(菊地大司教の日記2019.1.21より)
毎年この時期は、キリスト教一致祈祷週間です。今年は1月18日から25日まで、「ただ正しいことのみを追求しなさい」をテーマに、世界各国で開催されています。東京教区のエキュメニズム委員会(油谷神父様担当)がプロテスタント諸派の方々と共同で企画をされた東京集会が、20日(日)の午後2時半から、カトリック小金井教会を会場に開催されました。
この祈祷週間のために、小冊子が毎年用意されます。これは世界教会協議会(WCC)と教皇庁のキリスト教一致推進評議会が共同で作成するもので、これを日本キリスト教協議会(NCC)とカトリックで翻訳して利用しています。
毎年特定の国などをテーマの中心に据えて準備が進められ、その国の教会や人々の状況に思いを馳せながら、祈りの集いがもたれていますが、今年はその対象がインドネシアの教会でした。(写真は、インドネシアの民族衣装を身にまとった、小金井教会主任の加藤豊神父様)
小冊子のテーマの解説には「人口2億6千5百万の86%がムスリムであるインドネシアは、世界最大のムスリム人口を有する国として知られています。しかし、残りの約10%は様々な教派のキリスト者です」と記されており、そこには2千万人を越えるキリスト者が存在していることを教えています。
多様な民族、言語、文化が存在する巨大な国では、多様性のうちに一致することが目指され、そのために時としてキリスト者には困難な状況も発生します。そのような中で、一致をもとめつつも、しかし自らの進む道を妥協することない信仰に生きようと、「ただ正しいことのみを追求しなさい」がテーマとして選ばれたようです。
小金井教会の集会には、カトリックのみならず多くの教派の方が参加してくださり、聖堂は一杯でした。
礼拝の司式は私が、そして説教は、日本キリスト教協議会(NCC)の議長である渡部信師が行いました。
確かに考えてみれば、異なるいくつもの教派が一つの名称で合同し、具体的に一つの教会として存在できると安易に考えることは、それぞれの教会に長い歴史の積み重ねがあり、教会のあり方自体に異なる見解がある現在では、非現実的であろうと思います。
しかしながら同じイエスを主キリストと信じ、同じ父を神とあがめ、同じ聖霊の働きを信じるものが、心において共有できるものがないはずがありません。わたしたちは同じ福音を信じているのですから、同じ方向を向いて、同じ価値観に支えられて、現実社会にその価値観を、それぞれの教会を通じてともに証ししていく務めを果たすという意味で、教会の一致が推進されることを祈らざるを得ません。
(菊地功=きくち・いさお=東京教区大司教)