・教会の入り口に指紋と顔認証システムを設置・中国で信徒の行動監視をハイテク化(BW)

(2019.11.11 BitterWinter Cai Congxin)

 ハイテク機器が、湖北省や中国の他の場所にある三自教会の信者をさらに監視、規制するために使われ始めた。

 BitterWinterでは、先に、新彊ウイグル自治区の首都ウルムチで、政府の管理下にあるプロテスタントの三自教会に顔認識システムが設置されたことを伝えたが、今やこうしたハイテクの監視システムが中国全土の教会にも広がっている。

 湖北省の中央部、黄石市の2つのキリスト教協会の母体である牧羊教会に10月6日、2つの生体認証システム機器が設置さた。以来、信徒たちは、教会に入る前に顔と指紋をスキャンして本人確認を受けなければならなくなった。他の教会にも顔認識システムが設置され、集会に出席する信者をチェックしている。

 BitterWinterの取材に対して、ある信徒は、「2つの中国キリスト教協議会は、黄石市の三自教会が設置している集会場全てで、この装置によって信者が指紋の確認を受けるため、事前に個人情報と家族情報を提出することを要求した」と述べた。これによって、信徒たちを当局の常時監視の対象に置くだけでなく、その家族や親族も監視の対象となり、教会訪問が阻害される。

 その信徒は「親族の中に公務員やElderly believers are queuing to have their fingerprints taken at a church共産党員がいる。彼らは処罰されるか、活動に制限が加えられるだろう」と懸念を示した。職場での昇進にも影響を与える可能性がある。

 別の信徒によると、10月以降、黄石の複数の地方政府公認の教会が、信者の礼拝出席をチェックするため、指紋センサーと顔認証スキャナーを使い始めた。

 黄石市の2つの中国キリスト教協会の会長は信徒に対して、「指紋と顔のデータ収集は今年の教会の仕事の優先事項の1つである」と説明し、また「この措置は、国が認めた教会による集会を監視し、出席を記録するのに役立ち、生体認証データを入力していない信徒が教会に立ち入ることができないと、警告する意味がある」と語ったという。

 9月下旬、黄石のある教会共同体の集会場では、担当者が「日曜日の礼拝に出席するには、すべての会衆が指紋をスキャンしなければならない」とし、 「そうすることで、教会は誰が礼拝に出席し、誰が欠席するかを明確に知ることができる」と説明し、スキャナーを持ち込み、信者の指紋を収集した。

 信徒たちは、こうした行為が、政府当局による中国全土の三自教会の信徒に対する監視・統制を一段と強化するもの、と感じている。このようなハイテク監視は、中国共産党が宗教的な活動を規制、抑制する不可欠なツールとしていることの表れだ。

 家庭教会とは異なり、三自教会の信徒は宗教的な集まりを開くことを認められているようだが、当局は、既に、一部の礼拝堂の洗面所を含めて、随所に監視カメラが設置されており、今回の指紋、顔認証システムの導入で、信徒たちの行動の監視が去れに徹底されることになるとみられる。

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日7言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年11月12日