・中国・弾圧強化に対し”家庭教会”で信仰を守る動き

(2018.9.7 「カトリック・あい」)

 中国ではキリスト教会など宗教団体の活動に対する締め付けが厳しさを増しているが、そうした中で、カトリックの有力国際ニュースネット「La Crox」が北京からの報告として7日付けで伝えたところによると、河南省中部では、カトリック信徒たちが礼拝のための”仮の教会”として、自分たちの家を使い、家族全員が参加する形で抵抗している。

 同省の代表的な都市、南陽市に住むある女性信徒は、バンコクに本拠を置くカトリック・ニュースサービス「ucanews.com」に、州政府の締め付けに、信者たちは連帯を強めることで抵抗し、使用する家を次々と変えながら、家族全員が参加して礼拝を続けられるようにしている、と説明。「それぞれの家族が家の中で信仰活動を続け、神との強いきずなを保ち続けています… 迫害がどれだけひどくなっても、私たちの主への信仰を打ち壊すことはできないのです」と語った。家庭集会には、司祭たちも来て、若者たちに教会の教えを説き、信仰を強めてくれている、という。

 中国では今、習近平政権が宗教を政府・共産党の支配下に置こうとする動きを強める中で、若者世代が、家族が代々保ち続けてきたキリスト教から締め出される恐れが強まっている。河南省では最近、未成年者が宗教を学ぶ集まりに参加することを禁止する通達を出すなど、圧力を一段と強化した。

 ある報道によれば、高齢の村民たちが信仰を捨てなければ、年金など社会保障を受けられなくする、と脅され、いくつかの地方では、公務員や教員が、教会での礼拝に参加するのを止めなければ、彼らの家族がさまざまな処罰を受ける、と脅されている、と訴えている。

 またある最新の報道では、いくつかの地方のプロテスタント教会が建物に立てた十字架を壊され、河南省安陽市の司教座聖堂は十字架を取り外し、代わりに、愛国者の印として中国国旗を掲げるよう命じられた。さらに、規制当局は、その聖堂の司教と司祭たちに、小教区がどこで宗教的な印刷物を入手しているか申告するように強要、複数の教会が、宗教的なポスターなど印刷物の掲示を取りやめるよう命じられた、という。

 こうした政府・共産党の締め付けの強化に対して、河南省商丘市のある女性信者は、キリスト教会共同体は今、信仰を自分の子供たちに伝える責任を負わねばない、それを隠れた形でやるしか、他に選択肢がないと感じている、としている。「中国ではそれが一般的な流れになってきており、それを止める手段はありません」。

 政府非公認の”地下教会”のある男性信者は、子供のころ起きた文化大革命(1966-76)の時の宗教弾圧を思い起こしながら、「今は当時の状態に戻っていくように見えます。私たちの子供も、同じ経験をしなければならないでしょう」「でも、過去の歴史を見ても、迫害は教会を強くし、信徒たちの信仰を強めるだけ。外からの打撃で、人の内なる信仰を壊すことはできません」と強調する。

 河南省西部の教区で働いている司祭は ucanews.comの取材に、教会の入り口に未成年者立ち入りの掲示をすることを拒否したところ、当局が赤いペンキで✖印を書いていった、そして、教会に未成年者が入らないように公安が見張っている、と説明。「今は、親たちが、一時的に重荷を背負い、子供たちを信仰に導かねばなりません」と語っている。

(「La Crox とucanews.comの報道をもとに、「カトリック・あい」が編集しました)

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2018年9月10日