・中国の国家宗教事務局、国務院民生部が新規制導入-”地下教会”破壊の恐れ

十字架が破壊される前の河南省商丘市の司教座聖堂。中国国家宗教事務局は、すべての宗教関係の施設に法人格を登記するよう求めた。管理監督体制を改善するため、としているという。(写真は関係者からucanews.comへの提供)

(2019.2.19 カトリック・あい)

Legal move sparks fears for Chinese underground church

 中国当局のカトリック”地下教会”を含む宗教団体への規制が一段と強化されることになり、これが、信教の自由を訴え、中国当局の支配統制下に入ることを拒否している”地下教会”の破壊につながる、との懸念が中国の信徒の間に強まっている。

 アジアの有力カトリック・メディア ucanews.com が19日付けの香港発で伝えるところによると、中国国家宗教事務局(SARA)と国務院民生部が12日、国内の全ての宗教施設に対し、4月1日から、法人登記を義務付ける、と発表した。

 ucanews.comによると、カトリックのある信徒は、このような登記は地下教会の活動を殺すことになりかねない、と懸念を表明し、「当局は以前から、地下教会に対して、登記をするよう脅してきたが、公式の通告はありませんでした。今回、公式の通告がされたことで、当局は、地下教会の司祭たちに対して、当局の統制に服している中国天主愛国協会への加盟を強要する法的根拠をもつことになりました。加盟しなければ、非合法とされるのです。地下教会を殺すこともできます」と危機を訴えている。

 また、今回の通告前に提示された事前通知によれば、法人登記の対象となるのはモスク、教会、その他の宗教施設で、登記により、財務、経理、管財について国家の規制に従い、健全なルールと規制によって組織体としての基準を満たす義務が生じる。また、登記に当たっては事前に、地方当局から承認された宗教団体の同意を得る必要があり、その情報と書類は地方の宗教管理当局の検閲を受けねばならない、としているという。

 提出が必要な情報としては、宗教施設の登記の写し、法人の代表者の身分証明書、責任のある人々全員の基本情報などが含まれる、とされている。法人格を得た後、その施設は銀行口座の開設や納税登録が可能になるが、その際の申請には、施設の名称と所在地、活動、所属している者の人数とそれぞれの資格など36項目について記入する必要があり、「資格」には「中国共産党の指導と社会主義制度を支持すること」も含まれているという。

 なお、SARAが、WeChat(中国大手IT企業テンセントが作ったメッセンジャーアプリ)で説明しているところによれば、登記制度の一つの狙いは「宗教の商業化」の防止にある、という。

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2019年2月20日