・浙江省で司教がまた拘束‐暫定合意後も続く中国当局の「地下教会」圧迫

(写真は、当局に拉致された浙江省温州教区の趙注明・司教)

(2018.12.13 ucanews)

 9月のバチカンと中国政府の司教任命に関する暫定合意以来、地方政府・共産党当局による「地下教会」と信徒に対する締め付けがかえって厳しさを増している、との指摘があるが、中国東部の浙江省では今月、温州教区の司教が拘束された。

 アジア地域の有力カトリック系インターネットニュースucanews.comが13日伝えたところによると、温州教区の「地下教会」の責任者、ペトロ趙注明(?)司教が9日、宗教規制当局によって連れ去られた。同司教は55歳、1999年以来、これまで7回にわたり繰り返し拘束されてきた。

 地元の関係者がucanews.comに語ったところによると、同司教は9日朝、楽清市民族・宗教局の係官に連れ去られたが、当局は逮捕の理由を明らかにせず、10日か15日で教区に戻れるだろう、とだけ説明した。

 だが、逮捕は、温州の司祭、信徒たちが、2009年10月に亡くなったヤコブ林錫黎・司教の17回目の司教叙階記念式をしたことと関係がある、との見方が強い、という。

 林司教は、1992年に温州教区の初代司教として、中国政府・共産党の同意を得ずに密かに叙階されていた。記念式は11月4日に楽清市の林司教の墓所で司祭、信徒約500人が参加して行われ、趙司教と3人の司祭がミサを捧げたが、楽清市民族・宗教局の係官が現場で監視しており、ミサが終わった後、趙司教と司祭のうちの1人が係官に呼ばれ、何故それほど多くの信徒が参加したのか、問いただしていた」という。

  この追悼行事は毎年11月の1日から8日まで、温州教区の信徒たちが楽清市の墓所で行われてきたもので、係官の介入は予想されていなかった。中国共産党中央委員会が最近、宗教監察班を同市に派遣したことと関係がある、との見方もある。

 林司教の前回の拘禁は今年1月3日まで半年以上続き、当局は彼に対して、政府・共産党の管理・監督下にある「中国天主教愛国協会」に加盟するよう再三働きかけたが、彼は、同協会がカトリックの教義に反しているとして加盟を拒んできた。浙江省は中国でカトリック教会にとって最も重要な地域であり、約200万人のキリスト教徒がいるとされ、15万人の信徒がいる市は「中国のエルサレム」として知られ、それだけ当局による監視が厳しく、抑圧の対象ともなってきた。

(翻訳・編集:南條俊二)

 

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2018年11月15日