・フィリピンで司祭が射殺、タグレ枢機卿が強い批判(CRUX)

 

Father Mark Ventura, the priest murdered in the Philippines on April 29. (Credit: Archdiocese of Tuguegarao.)

 フィリピンのルソン島北部、ツゲガラオ大司教区の教会で29日、日曜のミサ直後に司祭が複数の暴漢に襲われ、射殺された。ガッタラン・カトリック教会のマーク・ベンツラ神父は同日、ミサを終え、受洗の祝いを始めようとした際、集まっていた信徒たちの前で襲われたという。

 30日、マロロス市での司教叙階式に出た同国のカトリック教会の指導者であるルイス・アントニオ・タグレ枢機卿は、犠牲となったベンツラ神父に深い哀悼の意を示すとともに、「人々が神からの賜物としての命に、もはや価値を置かない、これはそのしるしです」と警告し、「彼が司祭でなかったとしても、人です。彼は神からの賜物ではないのですか?誰かを殺し、投げ捨てることが、今ではたやすいことなのですか?」と人々に問いかけた。

 またフィリピンのカトリック司教協議会会長のロムロ・バレス大司教は、声明を発表し、「司教たちは強い衝撃を受けるとともに、この殺人は『邪悪な行為』と見なしている」とした。

 フィリピンの人権団体、カラパタンのクリスチーナ・パラバイ事務局長は「ベンツラ神父は、対人地雷反対運動や原住民社会の支援をしており、それが襲撃された理由ではないか」とし、「教会が弱い者の見方をすると、関係する人々が襲撃の標的にされる」「人権擁護の立場に立つ教会の信徒たちが迫害を受ける傾向が強まっているのは間違いない」と説明した。

 フィリピンでは司祭の殺害が目立っており、昨年12月にもマルチェリト・パエズ神父が殺害されたばかりだ。同国のカルメル修道会の正義と平和委員会は「フィリピンの『罰せられない文化』が殺人の連鎖を起こしている。このような文化は、教会の人々、貧しく、搾取され、見捨てられ、拒絶された者たちを助けようとする人々も容赦しない。実際に、私たちは、助けを求める人々を支えようとする神の意志を行おうとする人々が弾圧される現実を目にしている」と訴えている。

 (翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

 

 

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年5月2日