・若者シノドスと使徒的書簡受けて-パキスタン教会が2020年を「若者年」に

(2019.4.8 VaticanNews Robin Gomes)

 パキスタン・カトリック司教協議会の若者委員会が4日、カラチの聖パトリック・カテドラルで開いた会議で、2020年を「若者年」とすることを決めた。若者の育成を重視する教皇フランシスコは昨年10月に「若者シノドス」を1か月にわたって開催、その成果をもとに使徒的勧告「Christus vivit(キリストは生きておられます)」に署名、先週2日に全文を公表しているが、パキスタンの「若者年」はそうした教皇の意欲を受けたものだ。

「若者シノドス」にパキスタン司教団代表として参加したハイデラバード教区長のサムソン・シュカルディン司教は4日の会議終了後、、バチカンのニュース通信社Fidesの取材に対し、「パキスタンにおける『若者年』は私たちの将来を養い、若い人たちを大切に育て、そして、彼らの信仰の旅に寄り添い、聖性を成長させる機関としたい」と抱負を語り、「私たちの使命は、若い人たちが信仰を育て、社会の中で幸せに生きるのを助けること。私たちは、エマオの弟子たちと歩み、分かち合い、彼らに寄り添ったイエスに励まされています」と述べた。

若者委員会の「若者年」開催決定を受けてパキスタンの司教団は、記念行事の企画立案などのための暫定委員会を発足させた。「若者年」は2019年の「王たるキリストの祝日」に始まり2020年の同じ祝日をもって終了する予定だ。

統一テーマは、旧約聖書イザヤ書からとり、「ここに私がおります。私を遣わしてください」6章8節)(日本語訳は聖書協会共同訳)、昨年の「若者シノドス」に照らして選んだ、という。委員会は、パキスタン国内の全教区における行事を企画、実施するが、行事の中には、教皇の使徒的勧告「Christus vivit(キリストは生きておられます)」を学ぶセミナーも含まれる。

統一テーマについて、シュカルディン司教は「若い人たちが宣教の召命を認識し、識別し、生き、司祭、修道士、信徒として教会に奉仕するように助けたい」という思いを込めた、と説明。さらに、若者たちは”霊的な父”、そして司牧者たちと一般信徒の指導者たちを必要としており、そうした人々は彼らとともに働く一方で、彼らに寄り添い、彼らが日々の生活で直面する課題を克服するのを助けることが求められている、とした。

さらに「私たちは、神の言葉とキリスト教の価値観を、メディア、音楽、芸術、ゲーム、スポーツを通じて広げていくために、教会の若い人たちに、責任を持たせ、信頼し、育てることで、力づけ、一緒に活動するようにしなければなりません」と訴えた。

 首都イスラマバードの教区長でパキスタン司教協議会会長のジョセフ・アーシャド大司教は先月末に「若者年」について、パキスタンのカトリック教会は「若者シノドス」が提起した課題に対応し、新しい世代が「さまざまな宗教、少数民族、文化の若い人たちとの友情と交わりを通して平和の福音を推進できる」と確信を述べた。

 若い人たちが求められているのは「一致と調和を進めるために働く行動的な市民」、「彼らは、社会の変化に責任があり、この国で重要な役割を演じることができます」とし、こうした考察から、パキスタンの司教たちが確信するのは「若い人たちの人生のカギは教育にある」ということであり、全ての若者が、とく少数派宗教の共同体社会の若者が教育を受けられるようにせねばならない、教育は「社会に平和をもたらし、不正と腐敗を無くすために戦うために」欠かすことができない、と強調した。

 若者年の目的は「愛、希望、一致、平和、そして相互尊重という福音的価値を与え、広めること」であり、「若い人たちが、異なる信仰を持つ人たちの共存の模範を示し、私たちの社会に一致、平和、調和を育てるのを容易にすること」にある。

 このような目的に沿って、カリタス・パキスタンは、”Jesus Youth Pakistan”など他の団体と共同で、若い人たちを真の平和建設者にする “Youth for Peace” 運動を始めている。

 キリスト教徒の若者たちから始まっている”Youth for Peace” はイスラム教徒、ヒンズー教徒、シーク教徒の若者たちにメッセージを届け、政治と社会に届くことを目指しており、「私たちはこの国の未来。平和、正義、忍耐、全ての人の分け隔てない尊厳を大切にする、人種、宗教、社会階層の区別のない、未来を作りたいのです」と若いパキスタン人は語った。

 パキスタン司教協議会の正義と平和委員会は「調和と平和がこの国全体の共通善であり、優先事項だということを、全ての人が認識するように働きたい」とし、まず、学校や若い人たちの教育課程から始める。「パキスタンの未来は、平和と正義の価値観を新たな世代の形成に浸透させることによって作られる」としている。 (Source: Fides)

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年4月9日