機卿はじめ司教たちが、平和と対話を求める声を繰り返し上げた来たが、国軍は聞く耳を持たない。 クーデター発生から丸二年になる今年2月1日の前夜、マンダレー教区長のマルコ ・ティン ワン、タウンジー教区長のバシリオ ・アタイ両大司教は、ボー枢機卿とともに、人命の破壊と、礼拝の施設破壊が続いていることを非難、平和を求める声明を出している。

 国軍が明らかにした、あらゆる反対者を「テロリスト」とみなして厳重対処するという27日の方針は、米国政府がミャンマー軍事政権に対して新規の制裁を実施した直後に出された。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2023年3月28日

・相次ぐキリスト教徒襲撃はヒンズー・ナショナリストの脅威増大を反映(Crux)

Bharatiya Janata Party (BJP) supporters dance to celebrate after their leader B. S. Yeddyurappa was sworn in as Chief Minister of Karnataka state in Bangalore, India, Thursday, May 17, 2018. (Credit: Aijaz Rahi/AP.)

(2023.1.21 Cux  Contributor Nirmala Carvalho)

 ムンバイ発 – 1 月中旬にわずか 2日間に2件続けて起きたキリスト教徒に対する脅迫事件は、この国で少数派ながら活気に満ちたキリスト教徒が直面している脅威を鮮明に印象づけた。ヒンズー教徒が多数を占めるインドで、キリスト教徒がますます強まる”ヒンズー・ナショナリズム”の波に脅かされている。

 ”ヒンズー・ナショナリスト”たちは、この国のトップであるナレンドラ・モディ首相の選挙基盤の一部とされており、首相が指導する政党、 BJP と同盟関係にある。そして最近の二つの事件で、カトリックの聖職者と一般信徒は、国内で物議を醸している「反改宗法」に違反したとして告発された。

 専門家は、同法が少数派グループを脅迫し、インド社会から追い出す使われることが多い、と指摘しており、同国のカトリック教会の指導者、ムンバイ大司教のオズワルド・グラシアス枢機卿は、二つの事件が「改宗法の危険性を反映している」と批判している。

 1月の事件の一つは18日、インド北東部のタンドラで起きた。小教区の共同司牧者であるジョセフ・アムスカニ神父が、ミサを捧げるために近くの小さな集落に出かけた際、現地の警察に拘束された。

 現地の教会関係者によると、ヒンズー教原理主義者の集団から、アムニスカニ神父が反改宗法に違反する宣教活動を行っていると告発を受けた警察が、神父と、同行していた修道女、カテキスタ、運転手を署に連行した。神父以外は間もなく釈放されたが、神父はその後、数時間も拘留され、警察署の周辺では、即時釈放を求めるキリスト教徒と神父を起訴するよう要求するヒンズー教原理主義者が集まり、険悪な雰囲気になった。

 アムスカニ神父は釈放後、Cruxのインタビューに答え、「私は約 7 時間拘束されました。何千人ものキリスト教徒が警察署の周りで私の釈放を求める一方、起訴を求める”右翼分子”も25人ほどいた。彼らが互いに争うことのないよう、私はずっと祈っていましたが、互いに非常に緊張し、人々は動揺していました」と語った。

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 グラシアス枢機卿は、 18 日にアムトカニ神父が一時拘束された際、カトリックでないキリスト教徒たちが、早期釈放に協力してくれたことに感謝し、「あらゆる宗派のキリスト教徒が団結し、互いに助け合い、団結し、神父を支持してくださったことをとてもうれしく思います。これはキリスト教一致の表明、キリスト教一致の目に見える証しです。 イエスのすべての弟子たちが共に立つことが重要であることを示してくれました」と述べた。

 また、16日の事件については、被害に遭ったVMSの活動を称賛し、「過去 53 年間、地域の 部族の教育と社会生活の向上のために、たゆまぬ努力を続けてきました。貧しく、社会から疎外された部族社会に奉仕してくれています」としたうえで、「鉄道駅で、誤った批判を浴び、身体的暴力を振るわれたことは非常に残念」と遺憾の意を表明。

 カトリック教会がインドで不当な改宗に関与しているとの見方を強く否定し、「カトリック教会は強制改宗に完全に反対している。強制的な”改宗”は合法ではなく、改宗とは言えない。 私たちの考えと哲学は明確です。私たちはキリストを証ししようとしているが、いかなる形であれ、他者を強制したり、圧力をかけたりすることは決してしない」と言明した。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

 

2023年1月23日

・ミャンマー、国軍クーデターから間もなく2年、死者は3000人近く、教会も破壊ーボー枢機卿”平和の巡礼”開始を訴え

The ruins of the Church of the Assumption in Chan Tar, which was burnt to the ground by Burmese soldiers.ミャンマー北西部、チャンターの聖母被昇天教会が国軍の攻撃で町と共に破壊された 

(2023.1.21 Vatican News  Christopher Wells)

 ロシアによる理不尽極まる攻撃が一年近く続くウクライナに世界の注目が集まっているが、東南アジアでは軍事クーデターから間もなく2年となるミャンマーでも国軍による武力弾圧が止まない。

 ミャンマーの人権団体AAPPの発表によると1月20日現在で市民の死者は累計で2796人、逮捕者は1万7404人内拘留中が1万3619人にのぼり、なお増え続けている。14日には、北西部チャンターの129年の歴史を持つ聖母被昇天教会の聖堂と司祭館、修道院など関連施設が、周辺の少なくとも120軒の商店、住宅とともに、国軍によって放火、破壊された。

 このような事態を受けて、アジア司教協議会連盟会長でミャンマー司教協議会会長でもあるヤンゴンのチャールズ・ボ―枢機卿が20日、マンダレーのマルコ・ティン・ワン大司教、タウンジーのバシリオ・アタイ大司教と連名で声明を発表。「私たち全員で平和の巡礼に着手する必要がある」と訴えた。

 声明は「多くの資源に恵まれた偉大なこの国で、人々の命が奪われ続けている。胸が張り裂けるような悲劇です」とし、「ハーグ条約など国際的な取り決めでは、礼拝の場、学習の場、癒しの場の保護が定められています」と指摘。「痛みと苦悩をもって皆さんにお尋ねしたい。なぜこれらの神聖な場所が攻撃され、破壊されたのでしょうか」と問い掛けた。

 そして、礼拝の場は、「国が癒されるために必要な相互依存と相互関係の感覚を促進する場」であるとし、「このような場が容赦なく焼かれることで、社会を正常に戻すことが極めて困難になる」と警告した。

 さらに声明は、「私たちは人間として、これまで十分に苦しんできました」としたうえで、「さまざまな信仰の伝統の指導者として、ミャンマーのすべての利害関係者に次のように嘆願しますー国として、国民として団結して平和への神聖な巡礼を始めましょう。平和は可能です。平和こそ唯一の道です」とすべてのミャンマー国民に訴えた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2023年1月22日

・「暗闇の中で、輝く光を自らの言葉と行いをもって証しよう」菊地大司教の一致祈祷週間東京集会説教

(2023.1.21 カトリック・あい)

 2023年キリスト教一致祈祷週間が1月18日から25日にかけて世界で行われている。東京では、日本キリスト教協議会(NCC)とカトリック東京大司教区の共催で「キリスト教一致祈祷週間 東京集会」が18日、昨年に引き続きオンライン配信で行われたが、菊地・東京大司教の説教原稿は以下の通り。

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 カトリック東京教区 大司教 菊地 功

 私たちは、暴力の支配に屈してしまったのでしょうか。この世界は、まるで暴力の支配に屈服しようとしているかのような様相を呈しています。

 この3年間、私たちは未知であった新型コロナウィルスという存在に直面し、感染症の拡大の中で命の危機に直面し続けてきました。社会の中には様々な意見が飛び交っています。教会の中にも様々な意見が飛び交っています。

 3年間の経験が、専門家の間に様々な知見を積み重ねさせたとは言え、実際にはどうなるのか、予測をつけることができない未知の世界に私たちは生きています。間もなく終結するという声もあるかと思えば、まだまだこれからも危機は続くという声もあり、心から安心できる日は、なお先にあることだけは確実です。

 この状況から抜け出すために、世界は知恵と絞り互いに協力しながら、ありとあらゆる努力を重ねる必要があることは、誰の目にも明らかです。にもかかわらず、あろうことか、神からの賜物である人間の命に暴力的に襲いかかる理不尽な出来事が、世界各地で続発しています。

 カトリック教会のリーダーである教皇フランシスコは、この感染症の危機が始まった当初より、命を守り、その危機に立ち向かうには連帯が不可欠だと強調してこられました。この危機的状況から、以前よりももっと良い状態で抜け出すためには、「調和のうちに結ばれた多様性と連帯、これこそがたどるべき道です」と呼びかけこられました。互いの違いを受け入れ、支え合い、連帯することが、命を守るのだ、と強調されてきました。

 2019年11月に日本を訪れた時には、東京で東北の大震災の被災者と出会い、「一人で復興できる人はどこにもいません。誰も一人では再出発できません。町の復興を助ける人だけでなく、展望と希望を回復させてくれる友人や兄弟姉妹との出会いが不可欠です」と述べられ、連帯こそが希望と展望を生み出すのだ、と強調されました。

 しかしながら、この3年間、私たちの眼前では、調和も多様性も連帯も実現していません。目の前に展開しているのは、分裂であり、排除であり、暴虐です。この3年の間だけでも、例えばミャンマーではクーデターが起こり、ウクライナではロシアの侵攻によって戦争が始まりました。日本でも元首相の暗殺という、自らの思いを遂げるために、暴力によって他者の命を奪い取るような事件も起こりました。

 暴力による支配が続く中で、先行きの見えない不安は暗闇をさらに深く増し、私たちは疑心暗鬼にとらわれます。「一体、これからどうなるのだろう」という先行きの不透明性は、心の不安を増し、具体的な命の危機の状況が続くとき、疑心暗鬼はさらに深まり、他者への思いやりの心は薄れ、利己的な保身に走ってしまいます。

 そのような状況が続く中で心の一部を占めてしまった不安は、暴力を止めるためには暴力を持って対抗することを良しとする思いを生み出しています。いのちを守るためには、多少の犠牲はやむを得ないという気持ちになってきます。

 はたして暴力が良いのでしょうか。多少の犠牲は仕方がないのでしょうか。暴力の結末は死であり神の否定です。それは歴史が証明しています。神が命を賜物として与えてくださったと信じ、神がすべての命を愛おしく思われていると信じている私たちキリスト者は、命を守り生かす事の重要性を強調しつづけ、愚直に暴力を否定したいと思います。

 ミャンマーやウクライナでの独裁による圧政や戦争という暴力の現実に加え、世界には以前から、思想信条の自由を求める人たちへの圧迫が横行し、宗教者を含め正義のために声を上げる者への暴力も頻発しています。

 例えば、戦いに巻き込まれる。兵士として戦場に駆り出される。独裁的な権力のもとで、心の自由を奪われる。様々な理由から安住の地を追われ、いのちを守るために、家族を守るために、世界を彷徨い続ける。乱高下する経済に翻弄され、日毎の糧を得ることすら難しい状況に置かれ、困窮する。異質な存在だからと排除される。人種が異なるから、と攻撃される。出自が問題だから、と排除される。性的な現実から、差別を受ける。

 主ご自身が、今、福音を語られるのであれば、これらの人たちの現実を一つ一つ並べ上げ、私たちがどのような行動を取ってきたのか問いかけるのではないでしょうか。主が言われる「私の兄弟であるこの最も小さな者」は、いままさしく命の危機に直面するこの多くの人たちを意味しているのではないでしょうか。そうであるならば、私たちは出向いて行かなくてはなりません。命を守るために、命の危機に直面する人たちと共に歩まなくてはなりません。

 連帯すること、共に歩みながら支え合うこと、そういう生きる姿勢が世界を支配し、暴力による支配を打ち破らない限り、神の望まれる正義は確立せず、平和は実現しません。神の望まれている平和の実現は、すなわち神の定めた秩序の具体化に他なりません。教皇ヨハネ二十三世は、1960年代に東西冷戦が具体化し、核戦争の危機が視野に入る現実の中で、回勅「地上の平和」を著し、その冒頭にこう記しておられます。

 「すべての時代にわたり人々が絶え間なく切望してきた地上の平和は、神の定めた秩序が全面的に尊重されなければ、達成されることも保障されることもありません」(「地上の平和」1項)。

 私たちが語る平和は、単に戦争や紛争がない状態なのではなく、神が望まれる世界が実現すること、すなわち神の秩序が支配する世界の実現です。そのでも、神が賜物として私たちに与えられた命を守ることは、最も重要な課題です。しかしすでに、今回の感染症の状況が始まる以前から、特に私たちの国は武器を手にすることなく進行する戦いのまっただ中にあります。人間の命に対する暴力的な攻撃は、感染症の状況に突入する以前から顕著になっていました。

 例えば2016年7月26日に、相模原市の障害者施設での殺傷事件です。障がいと共に生きている方々19名が殺害され、20名を超える方々が負傷された凄まじい事件でありました。その衝撃は、犯行に及んだ元職員の青年の行動以上に、その言葉によってもたらされています。

 自らの行為を正当化するだけにとどまらず、「重度の障がい者は生きていても仕方がない。安楽死させるべきだ」などと真剣に主張していた、と報じられました。加えて、この犯人の、いのちに対する考え方に対して賛同する意見も、インターネットの中に少なからず見られました。すなわち、私たちの社会には、「役に立たない命は生かしておく必要はない」と判断する価値観が存在していることを、この事件は証明して見せました。

 その後も、多くの人の命が身勝手な理由による暴力的犯罪行為によって一瞬にして奪われる理不尽な事件は発生し続けています。

 いったい、私たちのこの日本の社会は、どのような価値観を持って人間の命を量っているのでしょうか。神が望まれる秩序が確立された世界からは遙かに遠いところを、現実の世界は歩んでいるのではないでしょうか。

 ご存じのように、今、私たちの国では宗教の意味やその存在が問われています。元首相の暗殺事件以来、宗教団体がその背景にあると指摘され、それが宗教全体の社会における存在の意味を問いかけるきっかけとなりました。言うまでもなく、どのような宗教であれ、それを信じるかどうかは個人の自由ですし、特定の宗教団体に所属するかしないかという個人の内心の自由は尊重されなくてはなりません。入信するもしないも、強制されることはあってはなりません。

 宗教は、命を生きる希望を生み出す存在であるはずです。その宗教が、命を奪ったり、生きる希望を収奪するような原因を生み出してはなりません。家庭を崩壊させたり、犯罪行為を助長したり、命を生きる希望を奪ったり、人間の尊厳を傷つけるようなことは、私たち宗教者の務めではありません。

 キリスト者はすべての人の善に資するために、この社会の現実のただ中で、命を生かす希望の光を掲げる存在であり続けなければなりません。キリスト者は、この現実の中に神の秩序を打ち立てるために、対立や排除や暴力ではなく、一致と連帯と支え合いをあかしし、推し進める存在でありたいと思います。

 保守的傾向を強める社会全体の風潮に流されるように、異質な存在を排除することを良しとする傾きは、私たちの教会の中にも入り込んでいます。言い返すことのできないような正論を並べ立て、教会の教えを忠実に守るかのように見せかけながら、その実、自らとは異質な存在への攻撃的な言動をする人たちが、神の愛を証ししているとは思えません。

 教会は一部の選ばれた人たちだけものではなく、神が創造されたすべての命を抱合する共同体です。選別し排除するのではなく、皆とともに歩もうとする共同体です。他者を攻撃し、排除する価値観を、それも多様性の一つだからと主張して、承認させようとする考え方には同調することはできません。

 光は闇が深ければ深いほど、小さな光であったとしても、希望の光として輝きを放ちます。2000年前に、深い暗闇の中に輝いた神の命の希望の光は、誕生したばかりの幼子という、小さな光でありました。いかに小さくとも、暗闇が深いほど、その小さな命は希望の光となります。誕生した幼子は、闇に生きる民の希望の光です。

 神の言葉である御子イエスが誕生したとき、暗闇に光が輝きました。イエスご自身が暗闇に輝く希望の光であります。私たち、イエスをキリストと信じる者は、その希望の光を受け継いで、暗闇に輝かし続けるものでありたいと思います。不安に恐れおののく心を絶望の闇の淵に引きずり込むものではなく、命を生きる希望を生み出し、未来に向けての展望を切り開くものでありたい、と思います。輝く光であることを自らの言葉と行いをもって証しするものでありたい、と思います。連帯のうちに、互いに支え合いながら歩むものであり続けたい、と思います。

(編集「カトリック・あい」)

2023年1月21日

・18日から世界でキリスト教一致祈祷週間ー東京では18日午後1時からオンライン配信の祈祷集会

(2023.1.16 カトリック・あい)

 キリスト教一致祈祷週間が「善を行い、正義を追い求めなさい」(イザヤ書1章17 節)をテーマに、18日から25日にかけて全世界で行われる。

 日本では、東京大会が18日午後1時から、日本キリスト教協議会(NCC)とカトリック東京大司教区の共催でオンライン配信によるエキュメニカル礼拝が開かれ、吉高叶NCC議長の司式、菊地功・東京大司教の説教が予定されている。集会の模様はNCCのYouTubeチャンネル、https://www.youtube.com/channel/UCkhVW0n4exKmivhkvdXN_wQで配信される(式文はhttps://ncc-j.org/category/resources/で)。

 また、大阪、神戸、和歌山では、カトリック大阪大司教区、日本福音ルーテル教会、日本聖公会、日本基督教団の共催で、共同礼拝が予定されている。20日に神戸のカトリック住吉教会で午後6時から、21日に和歌山のカトリック紀北教会屋形町聖堂で午後2時から、25日に大阪のカテドラル聖マリア大聖堂で午後6時から。

 なお、日本では、世界に広がる教会と心を合わせてキリスト者の一致を祈るため、カトリック中央協議会と日本キリスト教協議会が共同で翻訳した資料を小冊子『キリスト教一致祈祷週間』として発行し、キリスト教一致祈祷週間の期間だけでなく、一致を求める個人の祈りや共同の祈りのために年間を通して用いることができるよう配慮されている。2023icchi_booklet.pdf (catholic.jp)からダウンロードできる。

2023年1月16日