・インドでも…修道女強姦の訴え受けた警察が司教を事情聴取(CRUX)

(2018.8.13 Crux Contributor Nirmala Carvalho

Chaotic scenes as police arrive to interview Indian bishop accused of rape

Bishop Franco Mulakkal. (Credit: Diocese of Jalandhar.)

 修道女の訴えによると、同司教は2014年から2016年にかけて、インド南部ケララ州にある彼女の修道院で13回にわたって性的暴行を加えた。

 犯行現場とされるケララ州の警察当局が、司教が現在住んでいるパンジャブ州まで遠征して、事情聴取をしようとしたものだ。だが、13日当日、司教は司教館におらず、夕方まで帰館しなかったため、まず、訴状の証人リストに載っていた人たちから聴取をした。

 マラッカル司教が帰館した際、司教が雇っている民間ガードマンが取材に集まった報道陣ともみあいになり、13人の記者が暴行を受けたという。

 多くの関係者によると、同司教は13日に逮捕されるとみられていた。この日より前、警察当局がケララ州の高等裁判所に同司教の逮捕状を請求していたからだ。

 警察当局から高等裁判所に提出された声明では罪状などについて次のように述べている。「これまでに集められた証拠から判断すると、訴えられている司教フランコは尋常でない罪を犯し、2014年5月6日から2016年9月23日にかけて、修道女を、ジャランダ-司教としての権勢を濫用し、被害者の意志に反して、繰り返し強姦した。犯行は、彼女を、彼女のいたケララ州の聖フランシスコ宣教の家の客間に、閉じ込めたうえでなされた」。警察当局が提出した証拠書類の中には、修道女が性的に暴行されたとする医師の診断書もある。

 高等裁判所は、逮捕状の申請を却下したが、その際、警察当局は自身の判断で逮捕することができる、とする判断も同時に示した。あわせて、同裁判所は、教会の責任者たちに対して、この修道女の”道徳面の性向”に関する印刷物を回覧しないように求めた。この印刷物で、マラッカル司教は、彼女が既婚男性と関係したとする自らの調査で”反撃”を試みている。

 修道女は、東方典礼カトリック教会の一つでケララ州に本拠を置くシリア・マラバル教会の会員。司祭と修道女はインドの他の州でもよく活動している。

 同州は、インドの州の中で、キリスト教徒の人口が最も多いが、今回の強姦事件は、キリスト教徒たちに影響を与えているいくつものスキャンダルの一つに過ぎない。

 インドの税務当局はこれまでに、シリア・マラバル教会のトップ、ジョージ・アレンチェリー枢機卿から事情聴取している。枢機卿が長を務める大司教区の疑惑の持たれている土地取引に関連してなされたもので、この件ではバチカンも特別教区管理者を派遣している。

 同枢機卿は昨年、いくつかの区画の土地を違法に売却し、1000万ドルを超える損害を出した、として、部下の司祭2人、土地取引業者とともに訴えられた。関係者によると、この土地は市場価格よりも大幅に安く売られており、教会法とインドの民法にともに違反している。インドの法律は、慈善団体や宗教法人が資金の変則的な移転を行うことを禁じている。

 これとは別に、やはりケララ州に本拠を置くマランカラ東方教会の司祭2人が、教会が運営する学校で教えている女性教師を強姦したとして訴えられたのを受けて、13日に警察に自首した。2人はこの件以外に、他の司祭2人と共に、性的な関心を抱いた女性を脅迫したとして訴えられている。彼らのうちの1人は、1990年代にも女性との性的関係を映像に収め、言うことを聞かないなら映像を外に出す、と脅した、とされている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)
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2018年8月14日