・性虐待被害者のための祈りと償いの日・3月22日-日本の司教団の誠意ある対応が見えない

(2019.3.18 カトリック・あい)

 3月22日は、日本のカトリック教会の「性虐待被害者のための祈りと償いの日」だ。関連行事http://catholic-cwd.jp/2019/02/27/470/として、カトリック中央協議会の子どもと女性の権利擁護のためのデスクは、以下のようにまとめて発表している。だが、ここでは、これ以外の教区(仙台、横浜、京都、福岡、大分、長崎、那覇)の対応は明らかにされていない。日本の教会全体で取り組む意思を示すためには、”デスク”にまかせるのでなく、司教団として、日本の教会が一致した祈りと行事を行うようにするが当然ではないだろうか。

 中央協議会の権利擁護のデスクが配布している一枚紙のチラシには、「聖職者によるこどもへの聖虐待問題を重く受け止めた日本の司教団は、2002年6月21日、「子どもへの性的虐待に関する司教メッセージ」を発表し、2003年2月、「子どもと女性の管理擁護のためのデスク」を設置しました… 安心・安全な共同体を実現するために、日本のカトリック教会として啓発運動を行います… 教区が被害者の立場に立って、誠心誠意、責任をもって対応できるように体制づくりを推進します」と書かれ、いつくかの対応マニュアル本などが列挙されている。

 だが、2002年にメッセージを発して以来これまで17年近く、司教団は具体的にどのような取り組みを行い、”デスク”は何件の相談を受け、どのように対処したのか(デスクのレベルで対処できる問題が多いとも思えないが)など、肝心のことがまったく明らかにされていない。「教区が被害者の立場に立って、誠心誠意、責任をもって対応」がされているのかどうかも見えてこない。最近でも、真偽はともかく、聖職者による性的虐待問題などがマスコミなどに取り上げられ、教会内外でも少なくない問題に懸念の声が聞かれているにもかかわらず、関係司教の、あるいは司教団としての説得力のある言明も、行動も、見えてこない。

 教皇フランシスコは、世界の教会の信用を大きく揺るがしている聖職者による性的虐待問題に対して2月にも全世界の司教協議会会長などを招集して、具体的な対応強化を求めるなど腐心しておられる。この会議には日本からも代表が出席したはずだが、その場でどのような意見を述べ、議論に加わり、メッセージを持ち帰り、この会議の結果を受けて、日本の教会として具体的にどのような行動をしようとしているのか、会議から一か月近くたった今(18日現在)も、まったく公にされていない。”デスク”のチラシなどで、22日の祈りの例文や「わたしたちにできること」が示されている。それらはもちろん大切なことだが、今求められているのは、”デスク”にまかせるのでなく、司教団としての責任ある明確な姿勢と行動だ、ということを強く訴えたい。

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 2019年度の「性虐待被害者の為の祈りと償いの日」は、2019年3月22日(金)です。それにともない、各教区では以下の行事が開催されます(カトリック中央協議会子どもと情女性の権利擁護のためのデスク)

● 札幌教区:3月22日(金)18:30~ 北一条教会(カテドラル)にて司教ミサ

● 新潟教区:3月17日(日)13:30~15:30 新潟教会「性虐待被害者のための祈りと償いの日」の集いとミサ

● さいたま教区:全小教区と修道院でミサを捧げる・直後の主日のミサ(3/24)のなかで、性虐待被害者のための共同祈願を行う

● 東京教区:3月24日(日)一般に開かれたカテドラルの晩の祈りで大司教の司式により特に性虐待被害者のために祈りを捧げる

● 名古屋教区:3月24日(日)10:00~ 福井教会 司教ミサとお話「性虐待被害の現状について」

● 大阪教区:3月16日(土)13:30 〜  サクラファミリア 「性虐待被害者のための祈りと償いの日」に向けて お話とミサ・3月22日(金)各小教区への呼びかけなど

● 広島教区:・各小教区でのミサ・「ハラスメント防止対策ガイドライン」(2011年作成)の配布

● 高松教区:3月3−4日の「拡大宣教司牧評議会」の二日目、ミサの前に「性虐待被害者のための祈りと償いの日」、地区担当者を紹介。「性虐待被害者のための祈りと償い」をテーマにミサを捧げる・3月22日(金)には、評議会参加者が各教会にもち帰った報告とともに「祈りと償いの日」を憶えた時間を持つ

● 鹿児島教区:四旬節第2金曜日(3/22)か主日のミサのなかで、各小教区で祈る

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(2019.3.1 カトリック東京大司教区からのお知らせ)

カトリック東京大司教区のみなさま 「性虐待被害者のための祈りと償いの日」について  菊地功・大司教

 カトリック教会における聖職者による性虐待については、特に欧米のメディアを通じて取り上げられ、社会全体の教会に対する昨今の評価には厳しいものがあります。また司教をはじめとした責任者による隠蔽も数多く指摘され、この数年の間に、その責任をとり教区司教職を辞任した者も少なくありません。

 教皇フランシスコは、教会の聖職者による性的虐待の問題、特に児童に対する問題に教会が全体として真摯に取り組み、その罪を認め、ゆるしを願い、また被害に遭った方々と教会がともに歩むことを求めておられます。またそのために、特別の祈りの日を設けるように指示されました。

 日本の司教団は2016年12月14日にメッセージを発表し、その中で日本における「性虐待被害者のための祈りと償いの日」を、四旬節・第二金曜日とすることを公表しております。2019年にあっては、3月22日(金)がこの「性虐待被害者のための祈りと償いの日」にあたります。

 東京教区の各小教区共同体にあっては、3月22日当日、またはその直前・直後の日曜日に、教皇様の意向に従ってミサを捧げてくださるようにお願いいたします。そのミサにおいては、『ゆるしの奉献文』の使用が勧められています。またこの意向を持ってのミサが主日など他の日に捧げられる場合でも、3月22日当日には、個人的に祈りの時を持つことも勧められています。

 毎週日曜日の午後5時より東京カテドラルで晩の祈りが行われていますが、3月24日の晩の祈りは教皇様の意向でささげられます。

 世界中の教会に多くの被害者がおられるといわれます。日本の教会にあっても、欧米と比較すれば少ないとはいえ、聖職者による性虐待や性的ハラスメントの被害に遭われた方々の事案が複数報告されています。全国の他の教区と同様、東京教区にあっても、聖職者による性的ハラスメントに対応する相談窓口が設置されております。詳細は教区ニュースでお知らせしますが、被害を受けられた方のプライバシーを優先しながら、真摯に対応してまいります。

 無関心や隠蔽も含め、教会の罪を認めるとともに、被害を受けられた方々に神のいつくしみの手が差し伸べられ、癒やしが与えられるように、ともに祈りたいと思います。同時に、同じようなことが繰り返されないように、信仰における決意を新たにしたいと思います。

 

 

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2019年3月18日