・中国で”非愛国的”なカトリック教会への弾圧続く(BW)

(2020.4.5 Bitter Winter鄭潔記者)

 中国で新宗教規制条例が施行されて2年、共産党・政府の管理下にある中国天主愛国協会に加盟せず、公式の登録証を持たないカトリックの教会は違法とされ、迫害が強まった。バチカンが中国と国内の司教任命で暫定合意した2018年9月以降、現在に至るまで、愛国協会への加盟を拒む教会への弾圧は軽減されるどころが、ますます厳しさを増している。

 内モンゴル錫林郭勒盟・太僕寺旗の宝昌町当局が、そうしたカトリック教会の聖堂を10日間で4か所も閉鎖したのは、昨年10月末のことだ。役人たちは、聖堂の責任者にミサを含む全ての活動を止め、キリスト教を象徴する像や絵画などや表示を撤去するよう、命じた。

写真:当局の職員が内モンゴルの聖堂の中の器物を取払って封鎖。

 また、昨年3月には現地当局の役人7人が「無許可」を理由に、河南省南陽市にある40年以上の歴史を持つ教会を立ち入り調査し、物品を没収して行った。ある
信徒によると、役人たちは教会のテーブル、椅子、経台を打ち壊し、神父の住まいを隅々まで調べた。400冊を超える聖書、音響設備、その他の貴重品などが押収された。

 70歳代の信徒の責任者が、役人たちの乱暴な行為を叱責した。すると役人の1人が彼に拳で殴りかかろうとして、仲間に制止された。これを目撃したある信徒は怒りを込めて「神様は人がすることを見ています。共産党の悪行は許されないでしょう」と話した。

写真:中国・河南省・安陽市の教会の十字架(左)も2019年3月に撤去された(右)

 中国・黒龍江省・大慶市・肇州県では、昨年末、一つしか残っていなかった愛国協会に非加盟の教会が、当局によって電気を遮断され、閉鎖された。そのうえ、信徒が再び集まらないように監視するため、聖堂外の電柱に2台の高解像度の監視カメラが設置された。

  ある信徒によれば、その聖堂は2018年初めに、初めて「違法な礼拝をする無許可の集会所」という理由で、閉鎖の命令を受けた。それでも、信徒が集まり続けると、今度は「消防施設の不備」という口実を作り出した。しかし現地消防局のある職員は「その教会には不備を指摘するほど高い基準の消防設備は必要ありません。本当は、共産党の統一戦線工作部の現地本部から閉鎖の命令があったのです」と語った。

 信徒たちが集めた40万中国元(約614万円)で建築された広い聖堂は、創立から3年で閉鎖され、信徒たちは狭くて混雑する場所で集まらざるを得なくなった。だが、当局の迫害は続き、昨年7月に新しい集会場所の主人は、当局から「集会場所を継続して提供するなら、2000ないし5000中国元(約3ないし8万円)の罰金を徴収する」と脅された。

写真:閉鎖された黒龍江省肇州県の教会の聖堂入り口(左)内部は広かった(右)

 中国・河北省・深州市の愛国協会非加盟のある教会は昨年4月、警察に急襲された。役人たちは信者に「不法な集会の開催」という理由を挙げ、「集会を中止して、聖堂を空けろ」と命令した。命令に従わなければ、教会の財産が押収されて、2万中国元(約31万円)の罰金がかれられるはずだった。信者たちは、聖画や製造などが破壊されないように他に移したうえで、聖堂を閉鎖した。

 中国・江西省のカトリック吉安教区に属する福源居教会も、同じ運命に遭った。2019年3月の現地当局は「無許可礼拝所」という理由を挙げて、この聖堂を閉鎖し、信徒に「また集まったら、罰金を払わす」と脅した。聖堂が閉鎖された後も、当局の役人が何度もやってきて、集会が開かれていないのを確認した。さらに、信徒たちの家にまで来て、「何かを信じようとするなら共産党を信じろ。我々に従順になれ」と命令し、「信仰を表わすような振る舞いをすれば、監獄に放り込む」と脅した。現在、40を超える教会の信徒には、集う場所がなくなっている。

写真:閉鎖された吉安教区の福源居教会

(BitterWinter韓国版より翻訳「カトリック・あい」高橋哲夫)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日5言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

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2020年4月6日