・”暫定合意”後も続くカトリック教会破壊-陝西、貴州両省でも

(2018.10.29 「カトリック・あい」)

 バチカンと中国政府が先月22日に中国国内の司教任命について”暫定合意書”に署名したが、その後も、中国各地で現地当局によるカトリック教会の破壊行為が続いている。

 25日付けの AsiaNews(http://www.asianews.it/news-en/China-Vatican-accord-followed-by-the-destruction-of-two-shrines-in-Shanxi-and-Guizhou-%28videos%29-45306.html)がビデオとともに報じたところによると、陝西、貴州両省で、聖母マリアに捧げられた歴史的な巡礼教会二つが破壊行為の被害に遭った。

 中国国内での当局による破壊行為は、むしろ”暫定合意”後に激しさを加えており、中国政府・共産党公認の「愛国天主協会」と中国共産党統一戦線工作部が”合意潰し”を始めている、との見方も関係者の間に出ている。”暫定合意書”に署名したのはバチカン側は国務省の外務局次長、中国側は国務院外務省の欧州担当次官だった。

 だが、中国では、今年初めに宗教活動の監視・監督を国務院から共産党の統一戦線工作部に移管しており、調印者がどこまでその意向を反映できる立場にあったかにも、疑問が持たれている。バチカンがこのような事態を放置して、正式合意に進むのか、中国側に厳しい姿勢をとるのか、今後が注目される。

 二つの教会は、陝西省のDongergouにある「七つの悲しみの聖母」教会と、貴州省安龍の「喜びの聖母」教会。両教会は、政府公認の「地上教会」と教皇に忠誠を誓う「地下教会」のいずれの信徒たちにも使われている巡礼教会だが、”暫定合意”から数週間後に破壊行為の被害に遭った。

 ビデオ付きで明らかにされたのは25日で、特に「七つの悲しみの聖母」教会の破壊ははっきりと動画で撮影されている。一つの動画では、聖像がクレーンで持ち上げられており、もう一つでは、聖堂の正面が手持ちの削岩機で破壊されている音も入っている。

 信徒が AsiaNewsに語ったところによると、「七つの悲しみの聖母」教会の破壊は「中国化」の名のもとに行われ、当局にとって、「十字架が多すぎる」「聖画が多すぎる」といい、信徒たちは破壊現場から立ち去ることを余儀なくされた。「喜びの聖母」教会の破壊について、当局は「必要な建築許可を得ていなかったからだ」としているという。

 

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2018年10月29日