・香港騒乱-枢機卿が政府に法律の誠実な運用と市民の信頼を回復する努力求める

(2019.10.18 カトリック・あい) 中国政府・共産党の圧力を代弁する香港政府と、これに抵抗する市民・学生の間で激しい抗争が続く香港で、現地のカトリック教会を代表する湯漢・枢機卿が、激しさを増すデモ参加者たちに心の平和を取り戻し、平和的な抗議活動に戻るよう求めるとともに、香港政府と市民の双方に信頼関係の再建を訴えた。

(2019.10.16 VaticanNews Devin Watkins )

 湯枢機卿のアピールは、香港市民に対する公開書簡の形で11日付けで出された。

 その中で、枢機卿は、香港の状況が悪化していることに深い痛みを感じている、と述べ、「私は政治家ではないので、危機に対する解決策を提示することは控えたい」としたうえで、「香港の人々が”繰り返される騒乱”を克服するように、神が助けてくださる」ことへの希望を表明。

 「私たちの正当な要求が受け入れられない時、失望を感じるかもしれません… それでも、希望を失ってはなりません。絶望は未来への視野をぼやけさせ、私たちの人生を空虚にしてしまいます」と訴えた。

 そして、怒りは憎しみを生み、「善悪を見分ける能力を低下させ、良いものを壊し、暴力を引き起こします… 暴力は現在の問題の解決策ではなく、ますます深い傷を引き起こす、と確信しています」と、非暴力を説き、ガンジーとネルソンマンデラを「専制政治に平和的な抗議を行った」模範として示した。

 さらに、香港がこれまで繁栄してきたのは、人々の持つ互いの違いを尊重する能力による、と指摘。相違の調和は「市民の要求に応えることによってのみ」再構築できる、と強調し、香港政府と市民は相互信頼の再構築のために働かねばならない、と双方の努力を訴えた。

 また、「現在の社会情勢のために、若者たちが不安と心配を抱えているのを目の当たりにして、深い悲しみを感じています」と語り、書簡の最後で枢機卿は、すべての社会階層の人々と政府当局者に対して、若者たちの不安をやわらげ、行き詰まりから抜け出す方法を見出すよう呼びかけるとともに、香港政府に対して「香港市民の叫びに注意深く耳を傾けるように、強く求めます…権力の座にある者は、法律を誠実に運用し、尊重し、市民に対する信頼と尊敬を回復しなければなりません」と要請した。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

 

 

 

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2019年10月18日