・習近平主席の指示を受け、江蘇省の5都市でキリスト教徒の集会制限など規制強化

 

(2019.11.5 BitterWinter Correspondent  Yang Guang’an)

 BitterWinterがこのほど入手した複数の中国共産党内部文書によると、江蘇省東部の地方政府がキリスト教信徒に対する6か月間の新たな締め付け作戦を開始した。 7月から始められ、家庭教会と政府・共産党公認の三自教会(中国共産党の主導で設立されたプロテスタントの合同教会。.自養、.自治、自伝が語源。世界教会協議会(WCC)に加盟している)の礼拝堂閉鎖に集中している。

 文書によると、新作戦の主な目的は「2つの削減、2つの正規化、2つの要塞化」。つまり、宗教的な集会の場所と信者の数を減らし、個人的な集会の場所を排除し、十字架を取り払い、聖職者と信者の管理を強化することだ。情報筋によると、担当当局は集会場所を制限し、信者の数を減らすための割り当て件数を設定している。

 また、文書によれば、新作戦は、中国の国営通信社・新華社が配信した江蘇省北部都市のキリスト教に関する習近平の指示とともに、政府最高幹部限りでなされた内部報告がもとになっている。内部報告は新華社の公開情報をはるかに上回る内容で、大半は国家機密として扱われ、一定レベル以上の政府・党幹部だけに利用が限定され、上級幹部が現場当局に指示を出して、実行させている。

 江蘇省の省政府と党委員会は、習近平・国家主席の指示を非常に重く受け止め、省内のキリスト教徒の約80%が居住している北部の徐州、連雲港、宿遷、懐安、塩城の5都市で強い締め付けを開始した。国際社会からの注目と批判を避け、地元のキリスト教徒からの不満を抑えるために、地方政府は新しい作戦の準備に数ヶ月を費やした、という。

 対策は、8月2日に省の共産党統一戦線工作部が発行した「江蘇北部5都市におけるキリスト教に関する特別統治作業計画」に従って、調査研究と計画が立てられ、 8月と9月は宣伝工作の準備、人員の動員と展開ににあてられ、実際の作戦の実施は10月と11月とされた。 12月は実施後の管理活動に充てられる、という。

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日8言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します

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2019年11月7日