・”地上教会”の司教を、教会建物の不当処分や資金使い込みで、司祭、信徒たちが訴え

Chinese bishop accused of embezzling $4 million

Priests and the faithful block Sacred Heart Church’s main entrance on Dec. 28 to prevent a developer from entering. (Photo supplied)

(2019.1.16 カトリック・あい)

 政府・共産党の規制・監督に従わない中国のカトリック”地下教会”に対する当局の弾圧、破壊が、昨年9月のバチカン・中国”暫定合意”以後、一段と強まっている、と複数の海外メディアが伝えているが、今度は政府・共産党に隷属する中国天主愛国協会-”地上教会”-の司教の教会建物の不当な処分や多額の金銭を巡る不法行為が浮上してきた。

 先の”暫定合意”で、中国当局が一方的に司教と選んだ”地上教会”の8人を公認することにしたバチカンが、この問題にどのように対応するのか注目される。

 ucanews.com が15日、香港発で報じたところによると、中国南部、広西チワン族自治区の首都、南寧市のヨゼフ・タン・ヤンクアン司教が教会の資金の使い込み、投機の失敗で多額の負債を負ったとして訴えられた。少なくとも五つの私企業を設立するのに2700万元(約400万ドル、4億円)を使い込み、司教座教会である聖心教会建物を独断で大型ビルに建て替えたうえ、その大部分を不法に売却しようとした。

 これに対して、教区の司祭、修道女、教会職員、信徒あわせて200人以上が同市の民族・宗教担当委員会に共同で文書を送り、南寧市の中国天主愛国協会の正式代表であるタン司教の財政・資金面の行動について徹底的に捜査するよう求め、文書の写しは、同市の共産党統一戦線工作部にも送付、司教が国の財政・経済関係の諸法規を無視して、教会の資金を独断で使用し、教区財政は正常な教区運営ができないほど悪化している、と訴えた、とucanews.comは伝えている。

 司教は、3階建ての教会建物を撤去して、20階建てのビルにし、聖堂と司祭、修道女用の二つの階を除いて、住宅、店舗用に売却する計画を独断で実施しようとし、一部のスペースについては入居希望者から前金を手に入れていた。だが、先の司祭や信徒たちの訴えを受けた当局が、教会建物の撤去を認めない、との判断を下し、入居予希望者からは前金の返還を求める動きも出ている。これとは別に、司教は利殖目的で12以上の企業に投資し、うち5社では筆頭株主になっているが、ここでも赤字を出している、という。

 タン司教は、政府当局から2003年に広西チワン族自治区を一つの教区する教区長に選ばれたが、バチカンは同自治区に四つの教区を置く従来の形を堅持したことから、司教の”支配地域”は南寧市内のみに限定されている、という。

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2019年1月16日