・自爆テロ被災のスリランカのカトリック教会が3か月ぶりに復旧-だが援助金は”ノートルダム”の500分の1

 

St. Sebastian's Church Katuwapitiya in Negombo, Sri Lanka. St. Sebastian’s Church Katuwapitiya in Negombo, Sri Lanka.  

4月21日の復活祭の日にスリランカの首都コロンボで発生した連続自爆テロで最も多い犠牲者を出した聖セバスチャン教会が復旧し、ちょうど3か月経った21日、犠牲となった同教会関係者114人の名前を刻んだ追悼碑の除幕式とともに、犠牲者たちへの追悼と普及への感謝を込めたミサが捧げられた。

 イスラム過激派によるこの連続自爆テロではカトリック、プロテスタントの計3つの教会、3つの高級ホテルなど8か所が破壊され、日本人一人を含む300人近い死者、500人の負傷者を出す大惨事となった。聖セバスチャン教会の聖堂再建は、スリランカ海軍が全面協力して行われた。

 コロンボ大司教のマルコルム・ランジット枢機卿が主宰したこの日の一連の行事には、犠牲者の家族を含めた多くの信徒が参加。ランジット枢機卿は式典でのあいさつで、この連続爆破テロに関する捜査について疑問を表明し、「捜査が、絨毯の下にしまい込まれる」ことを懸念している、と述べた。枢機卿は、この惨事を避けることができたのにそうしなかった政府の過失責任を指摘、スリランカ政府が「インド高等弁務官から3度にわたってテロ攻撃について警告を受けていた」としたうえで、「現在の指導者たちは対応を誤った。彼らには気骨がない。担当を他の人に任せて、故郷に戻るべきだ」と厳しく批判した。

 スリランカのカトリック教会には、国内外から再建支援の援助が集まっており、その額は現在までに177万ユーロ(約2億1300万円)。この援助金は犠牲者の子供たちや家族の支援、生存者の心身のケアに当てられる。また、被災したプロテスタント教会の再建を支援するためにも使われる予定だ。

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 この援助額は、ほぼ同じ時期に起きたパリのノートルダム大聖堂火災に対して伝えられている援助額(申告も含めて)1200億円強のわずかに500分の一だ。フランス国内の富豪企業から”節税対策”もあって援助申告があふれているのと極端な「格差」だ。しかも、大聖堂火災は教会や工事請負業者の管理不十分による失火で死傷者も出ていないのに、スリランカの場合は、何の罪もない信徒や市民が、自爆テロで大量の殺されている。日本はアジアの仲間に対して、聖堂建物の復興はもちろん、今後の犠牲者の家族、特に子供たちの養育も含めた心身のケアというもっと費用のかかる問題に、援助を集中すべきではないか。

 大聖堂の場合、援助金が多く集まって、受け入れをすでに5月に停止した団体もあると伝えられている。国民の間からは、「どうして貧しい人々をほっておいて、ノートルダム復興ばかりに援助があつまるのか」と批判の声も出ているという。常識で考えて、日本の教会としては、スリランカに援助を集中すべきなのは明白だが、日本の教会はいまだに、両方に”バランス”を取って援助資金を送ろうとしているところもある。おかしい、という感覚がないのだろうか。(「カトリック・あい」)

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年7月24日